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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 24
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「部屋にいないと思ったら、やっぱりまだこっちにいたんだ。食事はもう終わった?」
「うん、美味しかったよ。みんなにも大好評」
「それは結構。じゃあ、もう片付けちゃっても大丈夫ね。布団はさっき用意しといたから、後は部屋でそれぞれ好きに過ごしなさい」
従弟へ向けてそう言いながら、由奈さんはたった今入ってきたドアを振り返る。
「あのね、ほんのちょっと前に長男の晴也さんが帰ってきたんだけど、泊まりにきたお客さんに挨拶くらいはしておきたいって言われて、実は一緒に来てるの」
そう告げてくる由奈さんの言葉とタイミングを合わせるように、一人の男性が室内を覗いてきた。
若干色黒で、紺のスーツ姿の男はまるで営業スマイルのような笑みを作りながら中へ入ってくる。
「やぁどうも、野島さんの言った通りだね。本当にこんな若い子たちが遊びに来てくれるとは」
俺たちの視線を独占しているこの男が村長の長男、梅木晴也さん。
確か頻繁に出張みたいなことをしていて、この時期は不在が多い人物だと昼に由奈さんから説明を受けた。
碧さんの旦那で、本来なら家の跡継ぎを残さねばならなかった人物。
「こんばんは。えっと、碧さんたちから晴也さんのお話は伺っています。頻繁に他県へ出張なさったりされてて、多忙な方だと」
部長がよそ行きの笑みで無難な挨拶を返すと、晴也さんはほんの僅かだけ困ったように眉を曲げてみせた。
「ええ、特にこの時期は、野菜や家畜の販売契約を取り付けるためにひたすら走り回ってますから、村にはいないことが多いですかね。明日の昼にはまた出る予定なので、みなさんとはゆっくりお話をすることも難しそうだ」
やれやれと首を振りつつ、晴也さんは自嘲気味に微笑んだ。
「はぁ……、本当に大変そうですね。休みとかはないんですか?」
「生憎、一般の会社とは勝手が違うので。でも、私が頑張って村の生産物を売り込んでいかないと、この村は今後発展していくこともない。そんな風に自分を叱咤しながら、日々頑張っていますよ」
笑みは自嘲気味のまま、晴也さんは白い歯を見せる。肌が焼けているため、歯の白さが一層際立つように感じた。
「ところで、この村はもう見て回りましたか?」
自分たちを相手に仕事の話をするのも退屈させると思ったのか、晴也さんはさらりと話題を変えてきた。
「ええ、由奈さんの案内で一通りは」
部長が頷く。
「それじゃあ、驚いたでしょう?」
「え? ああ、巨大藤なら、確かに。まさかあれほどの規模だとは、想像が至りませんでした」
「ああ、いや、巨大藤もそうですが、この村の民家を見て何か感じませんでしたか?」
「民家、ですか? いくつかは目につきましたけど、それほど多くは見ていませんね。みんなは何か気づいたかい?」
記憶を探るよう天井に視線を這わせた部長が、俺たちへ意見を求める。
「あたしも別に。村長の家はめちゃくちゃ凄いなって思いましたけど。年季が入ってますよね」
顎に手をやりながら、桜が答える。
「うちの家は村の中では一番古いものらしいからね。でも、民家をほとんど見かけなかったって言うの、それが正解ですよ。実はこの村、現在はもう民家が七十二軒しかない状態ですから」
「え?」
「うん、美味しかったよ。みんなにも大好評」
「それは結構。じゃあ、もう片付けちゃっても大丈夫ね。布団はさっき用意しといたから、後は部屋でそれぞれ好きに過ごしなさい」
従弟へ向けてそう言いながら、由奈さんはたった今入ってきたドアを振り返る。
「あのね、ほんのちょっと前に長男の晴也さんが帰ってきたんだけど、泊まりにきたお客さんに挨拶くらいはしておきたいって言われて、実は一緒に来てるの」
そう告げてくる由奈さんの言葉とタイミングを合わせるように、一人の男性が室内を覗いてきた。
若干色黒で、紺のスーツ姿の男はまるで営業スマイルのような笑みを作りながら中へ入ってくる。
「やぁどうも、野島さんの言った通りだね。本当にこんな若い子たちが遊びに来てくれるとは」
俺たちの視線を独占しているこの男が村長の長男、梅木晴也さん。
確か頻繁に出張みたいなことをしていて、この時期は不在が多い人物だと昼に由奈さんから説明を受けた。
碧さんの旦那で、本来なら家の跡継ぎを残さねばならなかった人物。
「こんばんは。えっと、碧さんたちから晴也さんのお話は伺っています。頻繁に他県へ出張なさったりされてて、多忙な方だと」
部長がよそ行きの笑みで無難な挨拶を返すと、晴也さんはほんの僅かだけ困ったように眉を曲げてみせた。
「ええ、特にこの時期は、野菜や家畜の販売契約を取り付けるためにひたすら走り回ってますから、村にはいないことが多いですかね。明日の昼にはまた出る予定なので、みなさんとはゆっくりお話をすることも難しそうだ」
やれやれと首を振りつつ、晴也さんは自嘲気味に微笑んだ。
「はぁ……、本当に大変そうですね。休みとかはないんですか?」
「生憎、一般の会社とは勝手が違うので。でも、私が頑張って村の生産物を売り込んでいかないと、この村は今後発展していくこともない。そんな風に自分を叱咤しながら、日々頑張っていますよ」
笑みは自嘲気味のまま、晴也さんは白い歯を見せる。肌が焼けているため、歯の白さが一層際立つように感じた。
「ところで、この村はもう見て回りましたか?」
自分たちを相手に仕事の話をするのも退屈させると思ったのか、晴也さんはさらりと話題を変えてきた。
「ええ、由奈さんの案内で一通りは」
部長が頷く。
「それじゃあ、驚いたでしょう?」
「え? ああ、巨大藤なら、確かに。まさかあれほどの規模だとは、想像が至りませんでした」
「ああ、いや、巨大藤もそうですが、この村の民家を見て何か感じませんでしたか?」
「民家、ですか? いくつかは目につきましたけど、それほど多くは見ていませんね。みんなは何か気づいたかい?」
記憶を探るよう天井に視線を這わせた部長が、俺たちへ意見を求める。
「あたしも別に。村長の家はめちゃくちゃ凄いなって思いましたけど。年季が入ってますよね」
顎に手をやりながら、桜が答える。
「うちの家は村の中では一番古いものらしいからね。でも、民家をほとんど見かけなかったって言うの、それが正解ですよ。実はこの村、現在はもう民家が七十二軒しかない状態ですから」
「え?」
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