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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 19
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【4】
午後六時十分。
流森さんが言っていた通りの時間に、夕食は用意された。
男女共に風呂を済ませ――教室一つ分の広さがありそれなりに快適だった――、各々が自由に時間を潰しているところへ、由奈さんが現れた。
それから、一階にある食堂へ案内され席についたのが五分前。食堂もまた、元は教室だった場所で広さは客室と変わらない。
ただし、床は畳ではなくフローリングになっている。
長テーブルが六台、前方と後方にそれぞれ三台ずつ置かれており、一つのテーブルに六人まで座れる配置になっていた。
俺たちは男女で向かい合うようなかたちで座り、ぐるりと室内を眺め回す。
備え付けの棚の上、そして窓際には名前のわからない花が飾られ、壁には山の景色が写された写真やカレンダー。
全体的に評価すると質素なイメージを受ける部屋に感じる。
「このまま待っててね。今から料理運んでくるから」
という言葉を残し出ていった由奈さんを待ちながら、俺は何気なく桜の方へ視線を止めた。
正面に座る桜の瞳が、どんよりと俺の姿を映している。
お互いの視線が交差したことを認識すると、テーブルに両肘を立て頭を抑えるような体勢のまま、深呼吸のようなため息を漏らしてきた。
「……何をそんなにうちひしがれたようになってんだよ。風呂場にムカデでも浮かんでたか?」
風呂上がりに再び顔を会わせてから、ずっとこの調子だ。入浴前の意気揚々としていたテンションは、完全に消滅している。
どうせ、また蓮田にでもいなされたのだろうと予想しつつ声をかけると、
「……」
しばらく沈黙したままこちらを凝視していた幼なじみが、突然椅子ごと俺の横へ移動してきた。
何なんだろうと思いながら見ていると、どこか泣きそうな表情でこちらの耳へ顔を近づけてくる。
「もうあたし、何だか自分が可哀想になってきちゃった」
囁くようなトーンで、桜は話しだす。
「……何で?」
「何でって、乃亜ちゃんよ。さっき一緒にお風呂入ったの知ってるでしょ?」
言いながら、桜がちらりと蓮田の様子を確認する。
お互いの距離を考えると話が聞こえていそうな気もするが、蓮田はどうでも良さそうに壁の絵を眺めているだけで、こちらを意識している気配はない。
「乃亜ちゃんと二人でお風呂入ったのよ。貸し切りみたいなもんだし、裸の付き合いで仲良くなろうみたいなこと思いながら」
それほど興味が沸かないながらも、話を再開する桜へ俺は耳を近づける。
「で、案の定って言うか、それ以外の展開なんてあり得ないってくらい予想通りに、乃亜ちゃんは喋らないわけよ」
「……うん」
ちゃんと聞いてることをアピールする意味で、相槌を打っておく。
「だからさ、あたし必死にいろいろ話題作って話しかけたりしてたのね。好きな芸能人とか、最近買った猫ぐるみっていうぬいぐるみが凄く可愛いくて気に入ってるとか。それはもう、入浴中は当然ながら顔洗ってる時でさえ話しかけ続けたわけ。いわゆる一人マシンガントーク。わかる?」
「はぁ……」
なんじゃそりゃと胸中で突っ込みつつ、またまた適当に相槌を打つ。
午後六時十分。
流森さんが言っていた通りの時間に、夕食は用意された。
男女共に風呂を済ませ――教室一つ分の広さがありそれなりに快適だった――、各々が自由に時間を潰しているところへ、由奈さんが現れた。
それから、一階にある食堂へ案内され席についたのが五分前。食堂もまた、元は教室だった場所で広さは客室と変わらない。
ただし、床は畳ではなくフローリングになっている。
長テーブルが六台、前方と後方にそれぞれ三台ずつ置かれており、一つのテーブルに六人まで座れる配置になっていた。
俺たちは男女で向かい合うようなかたちで座り、ぐるりと室内を眺め回す。
備え付けの棚の上、そして窓際には名前のわからない花が飾られ、壁には山の景色が写された写真やカレンダー。
全体的に評価すると質素なイメージを受ける部屋に感じる。
「このまま待っててね。今から料理運んでくるから」
という言葉を残し出ていった由奈さんを待ちながら、俺は何気なく桜の方へ視線を止めた。
正面に座る桜の瞳が、どんよりと俺の姿を映している。
お互いの視線が交差したことを認識すると、テーブルに両肘を立て頭を抑えるような体勢のまま、深呼吸のようなため息を漏らしてきた。
「……何をそんなにうちひしがれたようになってんだよ。風呂場にムカデでも浮かんでたか?」
風呂上がりに再び顔を会わせてから、ずっとこの調子だ。入浴前の意気揚々としていたテンションは、完全に消滅している。
どうせ、また蓮田にでもいなされたのだろうと予想しつつ声をかけると、
「……」
しばらく沈黙したままこちらを凝視していた幼なじみが、突然椅子ごと俺の横へ移動してきた。
何なんだろうと思いながら見ていると、どこか泣きそうな表情でこちらの耳へ顔を近づけてくる。
「もうあたし、何だか自分が可哀想になってきちゃった」
囁くようなトーンで、桜は話しだす。
「……何で?」
「何でって、乃亜ちゃんよ。さっき一緒にお風呂入ったの知ってるでしょ?」
言いながら、桜がちらりと蓮田の様子を確認する。
お互いの距離を考えると話が聞こえていそうな気もするが、蓮田はどうでも良さそうに壁の絵を眺めているだけで、こちらを意識している気配はない。
「乃亜ちゃんと二人でお風呂入ったのよ。貸し切りみたいなもんだし、裸の付き合いで仲良くなろうみたいなこと思いながら」
それほど興味が沸かないながらも、話を再開する桜へ俺は耳を近づける。
「で、案の定って言うか、それ以外の展開なんてあり得ないってくらい予想通りに、乃亜ちゃんは喋らないわけよ」
「……うん」
ちゃんと聞いてることをアピールする意味で、相槌を打っておく。
「だからさ、あたし必死にいろいろ話題作って話しかけたりしてたのね。好きな芸能人とか、最近買った猫ぐるみっていうぬいぐるみが凄く可愛いくて気に入ってるとか。それはもう、入浴中は当然ながら顔洗ってる時でさえ話しかけ続けたわけ。いわゆる一人マシンガントーク。わかる?」
「はぁ……」
なんじゃそりゃと胸中で突っ込みつつ、またまた適当に相槌を打つ。
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