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上弦の章 帝国内乱
??? フレデリカの訪問 3
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ラベンダーがこれでもかと言うくらい花壇に植えられているそばに、先程まで無かった豪奢な扉が現れる。
ドアにはリンゴを持つ女性の左手の紋章、ヴァルト家の家紋が付けられていた。
この家紋には特別な意味がある。
リンゴとは魔術師にとって知恵の象徴とされ、崇め奉られている物。
魔術師の頂きに立つヴァルトにとってはうってつけの紋章なのだ。
ここで言う女性の手はヴァルトを意味していて、知識や知恵を取りまとめる者、となっている。
何故左手なのかは、フレデリカもよくわかっていないのだが、
(まぁ、世間に対する一種の皮肉よね。これ)
と、思われている。
左利きが迫害される理由は、過去にベルギウス帝国に対して牙を剥いた大罪人のせいなのだが、その大罪人と言うのが実は、
(ガラハッド・ヴァルト…………)
ヴァルト家の人間なのだった。
と言っても、これはヴァルトから出ていった後の事で、ガラハッドが反乱を起こした理由を知ると、全てがガラハッドのせいとは言いがたい。
(当時まだベルギウス帝国が帝国として名を馳せる前から、帝国としての礎を築く手助けに死力を尽くした男…………。だけど、帝国成立から幾ばくかして、当時ベルギウス家の姫と禁断の恋に落ちて追放。きっかけは、元々姫に恋していたガラハッドは、同じくガラハッドに恋していた姫から求められて関係を持ってしまったこと。当時、王家と魔導師の婚約は禁じられていた。その結果、北へ北へと落ち延びて、迫害されてきた左利きの人間達、少数民族を集めて、一つの共同体を作ったとされる…………)
ガラハッドと姫は、それぞれの家から放逐されたが、恨んでなどいなかった。
と言うより、愛するものと身寄りのない者達の事しか眼中に無かったのではないかとされる。
だが、
(ガラハッド達の共同体は日に日に大きくなり、ベルギウス帝国とヴァルト家は危惧した。ベルギウスとしては、姫を王として君臨されるかも知れない内乱の火種な上に、ガラハッドは帝国の暗部の情報を沢山持っている。ヴァルトからすれば、せっかくベルギウスに形式上従属して魔術の研究を出来るのに、いざこざは後々面倒だった)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そして、事件は起こる。
ある日、帝国から使者が訪れた。
その使者は、共同体の人間の静止を振り切って、正確には魔術で燃やして、正面から真っ直ぐと標的に向かう。
標的は目を見開く。
だが、その時にはもう標的こと姫は、心臓を抜き取られていた。
索敵魔術に不穏な動きを察知したガラハッドは、急ぎ現場に向かい、その光景を目の当たりにした。
瞬間、
「ガァウェェェェェェェェェェェェイイイイィィィィィィィィンンンンンンンンンンンッッッ!!!」
と、大地が彼の声に反響するように動きだし、それからガウェインと言う人間は死闘を繰り広げたと言う。
周りの共同体の人間は無論、全員巻き込まれて死んだ。
なお、ガウェインと言うのは、ガラハッドの弟で、その時のヴァルトの当主である。
ガウェインにとって、ガラハッドは越えるべき目標であり、尊敬の対象だった。
なのに、たかが女一人のために研究を疎かにし、腑抜けた兄に対して殺意を覚える。
最終的に、ガウェインはガラハッドを倒した。
ただ兄を越えたい一心で磨いた魔術の一撃、その炎に焼かれて兄は苦しむ。
ガラハッドは最後に、よくここまで焼かれながら言えるもんだ、と言うくらいの長さで、
「俺は家のために、魔術のために、ベルギウス帝国のために尽くした……………。なのに、たった一つの願いすらお前達は踏みにじるのか…………。俺はただ、愛する姫と俺達を慕う人と平凡に暮らせれば良かったのに…………。ベルギウス帝国、ヴァルト…………お前達だけは許さないっ! この恨みはお前達が根絶やしになるまで続くだろう……………………」
と、預言めいた遺言を残して息絶えた。
最後まで、沈黙を続けたガウェインは、
その事を本に記して、ヴァルトを五つに分割したとさ。
めでたし、めでたし。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(反逆……………………と言うよりヴァルト、ベルギウスから抹殺されただけなのよね)
そう、反乱と言うのは、ガラハッドがベルギウス帝国の勅命で攻めてきたガウェインと闘ったのが理由であって、集団で反乱をしたわけではない。
なお、真実である今の事は、民衆には知れていない。
彼らの間では、遠い場所で誰かがベルギウス帝国に対する反乱の準備をしていた、それをベルギウス帝国より任を授かったヴァルトが消した。大罪人の名前は謎、と記録から抹消されている。
戦場となった、北の地は凍土で誰も好き好んで行くような場所ではないため、幸いなことに帝国上層部以外は知る由もない。
「では、ソフィー様に確認いたしますので、暫しお待ちを」
サイモンはドアをノックし、フレデリカの訪問の旨を伝え、中に入っていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※
今回の長話、フレデリカの訪問した理由と繋がっているので決して無駄ではありませんよ。
ドアにはリンゴを持つ女性の左手の紋章、ヴァルト家の家紋が付けられていた。
この家紋には特別な意味がある。
リンゴとは魔術師にとって知恵の象徴とされ、崇め奉られている物。
魔術師の頂きに立つヴァルトにとってはうってつけの紋章なのだ。
ここで言う女性の手はヴァルトを意味していて、知識や知恵を取りまとめる者、となっている。
何故左手なのかは、フレデリカもよくわかっていないのだが、
(まぁ、世間に対する一種の皮肉よね。これ)
と、思われている。
左利きが迫害される理由は、過去にベルギウス帝国に対して牙を剥いた大罪人のせいなのだが、その大罪人と言うのが実は、
(ガラハッド・ヴァルト…………)
ヴァルト家の人間なのだった。
と言っても、これはヴァルトから出ていった後の事で、ガラハッドが反乱を起こした理由を知ると、全てがガラハッドのせいとは言いがたい。
(当時まだベルギウス帝国が帝国として名を馳せる前から、帝国としての礎を築く手助けに死力を尽くした男…………。だけど、帝国成立から幾ばくかして、当時ベルギウス家の姫と禁断の恋に落ちて追放。きっかけは、元々姫に恋していたガラハッドは、同じくガラハッドに恋していた姫から求められて関係を持ってしまったこと。当時、王家と魔導師の婚約は禁じられていた。その結果、北へ北へと落ち延びて、迫害されてきた左利きの人間達、少数民族を集めて、一つの共同体を作ったとされる…………)
ガラハッドと姫は、それぞれの家から放逐されたが、恨んでなどいなかった。
と言うより、愛するものと身寄りのない者達の事しか眼中に無かったのではないかとされる。
だが、
(ガラハッド達の共同体は日に日に大きくなり、ベルギウス帝国とヴァルト家は危惧した。ベルギウスとしては、姫を王として君臨されるかも知れない内乱の火種な上に、ガラハッドは帝国の暗部の情報を沢山持っている。ヴァルトからすれば、せっかくベルギウスに形式上従属して魔術の研究を出来るのに、いざこざは後々面倒だった)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そして、事件は起こる。
ある日、帝国から使者が訪れた。
その使者は、共同体の人間の静止を振り切って、正確には魔術で燃やして、正面から真っ直ぐと標的に向かう。
標的は目を見開く。
だが、その時にはもう標的こと姫は、心臓を抜き取られていた。
索敵魔術に不穏な動きを察知したガラハッドは、急ぎ現場に向かい、その光景を目の当たりにした。
瞬間、
「ガァウェェェェェェェェェェェェイイイイィィィィィィィィンンンンンンンンンンンッッッ!!!」
と、大地が彼の声に反響するように動きだし、それからガウェインと言う人間は死闘を繰り広げたと言う。
周りの共同体の人間は無論、全員巻き込まれて死んだ。
なお、ガウェインと言うのは、ガラハッドの弟で、その時のヴァルトの当主である。
ガウェインにとって、ガラハッドは越えるべき目標であり、尊敬の対象だった。
なのに、たかが女一人のために研究を疎かにし、腑抜けた兄に対して殺意を覚える。
最終的に、ガウェインはガラハッドを倒した。
ただ兄を越えたい一心で磨いた魔術の一撃、その炎に焼かれて兄は苦しむ。
ガラハッドは最後に、よくここまで焼かれながら言えるもんだ、と言うくらいの長さで、
「俺は家のために、魔術のために、ベルギウス帝国のために尽くした……………。なのに、たった一つの願いすらお前達は踏みにじるのか…………。俺はただ、愛する姫と俺達を慕う人と平凡に暮らせれば良かったのに…………。ベルギウス帝国、ヴァルト…………お前達だけは許さないっ! この恨みはお前達が根絶やしになるまで続くだろう……………………」
と、預言めいた遺言を残して息絶えた。
最後まで、沈黙を続けたガウェインは、
その事を本に記して、ヴァルトを五つに分割したとさ。
めでたし、めでたし。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(反逆……………………と言うよりヴァルト、ベルギウスから抹殺されただけなのよね)
そう、反乱と言うのは、ガラハッドがベルギウス帝国の勅命で攻めてきたガウェインと闘ったのが理由であって、集団で反乱をしたわけではない。
なお、真実である今の事は、民衆には知れていない。
彼らの間では、遠い場所で誰かがベルギウス帝国に対する反乱の準備をしていた、それをベルギウス帝国より任を授かったヴァルトが消した。大罪人の名前は謎、と記録から抹消されている。
戦場となった、北の地は凍土で誰も好き好んで行くような場所ではないため、幸いなことに帝国上層部以外は知る由もない。
「では、ソフィー様に確認いたしますので、暫しお待ちを」
サイモンはドアをノックし、フレデリカの訪問の旨を伝え、中に入っていった。
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今回の長話、フレデリカの訪問した理由と繋がっているので決して無駄ではありませんよ。
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