119 / 190
上弦の章 帝国内乱
??? フレデリカの訪問 7
しおりを挟む
「ソフィー様、フレデリカ様がお帰りになりました」
替えのシーツを持ってきたサイモンが部屋に入る。
「…………」
どうやら相当不機嫌なようだ。
「襲名式には参加しない…………ソフィーはこのままヴァリエロンに出立する……」
冷気を纏わせながら、自分で着替える。
「恐れながらソフィー様、今の状況ですと東の方でも戦が始まるかと…………」
対してソフィーは、
「だから…………?」
いつものように返答する。
「ソフィーに関係ないならどこで何が起ころうがどうでもいい…………邪魔するなら消せばいいだけ…………」
濡れた下着を脱ぎ、新しい物を身に着ける。
サイモンは何も言わずにそれらを回収した。
「手紙を付けたガルディアをフレデリカに向けて飛ばした……………………これでいいでしょ?」
白いゴシックでロリータな服装で身を包むと、ソフィーは椅子に座る。
それを見ていたサイモンは、
「では、私めもすぐに準備致します」
と、丁寧にお辞儀をしながら、立ち去った。
ソフィーは思案する。
(兄さんなら間違いなく東に、特にヴァリエロンにいるはず…………)
あくまでソフィーの一つの推測なのだが、これには明確な理由があった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「何を読んでるの…………兄さん?」
ソフィーはぎゅっと兄さんの後ろから抱きつきながら、座っている兄さんの肩へ顎を乗せ、兄さんの読んでいる本を見る。
「ああ、これはヴァリエロンについての本だよ」
と、兄さんは本の表紙を見せてくる。
ソフィーはそんなどうでもいい本の事よりソフィーを見つめて欲しかったけれど、兄さんに話を合わせた。
「ヴァリエロン…………? ガウェイン・ヴァルトが最も活躍した、解放戦争の舞台でしょ………………?」
異民族をなぶり殺して、ヴァルトの名前を土地に刻み込んだ血なまぐさい場所。
「うん、いつか暮らしてみたい場所なんだ」
「何で…………?」
純粋に疑問を覚える。
「? 建物の作りとか、ベルギッシュ風な所はある程度取り入れられてるけど、独特の文化を混ぜ混んでるからかな。それに、母さんの実家に近いし、言ってみたいのはあるね。まぁ、一度もこの屋敷から出てないからそう思っただけかもだろうけど」
「……………………ふーん」
そういう理由なんだ。
「ソフィーは兄さんと一緒なら、兄さんがどこへ行きたくても構わないよ」
ソフィーは兄さんの首もとの匂いを嗅いだ。
スンスン。
あぁ、やっぱり落ち着く…………。
好きで好きでたまらない、兄さんの香り。
兄さんは優しい。
こうして匂いを嗅いでるソフィーに嫌がるそぶりも見せないで、今も頭を撫でてくれてる。
そんな兄さんが、ソフィーを置いてどこかに行くなんて事は、絶対に無いよね?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「もうすぐ会えるはずだよ………」
妹は兄の幻影を追い続ける。
「兄さん……………………」
その兄が、まさか帝都にいるなど知るよしもなく。
※※※※※※※※※※※※※※※※
ヴァルト家の動き、及びキャラの心情
①ソフィー・ヴァルツァー
フレデリカにヴァルト家の権限を半ば強引に委任。ヴァリエロンに向けて進行予定。
ソフィーは相変わらず兄の事しか頭に無く、他の事象には無関心。
フレデリカに対する印象はたった一度の逢瀬で無関心から兄を侮辱する愚物に。
そのせいで襲名式には参加しない。
これを知ったら兄は何を思うだろうか。
なお、ソフィーが不機嫌なのはとある理由からなのだが、お気づき頂けただろうか?
※大ヒントはサイモンが回収した物。
②フレデリカ・ヴァルテシモ
当主であるソフィーにより強引に権限を押し付けられた、ヴァルテシモ家を率いる者。家としては権限を貰えるのはありがたいが、ヴァルトの掟に従って真面目に生きてきたフレデリカにとっては腑に落ちない模様。
ソフィーから理不尽な暴力を受けて、ようやく決心はついたが、フレデリカ率いるヴァルテシモの行動はまだ不明。
恐らく帝国議会で明らかになるだろう。
それにしても、魔術の講座をしていたが、教え子はいかに?
③ヴァルトーガ、ヴァルターニャ、ヴァルチェ家
ソフィーによって候補者は全員事故死。
その影響で死者を埋葬し、鎮魂を行う葬式に加え、戦力を大幅に減らしているため、すぐに戦力となる人材を出せないでいる。
替えのシーツを持ってきたサイモンが部屋に入る。
「…………」
どうやら相当不機嫌なようだ。
「襲名式には参加しない…………ソフィーはこのままヴァリエロンに出立する……」
冷気を纏わせながら、自分で着替える。
「恐れながらソフィー様、今の状況ですと東の方でも戦が始まるかと…………」
対してソフィーは、
「だから…………?」
いつものように返答する。
「ソフィーに関係ないならどこで何が起ころうがどうでもいい…………邪魔するなら消せばいいだけ…………」
濡れた下着を脱ぎ、新しい物を身に着ける。
サイモンは何も言わずにそれらを回収した。
「手紙を付けたガルディアをフレデリカに向けて飛ばした……………………これでいいでしょ?」
白いゴシックでロリータな服装で身を包むと、ソフィーは椅子に座る。
それを見ていたサイモンは、
「では、私めもすぐに準備致します」
と、丁寧にお辞儀をしながら、立ち去った。
ソフィーは思案する。
(兄さんなら間違いなく東に、特にヴァリエロンにいるはず…………)
あくまでソフィーの一つの推測なのだが、これには明確な理由があった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「何を読んでるの…………兄さん?」
ソフィーはぎゅっと兄さんの後ろから抱きつきながら、座っている兄さんの肩へ顎を乗せ、兄さんの読んでいる本を見る。
「ああ、これはヴァリエロンについての本だよ」
と、兄さんは本の表紙を見せてくる。
ソフィーはそんなどうでもいい本の事よりソフィーを見つめて欲しかったけれど、兄さんに話を合わせた。
「ヴァリエロン…………? ガウェイン・ヴァルトが最も活躍した、解放戦争の舞台でしょ………………?」
異民族をなぶり殺して、ヴァルトの名前を土地に刻み込んだ血なまぐさい場所。
「うん、いつか暮らしてみたい場所なんだ」
「何で…………?」
純粋に疑問を覚える。
「? 建物の作りとか、ベルギッシュ風な所はある程度取り入れられてるけど、独特の文化を混ぜ混んでるからかな。それに、母さんの実家に近いし、言ってみたいのはあるね。まぁ、一度もこの屋敷から出てないからそう思っただけかもだろうけど」
「……………………ふーん」
そういう理由なんだ。
「ソフィーは兄さんと一緒なら、兄さんがどこへ行きたくても構わないよ」
ソフィーは兄さんの首もとの匂いを嗅いだ。
スンスン。
あぁ、やっぱり落ち着く…………。
好きで好きでたまらない、兄さんの香り。
兄さんは優しい。
こうして匂いを嗅いでるソフィーに嫌がるそぶりも見せないで、今も頭を撫でてくれてる。
そんな兄さんが、ソフィーを置いてどこかに行くなんて事は、絶対に無いよね?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「もうすぐ会えるはずだよ………」
妹は兄の幻影を追い続ける。
「兄さん……………………」
その兄が、まさか帝都にいるなど知るよしもなく。
※※※※※※※※※※※※※※※※
ヴァルト家の動き、及びキャラの心情
①ソフィー・ヴァルツァー
フレデリカにヴァルト家の権限を半ば強引に委任。ヴァリエロンに向けて進行予定。
ソフィーは相変わらず兄の事しか頭に無く、他の事象には無関心。
フレデリカに対する印象はたった一度の逢瀬で無関心から兄を侮辱する愚物に。
そのせいで襲名式には参加しない。
これを知ったら兄は何を思うだろうか。
なお、ソフィーが不機嫌なのはとある理由からなのだが、お気づき頂けただろうか?
※大ヒントはサイモンが回収した物。
②フレデリカ・ヴァルテシモ
当主であるソフィーにより強引に権限を押し付けられた、ヴァルテシモ家を率いる者。家としては権限を貰えるのはありがたいが、ヴァルトの掟に従って真面目に生きてきたフレデリカにとっては腑に落ちない模様。
ソフィーから理不尽な暴力を受けて、ようやく決心はついたが、フレデリカ率いるヴァルテシモの行動はまだ不明。
恐らく帝国議会で明らかになるだろう。
それにしても、魔術の講座をしていたが、教え子はいかに?
③ヴァルトーガ、ヴァルターニャ、ヴァルチェ家
ソフィーによって候補者は全員事故死。
その影響で死者を埋葬し、鎮魂を行う葬式に加え、戦力を大幅に減らしているため、すぐに戦力となる人材を出せないでいる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
52
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる