どーでもいいからさっさと勘当して

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繋ぐために離すこと

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 ジュスト・バルメルク。
 有力公爵家の嫡男でありながら、その責務をろくに果たさず研究者の道を歩む変わり者。
 ジュストに会う前、バルメルク家と繋がりを持ったときにヒルダが仕入れた評判は概ねこんなところだった。社交嫌いで人付き合いも最低限、公の場に立てば父親が持て余すほどの無軌道ぶりを発揮する。
 人呼んで「バルメルク家の問題児」。誉れも何もない通称だが、ドルフが黙認している(なんなら初めて聞いたときはその通りと深く頷いたらしい)ので、そっくりそのままで浸透している。
 しかし、どんなに問題児だろうと、身分が身分だ。ご機嫌伺いから利益を求め話題を土産に携えてくる者まで、人は切れ間なくやってくる。その人々の過半数が、ジュストと会話するにつれ決まった表情になっていくのを、ヒルダは付き添いの立場で見守った。

(どの辺りまでがドルフさまへの告げ口案件かしら、これ)

 ハルトに授けられた伝家の宝刀の使い時がありまくりすぎて、逆にタイミングがよくわからない。結果ヒルダは黙ったままでいた。
 そのあと、やっとひと波去って、ジュストはため息をついて喉を潤した。視線をヒルダに向けながら。

「言いたいことがあるような顔だな?」
「これはなんとも言えない顔です」
「では、あえて言ってみるなら?」
「ここまで嫌われるのはすごいですね」
「少しは躊躇してみせろ」

 まったく、と言いながらも、ジュストは満更でもないように目を細めた。ハルトがヒルダに教えてくれたことだが、ジュストの社交嫌いの理由は、不特定多数の人間と腹の探り合いをするのに早々に飽きつかれるからだ。上位者に生まれ持ったものか、根底が傲慢なジュストは、遊戯のように相手に合わせて会話の駆け引きをすることを煩わしがる。
 とはいえ、腹芸ができないわけではないし、実際にヒルダと交渉して口車に乗せることもできた。

(交渉というか、あらかじめ決めた段取り通りに無理やり進めていったというか……まあ一応交渉でいいはず)

 細かいところはこの際置いておいて。
 ジュストは自分が必要だと思ったときしか、それをしないのが問題なのだ。なので時と場合は考えても相手の考慮はしない。そしてこの場は、ドルフに無理やり押し付けられた舞台。つまり、なおさらやる気がない。
 寄ってくる人のことごとくが自分が適当にあしらわれているとわかるので、腹立ちと苛立ちを抑えるのに必死で、表情だって乱れかけるのも当然と言えた。問題児の悪評が広がるのもよく分かる。

 しかも今回は、ジュストの隣にヒルダが控えているのが相手にとっての不幸だった。
 今のところ訪れた者たちは、ヒルダの素性を知らなかった。普段他国にいるはずが、突然社交界に姿を見せたジュストに興味が向くのと同じくらい、問題児の側に控えるヒルダも相手の興味を誘った。
 そしてその者たちも、ヒルダではなくジュストが(傲慢に)対応するので、不機嫌になる者が続出したわけである。

「お手間をおかけしているようですけど、あたしだけ楽をしていてもいいんですか?」
「父にここに放り込まれた時点で労苦の大小はないからな。君が応じたいならそれでもいいが、あえて口を挟まなかったのではないのか?」
「挟むもなにも、ジュストさまが率先して追い払っていかれましたよね」
「必要なら引き止めればいいだろう。君にはこうして出席してもらっているので、私の目的としては十分だ。君のしたいことを邪魔する気はない」

 ヒルダは思いもしなかったことを指摘されたように目を丸くして、素直に答えた。

「必要はなかったですね」

 ジュストがグラスから慌てて口を離した。片手で口元を押さえて咳き込んでいるが、笑いをごまかせていない。

「こ、これまでの連中では、相手をする気にもなれなかったか」
「あたしはあなたの付き添いですよ?そんな不遜なことを考えているがないでしょう」
「殊勝な奉公人を目指すなら、有象無象の壁になってくれてもいいのだが?」
「ご冗談を。お世話になっている家のご嫡男のご交流を邪魔するわけにはいきません」

 ああ言えばこう言うを地で行くヒルダに、ジュストの笑いはますます深くなっていく。あまりに楽しそうなので余計に周囲の視線が集まっている。こういう言葉遊びなら楽しむので、ドルフが匙を投げるのも納得がいくというものだった。
 ヒルダはさすがに笑い過ぎじゃなかろうか半目で抗議しようとして、人が新たにやってくるのに気づいて、肘でジュストをつつくだけにした。それが脇腹に入ったのは偶然である。

「ジュスト殿、今宵は珍しくご機嫌のようですな」
「ああ、伯爵か。あちらでお会いして以来だから、二ヶ月ぶりか」
「そうですね」

 のっけの挨拶だけでも、ジュストの態度がこれまでの有象無象へ向けたものとは違った。片手を上げて親しげに伯爵に応えるジュストの背後で、ヒルダは簡易な礼を取った。同様に伯爵の背後の少年も会釈をしている。そうして目が合った少年が「なんでここにいるんすか」と目で訴えかけてきたので、ヒルダは苦笑で返した。同時に少しだけほっとした。大怪我をした翌日から会わずじまいだったので、回復具合を気にしていたのだが、顔にほんのり痣が残っているくらいで、動作に異常は見られない。
 しかしまあ居心地が悪そうな顔をしている。かつてお見合いを二度もすっぽかしたウィンスターだが、さすがに今日は家からここまで父親にずっと張り付かれて、逃げる暇がなかったのだろうか。
 一方、フェルトリタ伯爵は外交官として、ジュストは研究者として、共通の他国で顔を合わせる間柄なのだろう。気のおけない空気だ。
 ジュストはにやりと笑ってウィンスターに視線をやった。

「令息の活躍はうかがったぞ。婦女をその身を挺して庇ったとか。見上げた気概を持っているようだ」
「それはあなたもでしょう。先日、そちらの女性を鮮やかに救出してみせたとか」

 息子を褒められても、謙遜も否定もしない伯爵の目がすうっとヒルダへと移った。一切の感情の窺えない静かな眼差しは、息子の反抗期に振り回されている父親のものではない。ジュストにも目線で頷かれ、ヒルダは改めてドレスをつまんで頭を下げた。

「ヒルディアという。父の後見がついていると後で知ったのだ。縁もゆかりもないと思っていたが、私が通りすがったのは存外狭い世間だったらしい」
「たまにはそういうこともあるでしょうな。……女史、頭を上げなさい」

 さすがにジュストが目を丸くした。ヒルダも驚いたが、言われるがまま伯爵と目を合わせた。二人の凝視を受けた伯爵は相変わらず動かない表情で、その背後の息子はものっすごい苦い顔をしている。
 ヒルダはウィンスターからある程度の話を聞いたのだと、それでわかった。息子は何気なく呼びかけていただけなのに、伯爵が口にすると重みが全然違う。

「閣下にそうお呼びいただくような者ではありません」
「謙遜はいらない。フランが貴女の才覚を絶賛していた。息子も学園では貴女に世話になっているという」

 その分だけ相応の敬意を払うということだろう。さすが外交官。ヒルダがスートライトの縁者と気づいていて、あえて知らないふりをする判断は、無難の一言だ。

「比較言語学のフランメル・デューク殿か。そう言えば伯爵は親しかったのだったか」
「幼なじみの、さらには腐れ縁の間柄です」

 伯爵の回答に今度はウィンスターが目を丸くして、父親の横顔を凝視した。ヒルダはその様子に、ふっと思った。

(……もしかして、ウィンスターさん、教授がゼルラント家の親族だってことも知らない?)

 仮にも伯爵とあろう者が、供回りもつけず学園の寮に飛び込んだ反抗期の嫡男を野放しにしているわけがないと思っていたので、伯爵がデューク教授にウィンスターの面倒を頼んだのだろうと予想はしていた。デューク教授もウィンスターにかなり目をかけている様子だったので間違いではないだろう。
 ウィンスター本人はといえば、全然思いもしていなかったのだろう。間の抜けた顔がみるみる引きつっていくのを見ながら、ヒルダの方がいたたまれなくなった。ヒルダにも、大人の目を出し抜いてうまくやっていたつもりが、実は生温く見守られていた経験がある。あれは恥ずかしい。

「お世話になっているのはあたしの方です。研修生としては日が浅く、ご子息には学園生活において、なにかと助言をいただきました。また、ソラリア商会に勤める者として、アデライトお嬢さまをお救いいただいたこと、心より感謝しております」

 瞬間、ヒルダはちょっとだけ、本当にちょっとだけ、ドレスに隠した足を身構えさせた。

「礼状を受け取ったが、あれは貴女の字と息子が言っていた。祐筆にも劣らぬほど流麗、また文飾豊かで、見るに飽きなかった」
「あ、ありがとうございます……」

 伯爵が初めて見せた笑顔……これは笑顔のはずだ。光の差さない細まった目が、殺す相手を見定めたような雰囲気を後押ししているが、多分きっと笑顔である。
 しかも手を差し伸べてきた。ヒルダは数回顔と手を見比べてから、引かれる気配のないそれに合わせて右手を出した。握手に組まれ、すぐに離れゆく。しかし確実に、それとなくこちらを見ていた周囲の様子が変わった。

「伯爵がそこまでおっしゃるとは。私もその筆跡を見てもいいかな」
「お望みとあればお見せできますが、それよりはヒルディア嬢に直接書いてもらっては?」
「それだと父が先でないといけない。順番待ちとなるとな……やはりそちらの宅に伺わせていただこうか」

 ドルフにはともかく、ジュストにはなにも書くことがないな、とヒルダが明後日に視線を飛ばしたのには、ウィンスター以外には気づかれなかったようだった。











 その後、伯爵はジュストが普通に応対するくらいには淡白な態度に終始して、用が済めばウィンスターを引きずるようにして離れていった。ちなみにジュストは明日にでもフェルトリタ邸に赴くと話をつけていた。
 ウィンスターとは怪我の経過や教授の現状などを軽く話したくらいで、深く話し込むようなことにはならなかった。これから兄やアデルのところへ向かうらしく、ヒルダは父親に引きずられるウィンスターを、手を振って送り出した。

「せっかく兄妹の元へ行くというのに、伝言などはやらないのか」
「直接言いますよ。今は王太子殿下や王子殿下とお話しされているようですが、その後はジュストさま、あなたにご挨拶をしますから」
「あらかじめ打ち合わせていたか」
「いいえ。ですけど、兄上もアデルも、あたしがここにいると知ったら、絶対に放ってはおきません」
「……ん?」

 ジュストはまじまじとヒルダを凝視して、離れたところでもそれと見分けのつく高貴なる歓談の輪を見て、またヒルダに視線を戻した。

「――なにも言っていないのか?」
「はい」

 ヒルダは微笑みながら頷いた。

「一応、勘当されている身なので。衆目で知らなかったと示すことが必要です」

 王家主催で大々的に開かれている場だ。会場が広すぎ、人の数が多すぎ、初めから知っていないと誰かを探すことにも一苦労。その中で、ごく限られた他人にしか興味を抱かない兄妹が、この数の人の顔をいちいち丁寧に見ていくわけがないのだ。
 ヒルダが探してみたところ、この会場には、ウィンスターの他にもファリーナがいる。二人のどちらかがヒルダの存在を兄妹に伝えてくれるだろう。

(時間がかかるようだったら、アレンにその役をお願いしていたけど。ウィンスターさんが来てたのはちょっと意外だったわ)

 自然な成り行きのためには、兄妹の前で、ヒルダの名を軽い雑談で出せる人が必要だった。その目当ては当初はファリーナで、保険がアレンだった。アレンももちろんこの夜会に出席している。
 とはいえ、ヒルダと面識がなくてもスートライトとの繋がりを知る者はいるだろう。しかし、彼らはヒルダと兄妹が接触するまでは――どのような関係かをその目で確かめるまでは、なにもしない。スートライトの生傷を晒しているようなものなのだから、慎重に様子見するのは当然だ。
 それと同時に、ジュストのように、ヒルダがこの場にいると知らないわけがないと思い込んでもいるはずだ。

 ジュストの視線が、改めてヒルダの装いを見定めるように行き来する。ヒルダの髪は横髪を編み込んで、短い後ろ足はそのまま。場に溶け込むならば必須の鬘も付髪も、あえてヒルダは拒否していた。ドレスは落ち着いた色味で、デザインは上品の一言。首から胸元にかけて緻密なレース模様が美しく、腰元を膨らませることなくすっきりした流れで裾が落ちる。今の流行りの数代前の型と聞くが、髪ともども異質であることに変わりはない。
 その異質さは、どこから来ているのか。
 見た者がどう思うかに任せるのではなく、思う方へ誘導してやるのがヒルダの腕の見せ所。

「なるほど。これが君の立ち回りか」

 察しのいいジュストが平坦な口調で呟き、これまでとは違う、恐ろしいほど静謐な色でヒルダを見下ろす。
 ヒルダはただ、笑みを深めた。









☆☆☆









 華やかな兄妹の姿を、同じ場で、同じ目線で見られた幸せは形容しがたい。ヒルダはこれを、きっちり収穫の一つに数えた。兄の凛々しさ、妹の可愛らしさは、いつも見ているとはいえ、社交場ではより輝きが増していた。
 本来なら二度と同じ舞台に立つなんてできないはずだった。そこだけは心底ジュストとドルフに感謝している。……これならジュストにも礼状を書ける気がしてきた。
 二人が驚愕と困惑を見せたこと。それより前のフェルトリタ伯爵のヒルダへの態度で、以降に訪れる人々からそれなりの手応えを感じた。この結果が上々となるかは後にわかることだが、幸先はいい。
 相手が誰だろうと気ままに振る舞うジュストも、最悪のラインは一応見極めているらしく、結局ヒルダが伝家の宝刀を抜くことにはならなかった。

 この夜会の終わりがけでまさかジュストと揃って会場から拉致されるという状況になってから、そのことを酷く後悔したが。
 急転直下すぎる。

 かたかたと細かい振動が止んでから尻の感覚が狂っていることに気づいて、ヒルダはげんなりした。頭もまだ揺れている気がする。

(こんな狭い所に二人無理やり押し込んで。酔って醜態を晒したらどうするつもりだったの)

 幸いヒルダもジュストも会場で酒を過ごしていたわけでもなく、乗り物酔いにも多少の耐性があったので惨劇は免れた。
 ヒルダがうっすらと目を開けても、視界はどこまでも闇一色だった。夜会でのことを――主に兄妹の晴れ姿を瞼の裏に描いてうっとりしながら時間を潰していたが、時間としては一時間ほど揺られていただろうか。

「着いたか」

 ジュストの声を久しぶりに聞いた気がする。この人は余計なことをよく言う口を、長時間ぴったり閉ざすこともできるらしい。
 不意に光が差し込んで目を細めた。

「お待たせしました。出ていただきましょう」

 まず武骨な男の手がヒルダの片腕を掴んで引き上げた。手首を合わせて縛られたので変な態勢で立ち上がってしまう。そのまま腰に手が回ったかと思うと、肩に荷物のように担がれた。
 うわあ、とヒルダとジュストは図らずも同じ言葉を内心で呟いた。思いはそれぞれ違うが。だがヒルダの懸念したようにはジュストは雑な対応がされなかった。大きな木箱から引き出されても地に足をつけられないヒルダと違い、ジュストは別の人物によって手と足の縄を断ち切られていた。
 ジュストは手首の縄痕をさすりながら木箱を自ら跨いで、数段の段差を経て地に降り立った。見上げるほど大きな男の肩に乗るヒルダを見て、脇でうっすら微笑みながら待っている初老の従僕を見て、さらに自分の拘束を切った男の手のナイフを見た。

「その娘も解放しろ。女性に対してその扱いはなんだ」
「申し訳ありません。公子さまに必要以上にお傷をつけることは心苦しく」

 ジュストが口をへの字に曲げ、聞こえていたヒルダは片方の唇を吊り上げた。
 ヒルダはジュストの人質というわけだ。二人揃って拉致された時点で察しはついていたが、あまりにも露骨だ。

「女性に傷をつける方が問題だろうが」
「申し訳ありません」
「そこの娘は近々我が家の養子になる予定だ。それでもか?」

 この従僕はわずかたりとも動じなかった。表情は微塵も変わらず、ただ瞳だけが嘲るように笑ってヒルダを見た。

「公子さまはお優しい。しかしこちらは身分低き娘です。女性とあっても誰彼構わずというわけには参りません。この娘のように、弁えを知らぬようになってしまいます」
「――恥知らずはお前だ」

 ジュストの低く唸るような声にも従僕は軽く頭を下げただけで、こちらへどうぞと先導するように踵を返した。ヒルダを担いだ男が続き、ジュストがもう一人の男に背後を取られ、渋々歩き始めた。
 ヒルダは腹への圧迫感に若干息を詰めながら視線をあちこちへ動かした。どこぞの屋敷の門が木箱を載せた馬車の奥に見える。低い階段を登って玄関をくぐっている間の振動が一番きつかったが、気遣いはほぼない。
 邸内の人の気配はそれなりだった。調度品などを見ていっても、わかりやすく家紋付のものが飾ってあるわけではない。少しは周到に計画されたらしい。

 視線だけ動かしてつぶさに確認していくヒルダは、途中でジュストと目が合った。息を呑んだのは、その怒気が肌を焼くように感じたからだ。ヒルダを担いでいる男は、背中にあんな視線を受けて、なにも感じていないのだろうか。
 ちょうどその時、ジュストに続いて男が玄関に入りきって、軋む音もなく扉が閉ざされた。
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