坂宮高校ミスオカ研の事件録~藤咲村の惨劇~

雪鳴月彦

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第一章:隔離された村

第一章:隔離された村 23

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          【5】

 五月二十日、午後七時二十三分。

 全員が夕食を食べ終わり、このまま勝手に部屋へ戻っても良いものかと迷いつつ、適当な雑談を続ける俺たち四人。

 と言うか、一人は喋らないので厳密に言えば三人。

 すき焼きをあらかた片付けた頃、部長が締めにご飯を投入しようと言い出すも、肝心のご飯が残っていないという問題が発生したこと以外は、滞りなく食事を楽しむことができた。

「明日は十時くらいに集合して、もう一度巨大藤を見に行こう」

 何度めかになる時計の確認をしてから、部長は唐突に話を切り出した。

「それは良いですけど、歩いて行くつもりなんですか?」

 問いかけた桜に、もちろんと頷いて部長が答える。

「みんな忙しいかもしれないし、どこかに行く度に車を出してもらってたら悪いでしょ? 僕たちの用事くらい、僕たちで済まさないと」

「うー、それはそうかもですけど……。あの薄暗い道歩いて行くのは気が重いと言いますか、なるべく避けたいと言うか」

 渋面を浮かべる幼なじみを見て、俺は苦笑を漏らしそうになる。

 本当に、何でこいつはミスオカ研に入ったのやら。

 普段は全然怖がりなタイプには見えないのだが、いざ目の前に恐怖が迫るとすぐに怖じ気づく。

 実際過去には、自分で観たくてホラー映画を借りてきておきながら、最終的には部屋から出られなくなるほどビビっていた時があった。

 怖いもの好きな怖がり、と表現しておけばわかりやすいかもしれない。

「じゃあ、桜だけここに残って待ってるか?」

 意地悪く俺が訊ねると、桜は即座に首を横に振る。

「それじゃあここまで来た意味ないでしょう? 一人で部屋に閉じこもって、どうしろって言うのよ」

「だったら、我慢して付いてこいよ。別に一人で行かされるわけじゃないんだから、怖くないだろ?」

「なっ――? 別に怖いなんて言ってないじゃない。ただジメジメしてて気持ち悪いなって思っただけで……」

「ふぅん。そういうことならそれでも良いけど」

「何よ、その引っかかっる言い方は?」

 尚もからかう俺を睨むように見返してくる幼なじみへ、落ち着くように手で合図する。

「あ、そうだ。この後ってみんな暇だよね? 良かったら全員でゲームでもしようか。僕、トランプくらいなら持ってきてるから」

「あ、良いですねそういうの。なんだか、修学旅行みたいでテンション上がりそう」

 こちらに向けていたむっつり顔はどこへやら。

 部長の提案に、桜は瞬時に気持ちを切り替え飛び付いた。

「あたし、ババ抜きと大富豪は得意なんですよ」

「ああ、その辺りならみんなルールわかりそうだし、良さげだね」

 後輩の言葉に快く頷いて、部長はまた時計を見上げた。

「片付けはしなくて良いって言ってたことだから、そろそろ部屋に戻ろうか。いつまでもここにいても仕方ないしね」

「ですね。俺たちがいつまでも居座ってたら、逆に由奈さんたちも片付けできないかもしれませんし」

 適当に話を合わせるように頷きつつ、俺と部長がテーブルに手をやり立ち上がろうと体重を乗せかけたそのとき。

 コンコンッという遠慮がちなノックと共に食堂へ由奈さんが入ってきた。

 まさに噂をすればなんとやら、というやつだ。
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