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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
久しぶりの暇な一日 1
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チュンチュン。
小鳥の奏でる心地よい音色が、眠気が飛び始めた俺を再び夢の国へ誘う。
チュンチュン。
起きる気力もない。もう一回眠ろう。
zzzzzzzzzzzzzzz。
至福の一時。
だが、そんな幸せを享受することさえもすぐに終わった。
「おーにーいーちゃーん! あーさーだーよーー!!!」
幼女が俺を、呼び起こす。
「ふぁぁぁ~。お早う」
やっぱりクラリーチェがいないと眠気を飛ばしづらいな。痛いけど。
「お早う。じゃないよっ、8時だよ8時! もうみんな朝ごはん終わってるよ!」
甲高い声で俺の肩を掴み、前後に揺らす。
あれ? 俺は確か昨日、カレンの別荘の馬小屋で寝たはず。なんで昨日あったばかりの幼女が今この瞬間いるんだ?
「カレンさまにたのまれたんだよ! さ、朝ごはんあるよ! 食べてね」
幼女は皿をつきだしてくる。そこにあったのは…………
「ウマソーダナ」
「なんで棒読み?」
黒パンと水、スープは抜き。予期はしていた。この村の農作物は主にザオゼル麦。よって主食も黒パンである。別に文句はない。
ただし、飽きてきただけだ。
「しかし、仕事とかで休みがしばらくなかったし、急に暇になるとほんと、やることないなぁ」
頂いたパンを貪る。ゴワゴワする食感。うん、やっぱり黒パン。
「おにいちゃんそんなに仕事が忙しかったの? カレンさま、あんまりそういう風に酷使するような人には見えないと思うんだけど? ひょっとしておにいちゃん、体力が全然ないんじゃない? ひょろいし」
ひどい言葉が最後に聞こえた気がしたが、華麗に無視。子供は純粋、見たものをそのままいってしまうこともある。だからひょろいなんて言われても気にしていない。無いったら無い。
「カレン様のお仕えが理由じゃなくて、俺個人の用だよ」
「へえ、どんな?」
「幸せを手にいれる為の努力!」
金策なんて夢の無いことを子供に言ってはいけない。
俺にとっての幸せとは、幸せ=金持ちではなく、幸せ=貧困にならないほどの中間的な暮らしである。もちろんあるに越したことはないが、ありすぎても使い道に困るのだ。
さてさて、黒パンを美味しく頂いた俺は今日の行動を考えねばなるまい。何をしようか。
「ねえ、おにいちゃん。広場にいこうよ」
「いいけどなにするの?」
「ついてくれば分かるよ!」
馬小屋から広場まで歩く。ただ馬小屋の入り口から出て、少し歩くだけなのだが。
広場にたどり着くと子供たちが真ん中に集まって何やら熱い観戦をしていた。虫でも捕まえて遊んでる割にはあの状況は場違い。子供がやりそうな遊び。
う~ん…………わからん!
「ねぇみんな! おにいちゃん遊んでくれるってさ!」
「お、じゃあ早速頼むよ! 年上だし、期待してるぜ!」
子供たちの中でも大きく、ガキ大将見たいな勝ち気な少年が中央から俺を招く。背が俺より一回り小さい程度か。子供たちが道を作った先には椅子があった。
座って正面を向くと、
「よろしく! アベルのアニキ!!!」
ガキ大将が気さくに笑う。お互い座っている間のスペースには卓があり、
「ここまで来た以上、男なら言葉じゃなくて、拳で語り合おうぜ」
「いやこれ駒ね」
マルドラフの試合が唐突に開始された。
小鳥の奏でる心地よい音色が、眠気が飛び始めた俺を再び夢の国へ誘う。
チュンチュン。
起きる気力もない。もう一回眠ろう。
zzzzzzzzzzzzzzz。
至福の一時。
だが、そんな幸せを享受することさえもすぐに終わった。
「おーにーいーちゃーん! あーさーだーよーー!!!」
幼女が俺を、呼び起こす。
「ふぁぁぁ~。お早う」
やっぱりクラリーチェがいないと眠気を飛ばしづらいな。痛いけど。
「お早う。じゃないよっ、8時だよ8時! もうみんな朝ごはん終わってるよ!」
甲高い声で俺の肩を掴み、前後に揺らす。
あれ? 俺は確か昨日、カレンの別荘の馬小屋で寝たはず。なんで昨日あったばかりの幼女が今この瞬間いるんだ?
「カレンさまにたのまれたんだよ! さ、朝ごはんあるよ! 食べてね」
幼女は皿をつきだしてくる。そこにあったのは…………
「ウマソーダナ」
「なんで棒読み?」
黒パンと水、スープは抜き。予期はしていた。この村の農作物は主にザオゼル麦。よって主食も黒パンである。別に文句はない。
ただし、飽きてきただけだ。
「しかし、仕事とかで休みがしばらくなかったし、急に暇になるとほんと、やることないなぁ」
頂いたパンを貪る。ゴワゴワする食感。うん、やっぱり黒パン。
「おにいちゃんそんなに仕事が忙しかったの? カレンさま、あんまりそういう風に酷使するような人には見えないと思うんだけど? ひょっとしておにいちゃん、体力が全然ないんじゃない? ひょろいし」
ひどい言葉が最後に聞こえた気がしたが、華麗に無視。子供は純粋、見たものをそのままいってしまうこともある。だからひょろいなんて言われても気にしていない。無いったら無い。
「カレン様のお仕えが理由じゃなくて、俺個人の用だよ」
「へえ、どんな?」
「幸せを手にいれる為の努力!」
金策なんて夢の無いことを子供に言ってはいけない。
俺にとっての幸せとは、幸せ=金持ちではなく、幸せ=貧困にならないほどの中間的な暮らしである。もちろんあるに越したことはないが、ありすぎても使い道に困るのだ。
さてさて、黒パンを美味しく頂いた俺は今日の行動を考えねばなるまい。何をしようか。
「ねえ、おにいちゃん。広場にいこうよ」
「いいけどなにするの?」
「ついてくれば分かるよ!」
馬小屋から広場まで歩く。ただ馬小屋の入り口から出て、少し歩くだけなのだが。
広場にたどり着くと子供たちが真ん中に集まって何やら熱い観戦をしていた。虫でも捕まえて遊んでる割にはあの状況は場違い。子供がやりそうな遊び。
う~ん…………わからん!
「ねぇみんな! おにいちゃん遊んでくれるってさ!」
「お、じゃあ早速頼むよ! 年上だし、期待してるぜ!」
子供たちの中でも大きく、ガキ大将見たいな勝ち気な少年が中央から俺を招く。背が俺より一回り小さい程度か。子供たちが道を作った先には椅子があった。
座って正面を向くと、
「よろしく! アベルのアニキ!!!」
ガキ大将が気さくに笑う。お互い座っている間のスペースには卓があり、
「ここまで来た以上、男なら言葉じゃなくて、拳で語り合おうぜ」
「いやこれ駒ね」
マルドラフの試合が唐突に開始された。
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