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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 17
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刹那、ビクリとしたように碧さんは身体を強張らせると、罰が悪そうに視線を逸らし、どこか苦しそうに口元を歪ませる。
その些細な変化に違和感を覚えるも、口を挟むこともできぬため俺は成り行きを見守るしかない。
「とにかく、たまにはお義母さんの声も聞いてあげてください。じゃあ、わたしはまだやることがあるから」
心持ち早口でそう告げると、碧さんは俺たちに目礼だけして、退散するように通路を引き返していく。
「ありゃ、気分悪くさせちゃったかな」
その背中をにやつきながら見送り、昇さんはどこか愉快そうに呟く。
「昇さん、あんまり突っつかないで。下手に刺激して面倒事になったら……」
煩わし気に昇さんを見て、竜久さんが呻く。
「は? 大丈夫だよ。あの人に面倒事起こす度胸なんかねぇさ」
姿が見えなくなった碧さんを追うように今一度通路の奥を一瞥し、昇さんは再び俺たちへ顔を向けてきた。
「いやいや、悪いね。お客さんの前で身内の会話なんかしちゃって」
「いえ、それより碧さんどうかされたんですか? 何だか様子が変でしたけど」
不審そうに目を細め、そう訊ねたのは部長だった。
「ん? 別に気にしなくて良いよ。あの人、自分が子供産めないこと気にしてるだけだから」
「昇さん……」
軽口をたたくように答える村長の甥へ、忍耐が切れたかのように由奈さんが声をかけた。
「おっと、失礼。こんな話を聞かせても仕方がないね。それじゃ、俺らは家に戻りますんで、みんなは田舎旅行楽しんでってください。野島さんも、お疲れさん」
ヒラヒラと手を振り、男二人は玄関で靴を履く。
最後に、竜久さんはちらりとこちらを見ると軽く会釈をしていった。
「……なんか、凄い嫌な感じ」
二人が藤美壮を出ていくと同時、桜が不機嫌な呟きを漏らす。
「ごめんね、みんな。あの人たち、村でもかなり嫌われてる二人なの。滅多にこっちには来ないから、これ以上害はないと思うけど……」
困ったように息をつき、由奈さんは無理矢理笑顔を作る。
「親族なのに、碧さんとも仲が悪いみたいだね」
従弟に言われ、由奈さんはうん、と頷く。
「ホントはあんまり言い触らしたくないけど、碧さん、赤ちゃんが産めない身体らしいの」
「赤ちゃんを?」
「そう。本人も結婚してからわかったらしくて、長男のお嫁だし家の中では跡継ぎを産んでくれること期待されてたのに、それができないって負い目を感じてるみたい」
「可哀想……」
複雑な気持ちを露に、桜が呟く。
「でも、旦那の晴也さんは気にしないって言ってくれてるし、村長はあの性格だから仕方ないの一言で笑顔で済ませてるのが現実。そんなに冷遇はされてないよ」
「でも、今の二人みたいに嫌味を言う人もいるんでしょ?」
昇さんたちが去っていった方向を視線で示し、部長が問う。
「う~ん、千賀子さんはがっかりしてたみたいだけど。いちいち文句言うのはあの二人くらいよ。特に竜久さんがね、迷惑がってるみたいで」
「竜久さんが?」
迷惑がる、とはどういう意味なのか。
その些細な変化に違和感を覚えるも、口を挟むこともできぬため俺は成り行きを見守るしかない。
「とにかく、たまにはお義母さんの声も聞いてあげてください。じゃあ、わたしはまだやることがあるから」
心持ち早口でそう告げると、碧さんは俺たちに目礼だけして、退散するように通路を引き返していく。
「ありゃ、気分悪くさせちゃったかな」
その背中をにやつきながら見送り、昇さんはどこか愉快そうに呟く。
「昇さん、あんまり突っつかないで。下手に刺激して面倒事になったら……」
煩わし気に昇さんを見て、竜久さんが呻く。
「は? 大丈夫だよ。あの人に面倒事起こす度胸なんかねぇさ」
姿が見えなくなった碧さんを追うように今一度通路の奥を一瞥し、昇さんは再び俺たちへ顔を向けてきた。
「いやいや、悪いね。お客さんの前で身内の会話なんかしちゃって」
「いえ、それより碧さんどうかされたんですか? 何だか様子が変でしたけど」
不審そうに目を細め、そう訊ねたのは部長だった。
「ん? 別に気にしなくて良いよ。あの人、自分が子供産めないこと気にしてるだけだから」
「昇さん……」
軽口をたたくように答える村長の甥へ、忍耐が切れたかのように由奈さんが声をかけた。
「おっと、失礼。こんな話を聞かせても仕方がないね。それじゃ、俺らは家に戻りますんで、みんなは田舎旅行楽しんでってください。野島さんも、お疲れさん」
ヒラヒラと手を振り、男二人は玄関で靴を履く。
最後に、竜久さんはちらりとこちらを見ると軽く会釈をしていった。
「……なんか、凄い嫌な感じ」
二人が藤美壮を出ていくと同時、桜が不機嫌な呟きを漏らす。
「ごめんね、みんな。あの人たち、村でもかなり嫌われてる二人なの。滅多にこっちには来ないから、これ以上害はないと思うけど……」
困ったように息をつき、由奈さんは無理矢理笑顔を作る。
「親族なのに、碧さんとも仲が悪いみたいだね」
従弟に言われ、由奈さんはうん、と頷く。
「ホントはあんまり言い触らしたくないけど、碧さん、赤ちゃんが産めない身体らしいの」
「赤ちゃんを?」
「そう。本人も結婚してからわかったらしくて、長男のお嫁だし家の中では跡継ぎを産んでくれること期待されてたのに、それができないって負い目を感じてるみたい」
「可哀想……」
複雑な気持ちを露に、桜が呟く。
「でも、旦那の晴也さんは気にしないって言ってくれてるし、村長はあの性格だから仕方ないの一言で笑顔で済ませてるのが現実。そんなに冷遇はされてないよ」
「でも、今の二人みたいに嫌味を言う人もいるんでしょ?」
昇さんたちが去っていった方向を視線で示し、部長が問う。
「う~ん、千賀子さんはがっかりしてたみたいだけど。いちいち文句言うのはあの二人くらいよ。特に竜久さんがね、迷惑がってるみたいで」
「竜久さんが?」
迷惑がる、とはどういう意味なのか。
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