36 / 173
第二章:悪霊の目覚め
第二章:悪霊の目覚め 5
しおりを挟む
確実に息が詰まっていたことだろう。
「そういや、蓮田がいつも持ち歩いてるそのポーチ、ずっと気になってたんだけど何が入ってるんだ?」
腹の前で抱えるようにして持っている、黄色のポーチ。学校でもいつも手にしているので、なにげに気になっていた疑問だった。
「……別に大した物は入っていません。貴重品やハンカチなどを入れてるだけで」
スッとポーチを開け、蓮田は中身を見せてくる。
正直そこまでしてくるとは思わなかったため中を覗くのは気が引けたが、自分から話を振った手前と好奇心が重なり、ちらりと中を覗いてみる。
言われた通り、財布やハンカチが入っており、それ以外にも文庫本や香水か化粧水だと思われる、薄紅色の液体の入った小瓶も見えた。
「へぇ、意外だな。蓮田もそういうの持つんだ?」
小瓶を指差しながら告げてから、失礼な質問だったかと後悔しかけたが、本人は気にした様子もなくコクリと頷いてみせた。
「はい。念のために」
「ふぅん?」
念のため、の意味がわからなかったが、とりあえずこちらも頷いておく。
まぁ、蓮田も年頃の女子ということだろう。
「そういえば、昼食の材料採りに行くって言いましたけど、朝飯はこれから作るんですか?」
蓮田から意識を逸らしバックミラー越しに渡辺さんを見て、ふと気になったことを訊ねてみる。
「いや、もう仕込みは終わってるから、後はちょこっと仕上げの作業をすれば完成さ」
告げて、渡辺さんはにこりと笑う。
「もうできてるんですか」
いったい、何時に起きて作業を始めているのだろう。そんな疑問が新たに浮かぶが、俺が再び話すより先に口を開いたのは、助手席に座る昇さんだった。
ぐっと首をこちらに回し、じろりと蓮田の様子を窺いながら、軽い口調で声をかけてくる。
「きみたちは、今日の予定とかどうなってるの? 良かったらいろいろ案内してあげようか? 野島さんとかが知らない場所、俺いくつか知ってるしさ」
親切心で言ってくれているのかとも思うが、どうにも胡散臭い。
昨夜の印象が悪かったせいでそう感じるのかもしれないが、どのみち彼の申し出を受け入れたところで、桜が猛反対をしてくることだろう。
「部長が計画立ててるんで、ちょっと俺には何とも言えないんすけど……」
ひとまず相手の申し出でを回避しようと、咄嗟に出た言葉がこれだった。
「部長って、確か野島さんの従弟だったっけ?」
「あ、はい。そうですけど」
「昨日はあんまり話す機会もなかったけど、彼が羨ましいね。あんな美人な従姉がいて。俺には縁がない待遇だ」
待遇とは違う気がするが、いちいち突っ込むのも億劫になり、苦笑いを浮かべておく。
こんな村では出会いがないからなのかもしれないが、この男の異性に対する熱意と言うか興味はかなりのものではないかと、同じ男ながらに感じてしまう。
昨日初めて会ったときも、桜と蓮田を品定めするかのように眺めていた。
どう見ても三十は確実に過ぎてそうな男が、高校生相手に下心を抱いてしまう展開はかなり危険だし薄気味悪い。
今後この男に蓮田たちが目をつけられぬよう、部長と共に注意する必要がありそうだ。
そんな思考を膨らませている間も車は順調に先へと進み、やがて前方に昨日見たのと同じ石段が見えてきた。
「そういや、蓮田がいつも持ち歩いてるそのポーチ、ずっと気になってたんだけど何が入ってるんだ?」
腹の前で抱えるようにして持っている、黄色のポーチ。学校でもいつも手にしているので、なにげに気になっていた疑問だった。
「……別に大した物は入っていません。貴重品やハンカチなどを入れてるだけで」
スッとポーチを開け、蓮田は中身を見せてくる。
正直そこまでしてくるとは思わなかったため中を覗くのは気が引けたが、自分から話を振った手前と好奇心が重なり、ちらりと中を覗いてみる。
言われた通り、財布やハンカチが入っており、それ以外にも文庫本や香水か化粧水だと思われる、薄紅色の液体の入った小瓶も見えた。
「へぇ、意外だな。蓮田もそういうの持つんだ?」
小瓶を指差しながら告げてから、失礼な質問だったかと後悔しかけたが、本人は気にした様子もなくコクリと頷いてみせた。
「はい。念のために」
「ふぅん?」
念のため、の意味がわからなかったが、とりあえずこちらも頷いておく。
まぁ、蓮田も年頃の女子ということだろう。
「そういえば、昼食の材料採りに行くって言いましたけど、朝飯はこれから作るんですか?」
蓮田から意識を逸らしバックミラー越しに渡辺さんを見て、ふと気になったことを訊ねてみる。
「いや、もう仕込みは終わってるから、後はちょこっと仕上げの作業をすれば完成さ」
告げて、渡辺さんはにこりと笑う。
「もうできてるんですか」
いったい、何時に起きて作業を始めているのだろう。そんな疑問が新たに浮かぶが、俺が再び話すより先に口を開いたのは、助手席に座る昇さんだった。
ぐっと首をこちらに回し、じろりと蓮田の様子を窺いながら、軽い口調で声をかけてくる。
「きみたちは、今日の予定とかどうなってるの? 良かったらいろいろ案内してあげようか? 野島さんとかが知らない場所、俺いくつか知ってるしさ」
親切心で言ってくれているのかとも思うが、どうにも胡散臭い。
昨夜の印象が悪かったせいでそう感じるのかもしれないが、どのみち彼の申し出を受け入れたところで、桜が猛反対をしてくることだろう。
「部長が計画立ててるんで、ちょっと俺には何とも言えないんすけど……」
ひとまず相手の申し出でを回避しようと、咄嗟に出た言葉がこれだった。
「部長って、確か野島さんの従弟だったっけ?」
「あ、はい。そうですけど」
「昨日はあんまり話す機会もなかったけど、彼が羨ましいね。あんな美人な従姉がいて。俺には縁がない待遇だ」
待遇とは違う気がするが、いちいち突っ込むのも億劫になり、苦笑いを浮かべておく。
こんな村では出会いがないからなのかもしれないが、この男の異性に対する熱意と言うか興味はかなりのものではないかと、同じ男ながらに感じてしまう。
昨日初めて会ったときも、桜と蓮田を品定めするかのように眺めていた。
どう見ても三十は確実に過ぎてそうな男が、高校生相手に下心を抱いてしまう展開はかなり危険だし薄気味悪い。
今後この男に蓮田たちが目をつけられぬよう、部長と共に注意する必要がありそうだ。
そんな思考を膨らませている間も車は順調に先へと進み、やがて前方に昨日見たのと同じ石段が見えてきた。
0
あなたにおすすめの小説
小説探偵
夕凪ヨウ
ミステリー
20XX年。日本に名を響かせている、1人の小説家がいた。
男の名は江本海里。素晴らしい作品を生み出す彼には、一部の人間しか知らない、“裏の顔”が存在した。
そして、彼の“裏の顔”を知っている者たちは、尊敬と畏怖を込めて、彼をこう呼んだ。
小説探偵、と。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
村長奇譚 ~夏祭りの惨劇と少女の亡霊~
水無月礼人
ミステリー
子供達は独立し、長年連れ添った妻は病で死去した。
故郷の田舎町で余生を過ごそうと帰省した主人公(60代・男)は、住民の同調圧力で強引に自治会長(村長)に選ばれてしまう。
嫌々ながらも最大のイベント・夏祭りの準備を始める主人公であるが、彼は様々な怪奇に遭遇することになる。
不運な村長とお気楽青年のバディが事件を華麗に解決!……するかも。
※表紙イラストはフリー素材を組み合わせて作りました。
【アルファポリス】でも公開しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる