44 / 52
新たなる旅立ち
しおりを挟む
王都での準備が完了した二人は、ギルド本店へと出向き、
「ギルド総長に面会したいんですけど?」
「はい、総長室にいらっしゃいますので、どうぞ。」
ミーノ達は総長に会うと、
「今日から、長期間の旅に出たいと思います。なので、ギルドでの依頼は受けられそうにないのですが、よろしいですか?」
「大丈夫よ。ちょっとした町ならギルドの支店があるから。町を通過するたびに、その支店に顔を出してちょうだい。各支店には、既に通達済みよ。」
「なるほど、支店ごとの依頼を受ければいいんですね。」
「その通り。君たちは数少ない0級なので、各支店で問題となっている依頼を受けてくれるとありがたいわ。」
「分かりました。その様に行動いたします。」
「で、どこに向かうつもり?」
「まずは、シモーダに行く予定です。」
「あら、そうしたら、途中でヨコハーに寄って頂戴。ちょっと困った案件があるので。」
「ヨコハーですね。ここからだと、明日にでも。」
「は?明日?どういう事?」
「あれ?聞いてなかったんですか?僕には『飛行』のスキルがあるんですよ。」
「あっ、そうだったわね。しかし便利よね。それだとあまり疲れないし、盗賊なんかに出会うこともなさそうだし。」
「でもワイバーンなんかに遭遇する可能性はありますよ?」
「あんたたちには何の問題もないでしょ?そんな魔獣。」
「まあ、ないっちゃあないんですけどね。」
「ほんとに非常識なのね。普通の人間だと、死活問題なのに。」
「あはっ、あはは。」
こうしてギルド長に面会が終わると、
「じゃあヘレン、行こうか。」
「そうね行きましょう。でも、王都を出て暫くは歩きよ?出来るだけ見られないようにしなきゃ。」
「1時間も歩けばいいかな。そこからヨコハーに向かおう。」
「うん。」
王都を出発して1時間後、
「ここまでくれば大丈夫かな。じゃあヘレン、抱っこ。」
ミーノはヘレンを抱きかかえると、
「『飛行』!」
そう言うと、ものすごいスピードで飛び立つ。
「ねえミーノ、どのくらいで着くの?」
「そうだね、30分くらいかな?」
「お昼はヨコハーで食べよっか。で、名物ってなかったっけ?」
「ヘレン、この前買った地図には、なにか情報はなかったの?」
「ちょっと待って。」
ヘレンは考えるように間を置くと、
「あっ、思い出した。シーマイって言うたべ物があるらしい。」
「へえ、どんな食べ物?」
「よくわかんないけど、直径4センチ、高さ3センチぐらいの円柱の形をしているみたい。それを蒸していて、中には引き肉やらいろいろと入っているみたい。」
「おいしそうだな。それにしよう。」
二人が到着したころ、丁度お昼時であったため、
「うわっ、結構混んでるね、この店。」
「地図にもお薦めされてたからね。でも少し待てば食べられそう。」
30分程待つと、そこには、
「これがシーマイか。いい匂いだね。」
「そうね、ほくほくの湯気が立ってるし。でも、どうやって食べるんだろう?」
周囲を見回すと、ちっちゃなお魚みたいな容器に入っている液体をかけて食べているようだ。
「ミーノ、この小さいお魚の中に入っている液体を付けて食べるみたいよ。」
「中には何が入っているんだろう。」
ミーノが容器から液体を取り出すと、
「真っ黒な液体が入ってるね。ちょっと舐めてみるか。」
ミーノが小指の先に、その液体をつけて舐めると、
「うん、ちょっとしょっぱいけどおいしい。なるほどね。ヘレン、これをつけて食べてみよう。」
二人が黒い液体をつけて食べると、
「おいしー!この黒い液体とシーマイがよく合う!でも、この液体は何だろう。お店の人に聞いてみようよ。」
お店の人に聞くと、どうやらその黒い液体はシーユというらしい。
「ねえミーノ、シーユって仕入れていかない?なんにでも合いそう。」
「店員さん、このシーユはどこで買えますか?」
「ああ、こんなもん、そこいらの店では、どこでも売ってるさ。でも気を付けるんだね。まがい物もあるからさ。でもうちで仕入れているものなら特級品だぜ?」
「なんて名前の銘柄ですか?」
「その名もユアサシーユだ。ヨコハーからかなり西に行った、ワカマって所のモンだぜ。取り寄せるのに3か月はかかる代物だぜ?」
「ワカマのユアサシーユですね。ありがとうございました。」
その情報を聞いたヘレンは、
「地図にあったわよ。へえー、随分と遠いわね。何々、鯨やマグロがおいしいって書いてあるわ。ミーノ、次はそこよ!」
「ヘレン、まだシモーダにも着いてなんだよ?気が早すぎ!」
「てへ、ペロ。」
「ま、いいけど。取り敢えず、シーユを買って宿の確保、それからヨコハー支部に顔を出そうか。」
「そうしましょ。」
こんな形で二人の旅は始まったのである。
「ギルド総長に面会したいんですけど?」
「はい、総長室にいらっしゃいますので、どうぞ。」
ミーノ達は総長に会うと、
「今日から、長期間の旅に出たいと思います。なので、ギルドでの依頼は受けられそうにないのですが、よろしいですか?」
「大丈夫よ。ちょっとした町ならギルドの支店があるから。町を通過するたびに、その支店に顔を出してちょうだい。各支店には、既に通達済みよ。」
「なるほど、支店ごとの依頼を受ければいいんですね。」
「その通り。君たちは数少ない0級なので、各支店で問題となっている依頼を受けてくれるとありがたいわ。」
「分かりました。その様に行動いたします。」
「で、どこに向かうつもり?」
「まずは、シモーダに行く予定です。」
「あら、そうしたら、途中でヨコハーに寄って頂戴。ちょっと困った案件があるので。」
「ヨコハーですね。ここからだと、明日にでも。」
「は?明日?どういう事?」
「あれ?聞いてなかったんですか?僕には『飛行』のスキルがあるんですよ。」
「あっ、そうだったわね。しかし便利よね。それだとあまり疲れないし、盗賊なんかに出会うこともなさそうだし。」
「でもワイバーンなんかに遭遇する可能性はありますよ?」
「あんたたちには何の問題もないでしょ?そんな魔獣。」
「まあ、ないっちゃあないんですけどね。」
「ほんとに非常識なのね。普通の人間だと、死活問題なのに。」
「あはっ、あはは。」
こうしてギルド長に面会が終わると、
「じゃあヘレン、行こうか。」
「そうね行きましょう。でも、王都を出て暫くは歩きよ?出来るだけ見られないようにしなきゃ。」
「1時間も歩けばいいかな。そこからヨコハーに向かおう。」
「うん。」
王都を出発して1時間後、
「ここまでくれば大丈夫かな。じゃあヘレン、抱っこ。」
ミーノはヘレンを抱きかかえると、
「『飛行』!」
そう言うと、ものすごいスピードで飛び立つ。
「ねえミーノ、どのくらいで着くの?」
「そうだね、30分くらいかな?」
「お昼はヨコハーで食べよっか。で、名物ってなかったっけ?」
「ヘレン、この前買った地図には、なにか情報はなかったの?」
「ちょっと待って。」
ヘレンは考えるように間を置くと、
「あっ、思い出した。シーマイって言うたべ物があるらしい。」
「へえ、どんな食べ物?」
「よくわかんないけど、直径4センチ、高さ3センチぐらいの円柱の形をしているみたい。それを蒸していて、中には引き肉やらいろいろと入っているみたい。」
「おいしそうだな。それにしよう。」
二人が到着したころ、丁度お昼時であったため、
「うわっ、結構混んでるね、この店。」
「地図にもお薦めされてたからね。でも少し待てば食べられそう。」
30分程待つと、そこには、
「これがシーマイか。いい匂いだね。」
「そうね、ほくほくの湯気が立ってるし。でも、どうやって食べるんだろう?」
周囲を見回すと、ちっちゃなお魚みたいな容器に入っている液体をかけて食べているようだ。
「ミーノ、この小さいお魚の中に入っている液体を付けて食べるみたいよ。」
「中には何が入っているんだろう。」
ミーノが容器から液体を取り出すと、
「真っ黒な液体が入ってるね。ちょっと舐めてみるか。」
ミーノが小指の先に、その液体をつけて舐めると、
「うん、ちょっとしょっぱいけどおいしい。なるほどね。ヘレン、これをつけて食べてみよう。」
二人が黒い液体をつけて食べると、
「おいしー!この黒い液体とシーマイがよく合う!でも、この液体は何だろう。お店の人に聞いてみようよ。」
お店の人に聞くと、どうやらその黒い液体はシーユというらしい。
「ねえミーノ、シーユって仕入れていかない?なんにでも合いそう。」
「店員さん、このシーユはどこで買えますか?」
「ああ、こんなもん、そこいらの店では、どこでも売ってるさ。でも気を付けるんだね。まがい物もあるからさ。でもうちで仕入れているものなら特級品だぜ?」
「なんて名前の銘柄ですか?」
「その名もユアサシーユだ。ヨコハーからかなり西に行った、ワカマって所のモンだぜ。取り寄せるのに3か月はかかる代物だぜ?」
「ワカマのユアサシーユですね。ありがとうございました。」
その情報を聞いたヘレンは、
「地図にあったわよ。へえー、随分と遠いわね。何々、鯨やマグロがおいしいって書いてあるわ。ミーノ、次はそこよ!」
「ヘレン、まだシモーダにも着いてなんだよ?気が早すぎ!」
「てへ、ペロ。」
「ま、いいけど。取り敢えず、シーユを買って宿の確保、それからヨコハー支部に顔を出そうか。」
「そうしましょ。」
こんな形で二人の旅は始まったのである。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる