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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 18
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意味が理解できず、俺は問いを投げる。
「長男夫婦が跡継ぎを残せない以上、次男の竜久さんが代わりにって話になってるみたいで。でも竜久さん、子供はおろか結婚自体に興味がないみたい。家を継ぐことすらも嫌でいるみたいだし、だから兄夫婦に対しては面倒事を押し付けられたように感じるのかしらね」
「ああ……、なんかよくありそうな話だね」
うんうんと頷きながら、部長が相槌を打つ。
「でも、それはあくまであの竜久って人と家族の問題ですよね? あの村長の甥だっていう昇さんは、何なんですか?」
未だ敵意を含むようなニュアンスで、桜が話を広げる。
「何って言われても困るんだけど……、あの人は村長のお兄さんの一人息子だとか言ってたかな。三年前、両親が他界したのをきっかけにここに来たの。と言うか、村長が引き取ったような形かな」
「引き取ったって、子供じゃあるまいし……」
俺が言うと、由奈さんは苦笑してみせた。
「わたしもそう思うけどね。あの人、良い歳して仕事もまともにしてなかったみたいで。それを見かねた村長が、家で面倒みてやるぞって話になったとかなんとか。竜久さんもだけど、まともに仕事しないでだらけてばかりだよ。毎日山の堤で釣りしたり、遊んでるだけ。だから、村の人たちからも白い目で見られてるの。村長の所の馬鹿二人なんて言われたりしてね」
「うあ……、最低じゃないですか」
横で渋面を浮かべる幼なじみの声を聞きつつ、俺はあの二人の姿を思い返す。
見た目だけで判断しても、二十代でないことは明らかだった。
どんなに若く見積もっても、せいぜい三十代半ばから後半。
そんな歳になって未だ親の脛を齧るような生き方をしているというのは、さすがにドン引きするしかない。
ましてや昇さんに至っては、居候の身であろうに。
仕事はおろか、経営している宿の手伝いすらしようとしないさっきの態度は、さすがに情けなさ過ぎて呆れてしまう。
――たぶん、村長も悪いんだろうな。
これは確実に甘やかし過ぎだろう。
「あたし、あの昇って人は嫌い。いやらしい目であたしと乃亜ちゃんのこと見てたし、絶対変態だよ」
「ま、気持ち悪いのは確かね。ぶっちゃけ、普段から何考えてるかわかんない人だし。さぁ、そろそろ部屋に戻って休んでて。わたしはいろいろ手伝いがあるから」
つまらない話は終わりといった感じで締めくくり、由奈さんは右手を腰に当てながら微笑んだ。
「夕飯になったら食堂に案内するからね」
「食堂なんてあるの?」
部長が訊くと、由奈さんはあるよと頷いた。
「一階の奥。客室と同じで教室を改造しただけの場所だけど、料理はちゃんとしたものが出てくるから安心して。間違っても給食とかはないから」
おどけたように笑う由奈さんにつられ、俺たちの表情も緩む――ただし、蓮田は例外だが。
「じゃあ、あたしはお風呂入ってきちゃおうかな。乃亜ちゃんはどうする?」
気分を変えるように明るく告げ、桜が後輩を振り返る。
「はい、ではせっかくなので……」
コクリと頷いた蓮田に、桜は嬉しそうに目を大きくした。
「あ、珍しく意見が合った! よしよし、じゃあ女の子同士親睦でも深めましょうか」
「よし、それじゃあ僕たち男性陣も一度部屋に戻ろうか」
微笑ましそうに女子二人を眺めていた部長が、ポンと俺の肩を叩いた。
「そうっすね。俺的にはすぐ飯でも良いくらいですけど」
「部屋にお菓子があったから、それでも食べとけば良いよ」
由奈さんに軽く手を振り別れると、部長はにこにこしながら歩き出した。
その後ろを俺と女子二人組がついていく。
「料理ってどんなのだろう。期待して大丈夫なのかな」
「農家が多いし、採れたての野菜とか使ってたりするかもね」
浮かれる桜の言葉に部長が肩越しに答える。
田舎ならではの料理というのも、食べてみたい気はする。近くに海がある地域ではないから、必然的に山菜がメインになる可能性もある。
昇さんたちとの嫌な顔合わせを頭から追い払い、俺は腹が空腹を訴え始めるのを堪えながら、まだ見ぬ夕食に妄想と期待を膨らませた。
「長男夫婦が跡継ぎを残せない以上、次男の竜久さんが代わりにって話になってるみたいで。でも竜久さん、子供はおろか結婚自体に興味がないみたい。家を継ぐことすらも嫌でいるみたいだし、だから兄夫婦に対しては面倒事を押し付けられたように感じるのかしらね」
「ああ……、なんかよくありそうな話だね」
うんうんと頷きながら、部長が相槌を打つ。
「でも、それはあくまであの竜久って人と家族の問題ですよね? あの村長の甥だっていう昇さんは、何なんですか?」
未だ敵意を含むようなニュアンスで、桜が話を広げる。
「何って言われても困るんだけど……、あの人は村長のお兄さんの一人息子だとか言ってたかな。三年前、両親が他界したのをきっかけにここに来たの。と言うか、村長が引き取ったような形かな」
「引き取ったって、子供じゃあるまいし……」
俺が言うと、由奈さんは苦笑してみせた。
「わたしもそう思うけどね。あの人、良い歳して仕事もまともにしてなかったみたいで。それを見かねた村長が、家で面倒みてやるぞって話になったとかなんとか。竜久さんもだけど、まともに仕事しないでだらけてばかりだよ。毎日山の堤で釣りしたり、遊んでるだけ。だから、村の人たちからも白い目で見られてるの。村長の所の馬鹿二人なんて言われたりしてね」
「うあ……、最低じゃないですか」
横で渋面を浮かべる幼なじみの声を聞きつつ、俺はあの二人の姿を思い返す。
見た目だけで判断しても、二十代でないことは明らかだった。
どんなに若く見積もっても、せいぜい三十代半ばから後半。
そんな歳になって未だ親の脛を齧るような生き方をしているというのは、さすがにドン引きするしかない。
ましてや昇さんに至っては、居候の身であろうに。
仕事はおろか、経営している宿の手伝いすらしようとしないさっきの態度は、さすがに情けなさ過ぎて呆れてしまう。
――たぶん、村長も悪いんだろうな。
これは確実に甘やかし過ぎだろう。
「あたし、あの昇って人は嫌い。いやらしい目であたしと乃亜ちゃんのこと見てたし、絶対変態だよ」
「ま、気持ち悪いのは確かね。ぶっちゃけ、普段から何考えてるかわかんない人だし。さぁ、そろそろ部屋に戻って休んでて。わたしはいろいろ手伝いがあるから」
つまらない話は終わりといった感じで締めくくり、由奈さんは右手を腰に当てながら微笑んだ。
「夕飯になったら食堂に案内するからね」
「食堂なんてあるの?」
部長が訊くと、由奈さんはあるよと頷いた。
「一階の奥。客室と同じで教室を改造しただけの場所だけど、料理はちゃんとしたものが出てくるから安心して。間違っても給食とかはないから」
おどけたように笑う由奈さんにつられ、俺たちの表情も緩む――ただし、蓮田は例外だが。
「じゃあ、あたしはお風呂入ってきちゃおうかな。乃亜ちゃんはどうする?」
気分を変えるように明るく告げ、桜が後輩を振り返る。
「はい、ではせっかくなので……」
コクリと頷いた蓮田に、桜は嬉しそうに目を大きくした。
「あ、珍しく意見が合った! よしよし、じゃあ女の子同士親睦でも深めましょうか」
「よし、それじゃあ僕たち男性陣も一度部屋に戻ろうか」
微笑ましそうに女子二人を眺めていた部長が、ポンと俺の肩を叩いた。
「そうっすね。俺的にはすぐ飯でも良いくらいですけど」
「部屋にお菓子があったから、それでも食べとけば良いよ」
由奈さんに軽く手を振り別れると、部長はにこにこしながら歩き出した。
その後ろを俺と女子二人組がついていく。
「料理ってどんなのだろう。期待して大丈夫なのかな」
「農家が多いし、採れたての野菜とか使ってたりするかもね」
浮かれる桜の言葉に部長が肩越しに答える。
田舎ならではの料理というのも、食べてみたい気はする。近くに海がある地域ではないから、必然的に山菜がメインになる可能性もある。
昇さんたちとの嫌な顔合わせを頭から追い払い、俺は腹が空腹を訴え始めるのを堪えながら、まだ見ぬ夕食に妄想と期待を膨らませた。
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