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上弦の章 帝国内乱
ノスタルジア家の雑用係 二
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一旦回想のため、時系列は過去にとびます。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
肉の加工をする2日前の昼下がり。
俺は午前中の仕事分の報酬を貰って数えていた最中、ナツメさんから、
「アベルさん! 仕事終わりですみませんが、あなた宛に依頼したい仕事があるんです」
と、何やらお願いされた。
「え?」
「日にちは明日、商会が所有しているある土地で雑草とりを依頼したいんです」
「雑草…………むしりですか?」
「はい!」
雑草? いちいち俺じゃなくとも、代わりはいくらでもいるんじゃないだろうか?
「ありがたいお話ですが…………今回は辞退します」
「えぇぇっ!?」
快諾するだろうとナツメさんは踏んだんだろうが、残念なことに俺は乗り気ではない。
「理由をお聞きしても!?」
何でこんなに必死なんだろうか?
「明日はちょっと私用があるので……」
クラリーチェの餌やり、ブラッシング。
それと最近カレンに無理矢理付き合わされてる剣の鍛練相手だ。
クラリーチェの世話はまぁ良いとして、後者は断れないのだ。
何故なら頼まれたときに女の子に剣を向けられないと遠回しに断ったら、
『一泊2000ウォルスに値上げするけどそれでもいい?』
と、耳元でボソッと囁くんだから……。
正直な所、男の従者がいないとは言え、俺じゃなくとも剣の先生なら帝都を探せば腐るほどいると思うのだが。
高いだろうけど。
それを伝えるとカレンは赤ら顔で、
『この前の事で思い知ったの…………。騎士道を重んじた剣術の正攻法は現実ではあまり役立たない。だから、少し姑息で騎士道の戦い方をしないあなたが相手なら実戦でもその経験を活かせるんじゃないかって…………それに』
『それに?』
『な、何でもないっ!』
それっきりカレンは黙ってしまったのだった。
姑息は余計だけど、実際俺の剣術に関して言えば邪道なので怒りは湧かない。
最後に顔が赤かった理由は不明のままだが、
「そこをなんとか!」
ナツメさんの嘆願で意識は過去の回想から現実に引き戻された。
たかだか雑草むしりをするのに、何でこんなに必死なんだ?
「これは限られた人にしか出回らない依頼なんです!」
そう言って、羊皮紙で作られた依頼書を見せてくる。
《依頼書 商会所有のベーゼル麦農地の雑草むしりを依頼。この依頼に適したものは盗みをしないような堅物な真面目さ、ここ3ヶ月の依頼履歴が全て達成の上、ギルドの受付数の8割の許可と査察官の承認が必要。それに合格している者ならば、登録してから日が浅くとも受注可能
報酬 30000ウォルス
べネット商会ギルド帝都管理長
ウェルダム・ベネット》
「……………………」
「お願いします! 今回のギルドの評価では、あなたが一番信用が高かったんですよ!」
えー…………。
正直、単発で高価なのより安くて楽で数ある仕事の方がましなんだけど。
しかも最後の依頼主の欄、ベネット家のだろ。目に留まったら行動しづらくなるだろうが。
もう少し、ずぼらにすれば良かったか。
「ダメですか?」
うるうると瞳に涙を浮かべそうな表情になったナツメさん。
奥から書類の束を運んできたツバキちゃんは、ナツメさんを見た後にため息をついて、俺を見つめると首を左右に振って、唇だけ動かすと自分の仕事に戻る。
読唇術が理解できる俺には、ツバキちゃんの唇は、
(あんたならここ最近の勤務態度と達成率から信用できるって受付嬢のほとんどが許可しちゃったし、ここで断るとベネット商会からの心証が悪くなって、一定期間査定に傷が付くよ? そうすると小口の仕事も回せなくなるかも…………。まぁ、決めるのはあんただし、こっちは関係ないけどさ)
と、語っていた。
そんな…………。小口の仕事も来ないとか困る。
やるしかないのか。
「受けますよ、その仕事」
本当は受けたくないが、この際仕方ない。影を薄くして頑張ろう。
♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
※タイトルと違いますが、クラリーチェのカリス・ウィンディオを使える理由なのでもう少し掘り下げます。
回想話はあと1~2話続く予定です。
タイトル詐欺とか思ってはいけませんよ( ^∀^)。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
肉の加工をする2日前の昼下がり。
俺は午前中の仕事分の報酬を貰って数えていた最中、ナツメさんから、
「アベルさん! 仕事終わりですみませんが、あなた宛に依頼したい仕事があるんです」
と、何やらお願いされた。
「え?」
「日にちは明日、商会が所有しているある土地で雑草とりを依頼したいんです」
「雑草…………むしりですか?」
「はい!」
雑草? いちいち俺じゃなくとも、代わりはいくらでもいるんじゃないだろうか?
「ありがたいお話ですが…………今回は辞退します」
「えぇぇっ!?」
快諾するだろうとナツメさんは踏んだんだろうが、残念なことに俺は乗り気ではない。
「理由をお聞きしても!?」
何でこんなに必死なんだろうか?
「明日はちょっと私用があるので……」
クラリーチェの餌やり、ブラッシング。
それと最近カレンに無理矢理付き合わされてる剣の鍛練相手だ。
クラリーチェの世話はまぁ良いとして、後者は断れないのだ。
何故なら頼まれたときに女の子に剣を向けられないと遠回しに断ったら、
『一泊2000ウォルスに値上げするけどそれでもいい?』
と、耳元でボソッと囁くんだから……。
正直な所、男の従者がいないとは言え、俺じゃなくとも剣の先生なら帝都を探せば腐るほどいると思うのだが。
高いだろうけど。
それを伝えるとカレンは赤ら顔で、
『この前の事で思い知ったの…………。騎士道を重んじた剣術の正攻法は現実ではあまり役立たない。だから、少し姑息で騎士道の戦い方をしないあなたが相手なら実戦でもその経験を活かせるんじゃないかって…………それに』
『それに?』
『な、何でもないっ!』
それっきりカレンは黙ってしまったのだった。
姑息は余計だけど、実際俺の剣術に関して言えば邪道なので怒りは湧かない。
最後に顔が赤かった理由は不明のままだが、
「そこをなんとか!」
ナツメさんの嘆願で意識は過去の回想から現実に引き戻された。
たかだか雑草むしりをするのに、何でこんなに必死なんだ?
「これは限られた人にしか出回らない依頼なんです!」
そう言って、羊皮紙で作られた依頼書を見せてくる。
《依頼書 商会所有のベーゼル麦農地の雑草むしりを依頼。この依頼に適したものは盗みをしないような堅物な真面目さ、ここ3ヶ月の依頼履歴が全て達成の上、ギルドの受付数の8割の許可と査察官の承認が必要。それに合格している者ならば、登録してから日が浅くとも受注可能
報酬 30000ウォルス
べネット商会ギルド帝都管理長
ウェルダム・ベネット》
「……………………」
「お願いします! 今回のギルドの評価では、あなたが一番信用が高かったんですよ!」
えー…………。
正直、単発で高価なのより安くて楽で数ある仕事の方がましなんだけど。
しかも最後の依頼主の欄、ベネット家のだろ。目に留まったら行動しづらくなるだろうが。
もう少し、ずぼらにすれば良かったか。
「ダメですか?」
うるうると瞳に涙を浮かべそうな表情になったナツメさん。
奥から書類の束を運んできたツバキちゃんは、ナツメさんを見た後にため息をついて、俺を見つめると首を左右に振って、唇だけ動かすと自分の仕事に戻る。
読唇術が理解できる俺には、ツバキちゃんの唇は、
(あんたならここ最近の勤務態度と達成率から信用できるって受付嬢のほとんどが許可しちゃったし、ここで断るとベネット商会からの心証が悪くなって、一定期間査定に傷が付くよ? そうすると小口の仕事も回せなくなるかも…………。まぁ、決めるのはあんただし、こっちは関係ないけどさ)
と、語っていた。
そんな…………。小口の仕事も来ないとか困る。
やるしかないのか。
「受けますよ、その仕事」
本当は受けたくないが、この際仕方ない。影を薄くして頑張ろう。
♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
※タイトルと違いますが、クラリーチェのカリス・ウィンディオを使える理由なのでもう少し掘り下げます。
回想話はあと1~2話続く予定です。
タイトル詐欺とか思ってはいけませんよ( ^∀^)。
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