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第一章:隔離された村
第一章:隔離された村 26
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【6】
風がざわめく音が、やけに大きく聞こえてくる。
漆黒に染まる闇の中で、作業をしていた手を止め空を仰ぐ。
「フゥ……フゥ……」
想像していた以上の重労働に、情けなくも息が切れていた。
仄かに輝く月と星々を見つめながら、左手の甲で額の汗を拭う。
「もう少し……」
右手に握るポリタンクを揺すり、中身を確かめる。
チャポチャポという軽い音が聞こえ、ほとんど中身が空だということを理解した。
ポリタンクを逆さにし、残りの液体をそのまま近くへ適当にぶちまける。
「……よし」
目の前にあるのは、一本のつり橋。
自分が暮らす藤咲村と外の世界を繋ぐ、唯一のライフライン。
完全に空になったポリタンクを谷底へ放り投げ、ポケットからマッチを取り出す。
たった今自分が撒いた灯油の匂いにむせかえりそうになるが、そんなことを気にしている場合ではない。
マッチを擦り、火を灯す。紅い炎が、小さく自分の手を照らし出した。
「…………」
ついさっき、人を殺したばかりの自分の手。
もう、後には引けぬところまで踏み込んでしまった。あとはもう、計画通りに全員を消していくだけ。
そのためにも――。
「これで、邪魔は入らない」
手にしたマッチを、灯油を撒いた橋へ投げる。
小さかった炎は急速に広がり、橋全体を飲み込もうと凶暴に膨れ上がっていった。
この橋が無くなれば、藤咲村は陸の孤島。しばらくは警察の介入も防げるはず。
「さて、と……」
燃える橋から自分の腕に付けられた時計へ視線を移す。
時刻は午前二時半。
村の老人たちが起きはじめるのは、大体午前の四時くらいだったか。
――これなら、何とか間に合うか。
夜が明けるまでに、まだやることは残っている。こんな初手から躓いてしまうわけにはいかない。
自分の考えた殺人計画は、始まったばかり。
死んでもらわねばならぬ連中は、まだ沢山いるのだから……。
風がざわめく音が、やけに大きく聞こえてくる。
漆黒に染まる闇の中で、作業をしていた手を止め空を仰ぐ。
「フゥ……フゥ……」
想像していた以上の重労働に、情けなくも息が切れていた。
仄かに輝く月と星々を見つめながら、左手の甲で額の汗を拭う。
「もう少し……」
右手に握るポリタンクを揺すり、中身を確かめる。
チャポチャポという軽い音が聞こえ、ほとんど中身が空だということを理解した。
ポリタンクを逆さにし、残りの液体をそのまま近くへ適当にぶちまける。
「……よし」
目の前にあるのは、一本のつり橋。
自分が暮らす藤咲村と外の世界を繋ぐ、唯一のライフライン。
完全に空になったポリタンクを谷底へ放り投げ、ポケットからマッチを取り出す。
たった今自分が撒いた灯油の匂いにむせかえりそうになるが、そんなことを気にしている場合ではない。
マッチを擦り、火を灯す。紅い炎が、小さく自分の手を照らし出した。
「…………」
ついさっき、人を殺したばかりの自分の手。
もう、後には引けぬところまで踏み込んでしまった。あとはもう、計画通りに全員を消していくだけ。
そのためにも――。
「これで、邪魔は入らない」
手にしたマッチを、灯油を撒いた橋へ投げる。
小さかった炎は急速に広がり、橋全体を飲み込もうと凶暴に膨れ上がっていった。
この橋が無くなれば、藤咲村は陸の孤島。しばらくは警察の介入も防げるはず。
「さて、と……」
燃える橋から自分の腕に付けられた時計へ視線を移す。
時刻は午前二時半。
村の老人たちが起きはじめるのは、大体午前の四時くらいだったか。
――これなら、何とか間に合うか。
夜が明けるまでに、まだやることは残っている。こんな初手から躓いてしまうわけにはいかない。
自分の考えた殺人計画は、始まったばかり。
死んでもらわねばならぬ連中は、まだ沢山いるのだから……。
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