断罪のアベル

都沢むくどり

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上弦の章 帝国内乱

追憶の欠片 Ⅲ

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 ソフィーはある一件を経て、ボクに心を開くようになった。

 それまでのソフィーは、まさに生き人形と呼ばれるであろう存在だったのだが、

「兄さん…………」

 今ではとても愛嬌のある愛らしい妹となった。

 声はそこまで抑揚のない雰囲気ではあるが、行動や仕草などと言った動作に急激な変化を起こした。

 ソフィーにとって、いやボクにとってもであるが、あの一件はよっぽど重要な事だったのだ。

 まあ、これでソフィーが本当の家族となった訳ではあるし、ボクとしては嬉しい。

 と、そんな風にボクは椅子に座りながらソフィーを視界の中心に捉えながら考え事をしていると、

「ウフフッッ…………ソフィーの特等席」

 ソフィーは座っているボクの両足の上に座り、微笑んでいた。

「ソフィー、ちょっと恥ずかしいよ」

 妹とは言え、やっぱりソフィーは女の子。しかも最近仲良くなったばっかりだ。

 服越しではあるが、触れあうとなんと言うか、緊張してしまう。

「兄妹だから何も恥ずかしいことはないよ…………?」

 ソフィーは一度ボクの足から降りると、振り返ってすぐにボクの胸に飛び込む。

 フワッと甘い香りがボクの鼻を刺激した。

「ソフィーにとって兄さんは一番大切な人…………それはソフィーと兄さんが死ぬまで、ううん。死んだあとだって、永遠に思い続ける…………………」

 スン、スン、とボクの胸元に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。

「兄さんの匂い、兄さんの所々に出る仕草、兄さんの言葉遣い、兄さんの趣味、兄さんの特技、兄さんのソフィーの頭を撫でてくれる優しい手、兄さんの好きな食べ物、兄さんの日課、兄さんの全部、全部、全部が好き。兄さんは…………」

 と、ソフィーは少し言うのを躊躇うようにしてから、

「こんなソフィーを…………受け入れてくれる?」

 一つ、

「うん」

「好きでいてくれる……………………?」

 二つ、

「もちろん」

「ずっと、ずっと…………一緒にいてくれる?」

 三つ、とボクに問う。

「当たり前だよ」

 それらの一言一言に、間髪いれずボクは答えた。

 それが誠意だと思ったから。

 対してソフィーはボクの返事を聞く度、ピクッ、ピクッと反射的に体を動かした。

「ソフィーはこんなにもボクの事を思ってくれている、拒むわけないじゃないか。それにボク達はもう、本当の家族でしょ?」

 ボクはツインテールに結われたサラサラな銀の髪を綺麗だと思いつつ、頭頂部を撫でてやる。

「嬉しいっ………………兄さん!」

 ソフィーは喜びの声と共に背中に腕を回して精一杯ボクを抱き締めた。

 華奢な細い腕からは信じられないほどの力で少しばかり息が苦しくもあったが、それだけ思いが強いのだろう。

 普通の家庭にとって当たり前かもしれない光景をようやく手に入れた気がする。

 こんな家だから余計にそう思えてきた。

「幸せだよ兄さん。これが家族愛、それよりも兄妹愛なのかな…………」

 ソフィーはボクを見上げた。

 白い頬には赤みが帯びていて、目は嬉しそうにトロンとしている。

 そして、





「好き………………………………」









 ソフィーは目を閉じて、ボクの口に自分の唇を重ねた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 アベルとソフィー。

 それぞれの言ってることの本質をよく観察すると、この先のルート分岐の時への布石になるかも?
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