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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 3
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それから、俺たち三人のメンバーを順番に見渡して、促すように宿の入り口へと腕を差し出した。
「みんなも、ずっと車の中にいて疲れたでしょう? 部屋はもう用意してあるから、どうぞ」
「ありがとうございます。ええと……」
「ああ、わたしは梅木碧です。一応、ここの従業員みたいなものだから、何か困ったことがあったら、遠慮なく声をかけてね」
呼び名に困り言葉を詰まらせた部長に、女性――碧さんはそう告げた。
「梅木……ってことは、村長さんのご家族ですか?」
先程聞いた話を思い出したのだろう、桜が訊ねる。
「ええ。わたしは村長の義理の娘だけど。ほら、あそこに建ってるのがその村長の家よ」
答えながら碧さんが指差したのは、藤美荘の敷地のすぐ隣に建てられた立派な屋敷だった。
由緒正しい日本家屋、といった感じだろうか。
平屋だが、かなり大きな家だ。
敷地面積で言えば、田んぼ四つ分くらいは余裕であるように思う。
屋根の両端には、豪奢な鬼瓦が見えた。
屋敷の周囲は塀に囲まれているめ全体をくまなく見ることはできないが、庭の広さもかなりあるようだ。
「さすが村長の家というか、凄いですね」
半ば見とれるように屋敷を眺めながら、桜は感心したように呟く。
「うん、わたしも嫁いだばかりの頃は、凄い所に来ちゃったなって思ったりしてたわ。今は慣れて、むしろ掃除が大変で困ってるんだけど」
入口へ案内するため歩きだす碧さんに続きながら、俺はスマホを開いて時間を確かめる。
時刻は、午後十二時半を少し過ぎたあたり。
「あ……」
それを確認した瞬間、スマホの電波が入っていないことに気がついた。
「ん? どうしたの、雄治」
「ここ、スマホ使えないみたいだぜ」
首を向けてくる桜に、俺はスマホの画面を見せる。
「え、嘘……。うわぁ、ホントだぁ。電波届いてないじゃん」
慌てて自分のスマホも確かめる桜だったが、結果は同じだったようだ。
信じられないというように、顔をしかめている。
「あ、ごめん。言い忘れてたけど、この辺り一帯はガラケーもスマホも使えないから諦めてね」
うっかりしてましたと言わんばかりに、由奈さんが手を合わせて言ってくる。
「どうしてもスマホを使いたいって時は、もっと下った場所まで行かないと無理だね。まぁ、宿の固定電話とかは普通に使えるから、どうしようもないわけじゃないけど。とりあえずメールやネットは諦めてね」
「そんなぁ……」
「慣れないと不便に感じるかもしれないけど、実際にこういう環境で生活すると、携帯電話なんか無くても意外と困らないものだって思うようになるわよ」
しょぼくれる桜へ、碧さんが諭すように声をかける。
「ここにいる間くらいは、そういう普段の習慣から離れて自然を満喫してほしいな。都会とは違う発見が沢山できるから」
宿の入り口へ到着する。
元は学校というだけあって、その面影は残り過ぎているくらいに残っている。
しかし、最低限の改装はしているようで床に敷かれた赤い絨毯や、玄関の真正面に飾られた藤の木を模したレプリカ、壁にかけられた誰が描いたかわからない田舎風景の絵画など、旅館らしく演出しようとする努力は見受けられた。
「みんなも、ずっと車の中にいて疲れたでしょう? 部屋はもう用意してあるから、どうぞ」
「ありがとうございます。ええと……」
「ああ、わたしは梅木碧です。一応、ここの従業員みたいなものだから、何か困ったことがあったら、遠慮なく声をかけてね」
呼び名に困り言葉を詰まらせた部長に、女性――碧さんはそう告げた。
「梅木……ってことは、村長さんのご家族ですか?」
先程聞いた話を思い出したのだろう、桜が訊ねる。
「ええ。わたしは村長の義理の娘だけど。ほら、あそこに建ってるのがその村長の家よ」
答えながら碧さんが指差したのは、藤美荘の敷地のすぐ隣に建てられた立派な屋敷だった。
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平屋だが、かなり大きな家だ。
敷地面積で言えば、田んぼ四つ分くらいは余裕であるように思う。
屋根の両端には、豪奢な鬼瓦が見えた。
屋敷の周囲は塀に囲まれているめ全体をくまなく見ることはできないが、庭の広さもかなりあるようだ。
「さすが村長の家というか、凄いですね」
半ば見とれるように屋敷を眺めながら、桜は感心したように呟く。
「うん、わたしも嫁いだばかりの頃は、凄い所に来ちゃったなって思ったりしてたわ。今は慣れて、むしろ掃除が大変で困ってるんだけど」
入口へ案内するため歩きだす碧さんに続きながら、俺はスマホを開いて時間を確かめる。
時刻は、午後十二時半を少し過ぎたあたり。
「あ……」
それを確認した瞬間、スマホの電波が入っていないことに気がついた。
「ん? どうしたの、雄治」
「ここ、スマホ使えないみたいだぜ」
首を向けてくる桜に、俺はスマホの画面を見せる。
「え、嘘……。うわぁ、ホントだぁ。電波届いてないじゃん」
慌てて自分のスマホも確かめる桜だったが、結果は同じだったようだ。
信じられないというように、顔をしかめている。
「あ、ごめん。言い忘れてたけど、この辺り一帯はガラケーもスマホも使えないから諦めてね」
うっかりしてましたと言わんばかりに、由奈さんが手を合わせて言ってくる。
「どうしてもスマホを使いたいって時は、もっと下った場所まで行かないと無理だね。まぁ、宿の固定電話とかは普通に使えるから、どうしようもないわけじゃないけど。とりあえずメールやネットは諦めてね」
「そんなぁ……」
「慣れないと不便に感じるかもしれないけど、実際にこういう環境で生活すると、携帯電話なんか無くても意外と困らないものだって思うようになるわよ」
しょぼくれる桜へ、碧さんが諭すように声をかける。
「ここにいる間くらいは、そういう普段の習慣から離れて自然を満喫してほしいな。都会とは違う発見が沢山できるから」
宿の入り口へ到着する。
元は学校というだけあって、その面影は残り過ぎているくらいに残っている。
しかし、最低限の改装はしているようで床に敷かれた赤い絨毯や、玄関の真正面に飾られた藤の木を模したレプリカ、壁にかけられた誰が描いたかわからない田舎風景の絵画など、旅館らしく演出しようとする努力は見受けられた。
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