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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
秩序で守られる肯定された殺戮 4
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「大分遅めの朝食ですね、カレン嬢」
いかにも高慢そうなぼっちゃん貴族が、カレンにふんわりとした口調で呼び掛ける。ごてごての貴族服に身を包み、鞘には金箔を塗っている。
騎士逹はというと、銀の甲冑の肩部分にリバーファルコンの羽を少々、背中には火山地帯で生息するフレイムクロウの大きな羽を生やすように付けている。どちらも高級品だ。特にフレイムクロウに関してはリバーファルコンよりも価値が高い。
フレイムクロウがいる場所は、ドラグニア竜王国内にあるボウラキア活火山とベルギウス帝国南西部、ニーデ洞窟の最奥にしかいない。
前者は、かつてドラグニア竜王国と国家単位でリバーファルコンと交換してたほんの一年、といっても三十年前の話だが、その時だけ。
後者は、ボウラキア活火山と比べると、フレイムクロウの生息数の少なさ、最奥に至るまでの死者の多さ、食料、水の消費、莫大な財産支出、確実ではないと悪いことずくめの為、それだけ価値が上乗せされている。
リバーファルコンも、フレイムクロウも、祖先が同じで、同系統ではあるが性質はまったくといっていいほど違う。
リバーファルコンの雄の尾根だけが鋭利ではあるが、それ以外はペンや衣にしやすいくらいの装飾用品となる、少しだけ柔らかい、静かで青く輝く羽。フレイムクロウのは尾根に限らず、ギラギラと赤く輝く鉱石のような硬質な羽だ。それは彼らが食べている食べ物が原因だ。
リバーファルコンは人間や小動物など、比較的普通の食事をしている。フレイムクロウは、堅いことで有名なルビアカタツムリやサフィアマイマイと言った、鉱石がからだの一部となっている生物を喰らって、その硬質さを体に宿す。
そして攻撃方々はリバーファルコンと同様なので、なおたちが悪い。
フレイムクロウの羽はリバーファルコンの尾根と同じくらい硬く、防衛機能としてはすさまじい。並の剣では肉まで届かない。そして尾根には秘密がある。
先端だけ柔らかい、フレイムクロウの尾根。その秘密は、
敵となる対象に飛ばして当たったときに、その衝撃で尾根が爆発四散するという恐ろしい武器だった。中身は火薬の成分が混じっているとか。
その威力は火の基本魔術、フレイディオくらいのものだそうだ。
もっとも、少し強い竜人の手にかかれば、一瞬で死ぬと言われている。
産出量、服には適さないので甲冑の装飾にほぼ使われる。自分を誇示するために、よく使われる逸品だ。
つまりこいつらは、ただ派手に着こなしたいだけなのだろうか?
「どこかの誰かさんが服選びに時間割いてるって聞いたから、ゆっくりとここにいる彼と食べさせてもらったわ、それはとてもおいしい朝食でね」
嫌みったらしく言うカレン。するとぼっちゃん貴族は俺を睨み出した。カレン、自慢野郎がキライなのはこの前の愚痴で充分わかってるけど、俺を出汁に使わないでくれ。
「そこにいるのは……………………、おい貴様、何者だ?」
不機嫌そうなぼっちゃん貴族。敬語を使うのはカレンまでのようだ。まあ、俺は身分が下だから当然か。あからさまな変わりように腹が立つが仕方がない。
「アベルです。出身は辺境にある魔術師の次男。今回の討伐で、参加することになりました。どうぞよろしくお願いいたします」
「魔術師か、何を使える?」
「はい?」
「だから、何の魔術が使えるのか聞いているのだ!」
語気を強めたぼっちゃん貴族。短気だな。
「はは…………恥ずかしながら、何も………………………………」
「なんだ、それでは学のないただの平民と変わらぬではないか。カレン嬢、何故こんな下郎を雇ったのですか、戦える従者が他にいるのでは?」
それにしてはカレンサイドの従者が見当たらない。貴族なのに護衛も付けないのはあまりにも不自然だ。
「いるじゃない、ここに」
下に指差す。そこにいたのはクラリーチェだった。
「ハッハッ」
「私が言ってるのは、人間の従者です! ふざけた真似は止してくだされ!!」
まあ、犬を従者と見なしてるカレンもなかなかの器の持ち主ではあるが…………。
いかにも高慢そうなぼっちゃん貴族が、カレンにふんわりとした口調で呼び掛ける。ごてごての貴族服に身を包み、鞘には金箔を塗っている。
騎士逹はというと、銀の甲冑の肩部分にリバーファルコンの羽を少々、背中には火山地帯で生息するフレイムクロウの大きな羽を生やすように付けている。どちらも高級品だ。特にフレイムクロウに関してはリバーファルコンよりも価値が高い。
フレイムクロウがいる場所は、ドラグニア竜王国内にあるボウラキア活火山とベルギウス帝国南西部、ニーデ洞窟の最奥にしかいない。
前者は、かつてドラグニア竜王国と国家単位でリバーファルコンと交換してたほんの一年、といっても三十年前の話だが、その時だけ。
後者は、ボウラキア活火山と比べると、フレイムクロウの生息数の少なさ、最奥に至るまでの死者の多さ、食料、水の消費、莫大な財産支出、確実ではないと悪いことずくめの為、それだけ価値が上乗せされている。
リバーファルコンも、フレイムクロウも、祖先が同じで、同系統ではあるが性質はまったくといっていいほど違う。
リバーファルコンの雄の尾根だけが鋭利ではあるが、それ以外はペンや衣にしやすいくらいの装飾用品となる、少しだけ柔らかい、静かで青く輝く羽。フレイムクロウのは尾根に限らず、ギラギラと赤く輝く鉱石のような硬質な羽だ。それは彼らが食べている食べ物が原因だ。
リバーファルコンは人間や小動物など、比較的普通の食事をしている。フレイムクロウは、堅いことで有名なルビアカタツムリやサフィアマイマイと言った、鉱石がからだの一部となっている生物を喰らって、その硬質さを体に宿す。
そして攻撃方々はリバーファルコンと同様なので、なおたちが悪い。
フレイムクロウの羽はリバーファルコンの尾根と同じくらい硬く、防衛機能としてはすさまじい。並の剣では肉まで届かない。そして尾根には秘密がある。
先端だけ柔らかい、フレイムクロウの尾根。その秘密は、
敵となる対象に飛ばして当たったときに、その衝撃で尾根が爆発四散するという恐ろしい武器だった。中身は火薬の成分が混じっているとか。
その威力は火の基本魔術、フレイディオくらいのものだそうだ。
もっとも、少し強い竜人の手にかかれば、一瞬で死ぬと言われている。
産出量、服には適さないので甲冑の装飾にほぼ使われる。自分を誇示するために、よく使われる逸品だ。
つまりこいつらは、ただ派手に着こなしたいだけなのだろうか?
「どこかの誰かさんが服選びに時間割いてるって聞いたから、ゆっくりとここにいる彼と食べさせてもらったわ、それはとてもおいしい朝食でね」
嫌みったらしく言うカレン。するとぼっちゃん貴族は俺を睨み出した。カレン、自慢野郎がキライなのはこの前の愚痴で充分わかってるけど、俺を出汁に使わないでくれ。
「そこにいるのは……………………、おい貴様、何者だ?」
不機嫌そうなぼっちゃん貴族。敬語を使うのはカレンまでのようだ。まあ、俺は身分が下だから当然か。あからさまな変わりように腹が立つが仕方がない。
「アベルです。出身は辺境にある魔術師の次男。今回の討伐で、参加することになりました。どうぞよろしくお願いいたします」
「魔術師か、何を使える?」
「はい?」
「だから、何の魔術が使えるのか聞いているのだ!」
語気を強めたぼっちゃん貴族。短気だな。
「はは…………恥ずかしながら、何も………………………………」
「なんだ、それでは学のないただの平民と変わらぬではないか。カレン嬢、何故こんな下郎を雇ったのですか、戦える従者が他にいるのでは?」
それにしてはカレンサイドの従者が見当たらない。貴族なのに護衛も付けないのはあまりにも不自然だ。
「いるじゃない、ここに」
下に指差す。そこにいたのはクラリーチェだった。
「ハッハッ」
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