9 / 52
お披露目会にて
しおりを挟む
ミーノは、例のかっこいい服を着てお披露目会に挑んだ。この会には近所のおっちゃんや、八百屋のあんちゃんなど、多くの顔見しりがいたが、あまり来てほしくない、いや、是非来ないでほしかったヤツもいた。そう、ワリオと、そのジジイ。コホン。お爺さんも出ていた。目が合うや否やワリオは、
「ひひひ、来てやったぞ”ゴミ拾い”のためにな!」
すっごく嫌味たっぷりな言い回し。
(なにしに来やがったんだこいつ。来てやったなんて)
ものすごく嫌な気分でいると、その他の出席者のなかに、華があった。これまでは殆ど接点がなかったが、村の中の一番かわいいとされているルシアである。
「ル、ルシア、来てくれたんだ。すっごく嬉しい。」
「うん、ミーノの成人のお披露目だもん。」
ルシアは照れ臭そうに言うと、そばにいたワリオが、
「なんだよ、こんなやつのために来なくてもいいのに、ルシア。こいつは”ゴミ拾い”なんだぜ、ゴミなんだよ」
「ほっといてよ。アンタに言われる筋合いはないわ。私は来たくて来たのよ。職業がなんであれ、ミーノはミーノなんだから。仕事で差別するアンタより、よっぽどいいわ。」
「なぁ、そんなヤツより、”神官”である俺でどうだ?」
「はぁ?さっきも言ったけど、職業で人を選ぶことはないわ。それよりも性格悪いわねアンタ。アンタ本当に”神官”なの。全く胡散臭くって、アンタの言った言葉なんか信じられないわ。」
「ふん、俺が”神官”であることは神からの啓示なんだぞ。敬え、俺様を敬え。」
(全く嫌な奴だな。こんな奴が”神官”なんだからな。まあ、コイツが啓示を与えるにしても、だれも信じないだろうな。)
そんなやり取りをしているうちに、
「みんな、今日は我が息子ミーノのために集まっていただき、感謝する。あまり豪勢ではないがひと時の宴を楽しんでほしい。この後、ミーノから一言あるので、それまでの間ご歓談を。」
父さんがそう言うと、そこらかしこから拍手とともに、
「ミーノ、成人おめでとう。これからも宜しく。」
(ありがとう。みんな。こんな俺でも喜んででもらえるとは思ってもみなかった。)
ミーノはウルウルとした目で皆を見回した。が、一部お約束ではあるが、悔しそうな顔をした塊もある。そう、ワリオの一派である。
(ほんと、何しに来たんだ、コイツら。)
そう思っていると、
「ほほほほ、みんな、何を言っておる。そいつは”ゴミ拾い”なんだぞ、”ゴミ拾い”。村の役にもたたない、最低限の男だ。それよりもうちの孫を見てやってほしいい。わしと一緒の”神官”である。」
すっごく偉そうに、件の”神官”であるワリオの祖父がのたまった。その瞬間、集まってきてくれたみんなの顔色が変わった。
「あのなぁ、”神官”様よ。どんなにお偉い職業でも、その職業についた人間が最低だと、何の意味もないんだよ。最低だとな!」
ある村人がこういうと、
「う、うるせい。だれが最低だってんだよ。ミーノに決まってんだろ最低なのは。」
ワリオが顔を真っ赤にして憤慨して言うと、さらに、
「おめーだよ。お前。この最低人間が。みんな、これまでは黙ってきたが、この際言わせてもらおう。お前のしてきたことをぶちまけてやる。」
そうだ、そうだと、周囲からも声が上がった。
「な、なんだと。”神官”である俺様に逆らうのか?神からの啓示を受ける俺様だぞ。えらいんだぞ。」
「なにが俺様だ。お前、女と見ちゃ悪さをしてきただろう?去年、洗濯屋の娘に何をした?あの娘はお前にされたことで男性恐怖症にまでなったんだぞ。そのほかにも、小さい子供からカツアゲしたり、やりたい放題みたいだが?」
大暴露大会である。
「な、何のことかな?俺は知らんぞ。」
「ボケてもだめだ。村中が知ってるぞ。ああ、おまえだけじゃあなかったか。」
矛先がワリオの祖父に向かったようだ。
「おい、お前はもっと卑劣だな。表に出ない分、ワリオより質が悪い。お前のせいでどんだけ村が迷惑しているか分かってるのか?」
「わしには何のことだかわからんな。あまり変なことを言うと、お前の家族の啓示がどうなるかな。」
いじわるそうな、ニヤニヤした顔をしながらそう言った。
「なんでお前が啓示に関係するんだ。啓示は神から与えられる職業だぞ?」
「ふん、その啓示を言うのが”神官”であるわしだ。つまり、神とおなじだ。」
「はぁ?ただ伝えるだけなのに?まさか、これまでもそんなことをしてたのか?」
「さあな。どうだか。まあ、わし次第ではあるがな。」
(くそ、こいつのせいで何人が涙を流したんだ?何とかならないか。)
ミーノは考えた。
(そうだ、アレだ、この前旅人が漏らしてた、あの職業だ。そしてあのスキル。ふふふ、見ていろよ?)
「ひひひ、来てやったぞ”ゴミ拾い”のためにな!」
すっごく嫌味たっぷりな言い回し。
(なにしに来やがったんだこいつ。来てやったなんて)
ものすごく嫌な気分でいると、その他の出席者のなかに、華があった。これまでは殆ど接点がなかったが、村の中の一番かわいいとされているルシアである。
「ル、ルシア、来てくれたんだ。すっごく嬉しい。」
「うん、ミーノの成人のお披露目だもん。」
ルシアは照れ臭そうに言うと、そばにいたワリオが、
「なんだよ、こんなやつのために来なくてもいいのに、ルシア。こいつは”ゴミ拾い”なんだぜ、ゴミなんだよ」
「ほっといてよ。アンタに言われる筋合いはないわ。私は来たくて来たのよ。職業がなんであれ、ミーノはミーノなんだから。仕事で差別するアンタより、よっぽどいいわ。」
「なぁ、そんなヤツより、”神官”である俺でどうだ?」
「はぁ?さっきも言ったけど、職業で人を選ぶことはないわ。それよりも性格悪いわねアンタ。アンタ本当に”神官”なの。全く胡散臭くって、アンタの言った言葉なんか信じられないわ。」
「ふん、俺が”神官”であることは神からの啓示なんだぞ。敬え、俺様を敬え。」
(全く嫌な奴だな。こんな奴が”神官”なんだからな。まあ、コイツが啓示を与えるにしても、だれも信じないだろうな。)
そんなやり取りをしているうちに、
「みんな、今日は我が息子ミーノのために集まっていただき、感謝する。あまり豪勢ではないがひと時の宴を楽しんでほしい。この後、ミーノから一言あるので、それまでの間ご歓談を。」
父さんがそう言うと、そこらかしこから拍手とともに、
「ミーノ、成人おめでとう。これからも宜しく。」
(ありがとう。みんな。こんな俺でも喜んででもらえるとは思ってもみなかった。)
ミーノはウルウルとした目で皆を見回した。が、一部お約束ではあるが、悔しそうな顔をした塊もある。そう、ワリオの一派である。
(ほんと、何しに来たんだ、コイツら。)
そう思っていると、
「ほほほほ、みんな、何を言っておる。そいつは”ゴミ拾い”なんだぞ、”ゴミ拾い”。村の役にもたたない、最低限の男だ。それよりもうちの孫を見てやってほしいい。わしと一緒の”神官”である。」
すっごく偉そうに、件の”神官”であるワリオの祖父がのたまった。その瞬間、集まってきてくれたみんなの顔色が変わった。
「あのなぁ、”神官”様よ。どんなにお偉い職業でも、その職業についた人間が最低だと、何の意味もないんだよ。最低だとな!」
ある村人がこういうと、
「う、うるせい。だれが最低だってんだよ。ミーノに決まってんだろ最低なのは。」
ワリオが顔を真っ赤にして憤慨して言うと、さらに、
「おめーだよ。お前。この最低人間が。みんな、これまでは黙ってきたが、この際言わせてもらおう。お前のしてきたことをぶちまけてやる。」
そうだ、そうだと、周囲からも声が上がった。
「な、なんだと。”神官”である俺様に逆らうのか?神からの啓示を受ける俺様だぞ。えらいんだぞ。」
「なにが俺様だ。お前、女と見ちゃ悪さをしてきただろう?去年、洗濯屋の娘に何をした?あの娘はお前にされたことで男性恐怖症にまでなったんだぞ。そのほかにも、小さい子供からカツアゲしたり、やりたい放題みたいだが?」
大暴露大会である。
「な、何のことかな?俺は知らんぞ。」
「ボケてもだめだ。村中が知ってるぞ。ああ、おまえだけじゃあなかったか。」
矛先がワリオの祖父に向かったようだ。
「おい、お前はもっと卑劣だな。表に出ない分、ワリオより質が悪い。お前のせいでどんだけ村が迷惑しているか分かってるのか?」
「わしには何のことだかわからんな。あまり変なことを言うと、お前の家族の啓示がどうなるかな。」
いじわるそうな、ニヤニヤした顔をしながらそう言った。
「なんでお前が啓示に関係するんだ。啓示は神から与えられる職業だぞ?」
「ふん、その啓示を言うのが”神官”であるわしだ。つまり、神とおなじだ。」
「はぁ?ただ伝えるだけなのに?まさか、これまでもそんなことをしてたのか?」
「さあな。どうだか。まあ、わし次第ではあるがな。」
(くそ、こいつのせいで何人が涙を流したんだ?何とかならないか。)
ミーノは考えた。
(そうだ、アレだ、この前旅人が漏らしてた、あの職業だ。そしてあのスキル。ふふふ、見ていろよ?)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる