7 / 11
ダイヤモンド
しおりを挟むゴブリンとの戦闘で剣を折られたサーシャは、何もする事が出来ずに住まいであるテントに一緒に戻ってきた。
何故か分からないが重い雰囲気が流れていて、中々話しかけられない。
そんなに大事な剣だったのだろうか?
「ぐすっ……この剣は、姉ちゃんから買ってもらった大事な物だったのに……ぅぅ」
話しかけたわけじゃないが、唐突に語りだす。
「オレと姉ちゃんは家族が死んでから、二人で冒険者ギルドに行ってハンターになったんだ」
ふーん、それは辛かったな……
サーシャの話を聞き適当に相槌を打って、折れた剣を直すためのスキルを考える。
「姉ちゃんは優しくて、ハンターになった時に、この剣をプレゼントしてくれた。 それで一流のハンターになろうって約束したんだ……」
「ヘぇ~いい姉ちゃん」
【スキル作成】を使い【修理修復】のスキルを作り出す。
【修理修復】……破損した箇所を作り直す。
「でも、あの日オレが勝手に、自分の身に合わない、でかいクエストを受けちまった。 そのせいでクエストに失敗してオレ達は高額な罰金を払うことになって……」
「ほうほう」
「全然お金なかったから、オレの代わりに姉ちゃんが……」
たぶん、このスキルで直せると思うけど話が長過ぎて、いつのタイミングで剣を修復していいのか分からん。
「……姉ちゃんは奴隷になったんだ」
奴隷になる事で罰金を払ったのか。
「だからオレは決めたんだ!」
まだ続くのか……
「魔物を倒して、いっぱい稼いで奴隷になった姉ちゃんを買い戻すって」
「サーシャは偉いな」
よくできた妹だ。
「だけど……ぐすっん。 この剣が折れちまったから……もう、戦えない。 魔物を狩れない……直す金もない、うえ~ん」
泣き出してしまうサーシャ。
実に可哀想。
こんだけ貧乏で、頑張ってる姿を見てたら助けてやりたくなってきた。
俺がタダで助けるなんて、有り得ないけどな……
「サーシャ、折れた剣を渡せ……」
「ぐすっ……ふぁい、ぅぅ」
素直に渡してくれた剣に【修理修復】のスキル使う。
折れた剣が光に包まれていき、徐々に直っていく。
やがて完全な形に再生した剣を、サーシャに返す。
「……え……えぇぇ!? な、何で!?」
全てはチートでどうにかなる。
本当にこのスキルは万能すぎるな。
「何でだよ? どうやって直したんだ?」
「チートスキルを使った!」
はぁ?って顔してるが本当のことだ。
サーシャは修復された剣を振り回して試してる。
嬉しいんだろうけど、狭いテントでは俺に当たりそうで危ないから辞めて欲しい。
「すっげー本当に直ってる!? お前やっぱり凄い奴だ!」
「とりあえず座れよ。 話したい事もあるし……」
「う……うん!」
やっと、この女を攻略する糸口が見えたのだ。
いや、それだけじゃない……最高のお宝を見つけてしまった。
サーシャに姉がいるって話だが、要するに2人は姉妹という事だ。
当初の予定ではサーシャのパンティーをGETするつもりだったが、気が変わった。
……俺は最高のパンティーを同時に手に入れたい!!!
そうサーシャと姉の姉妹パンティーを!!!
2つのパンティーの匂いを同時に嗅ぐという、この世で最も罪な行為。
いやいや……最も誉れ高き行為をしたい!
俺の全てを出し切って必ず手に入れてみせる。
俺なら絶対に出来る。
俺とチートスキルさえあれば……
「サーシャの姉ちゃんは俺が買ってやる! その変わり俺の女になれ!」
「そんな金、セツナが持ってるわけないだろう。 オレのテントに来たとき自分で言ってたじゃないか!」
ああ、そうだ。
俺は確かに一文無しだ。
そのせいで宿にすら泊まれなかった。
今も変わらず金はない。
だけどな、よくよく考えてみれば、簡単に一瞬でお金を稼ぐ方法がある。
その攻略方は【ネットショップ】のスキルだ。
このスキルは地球にある、あらゆる物取り寄せる事ができる。
しかもデメリットなしのタダで。
このスキルで宝石を注文して、こっちの世界で売れば、元手無しで金儲けができるって寸法だ。
問題は宝石を売る場所があるのか?
「宝石商ってあるか?」
◆◆◆
サーシャに聞き出した宝石商へと1人で訪れた俺は、店の中へと案内され応接間へと入っていく。
中には礼儀正しそうな紳士服を着た40代ぐらいの男がおり、丁寧な言葉で座るように促される。
給仕の人がお茶を運び、俺の前に置いてくれる。
好みとしてお茶より珈琲の方が好きだが、人の店で贅沢言うのも無粋だ。
出された物は有り難く飲もう。
「ごくごく……うっっっま!?」
この紅茶美味すぎる。
香り高く、華やかなフルーティーな味わいに舌鼓する。
しまった……ビックリして一気に飲んでしまった。
もっと味わって飲みべきだったのに……
「ははは、気に入って貰えましたか? 最高級の茶葉を使ったストレートティーになります」
「美味しかった。 ありがとう」
「いえいえ。 それでは話に入らせて頂きます。 当店へお越し頂きありがとうございます。 私の名前はジュエルと申します。 お客様、売りたい物が有るとの事ですが、どのような品でしょうか?」
話が早くて助かる。
いちいち、まどろっこしい説明等聞きたくない。
「俺が売りたいのはコレだ」
【アイテムボックス】がバレるの避ける為に巾着袋に前もって入れておいたルビー、サファイアをポケットから取り出して、テーブルに置く。
この宝石は全部、【ネットショップ】で取り寄せた物だ。
「開けてみてもよろしいでしょうか?」
頷いてみせると、巾着袋の中を確かめるジュエル。
眼をカッと見開き、中の物に驚いている。
「これ程の物とは……一体コレをどこで手に入れたのですか?」
「俺の故郷の物でな……それ以上は秘密だ!」
リアルな話だ。
嘘偽りなく俺がいた地球産の物。
「素晴らしい! このルビーとサファイアの純度、それに綺麗に形造るカットの技術! なかなかお目に出来ません」
さすが宝石商の人だ。
一目でルビとサファイアを見抜きやがった。
俺は宝石に詳しくないが、故郷の物をそこまで褒められたら嬉しくなる。
「で? 買ってもえるのか?」
思案顔になるジュエルは少し間をおいてから口を開く……
「金貨200枚でどうでしょうか?」
実際どれぐらいの価値があるか俺には判断がつかない。
そこまで金が欲しいとは思わないが、今回はサーシャの姉を買うための必要な金額が分かっていないから、多めに欲しい。
俺はポケットから、もう一つの巾着袋を取り出してジュエルに直接渡す。
中を見るように促す……
「ソレが何か分かるか?」
「こ、こ、これは!?」
巾着袋を開いて中を確認して驚愕している。
コレの価値が果たして、幾らぐらいになるか楽しみだ。
「ダイヤモンド!? ……だと!」
その通りだ……
数多の宝石の中でも1番美しい物。
ダイヤモンドカットの中で最も人気の高いブリリアントカットを使用……それにより魅力はダイヤの魅力を100%引き出し、まばゆいきらめきを生み出している。
何故、女でもないのに男の俺がそんなに分かるかって、不思議だと思う。
ダイヤモンドに【鑑定】スキルを使っているから、詳細内容が把握できる。
「う、美しいぃぃ! 私が見てきた、どの宝石よりも美しい!」
「ああ、そうだろう。 いくらで買ってくれる?」
「し、失礼しました。 取り乱してしまいました。 そうですね……」
そう言って冷静を装い、落ち着きを取り戻したジュエル。
額からは一粒の汗が流れ落ちる。
内心では、まだ焦っている事が伺える。
「ふぅ~ルビー、サファイア、ダイヤモンド、全部合わせて金貨1000枚でどうでしょうか?」
「ああ、その金額で売却する」
「ありがとうございます。 直ちに用意させます」
「いい商談だった。」
「いえいえ、こちらこそ。 また何かあれば、是非私の店に売りに来て下さい」
無事に商談が成立して、宝石を売却したお金を貰う。
金貨1000枚もあれば奴隷を買えるとは思うが、一応帰ってからサーシャに確認しておこう。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる