坂宮高校ミスオカ研の事件録~藤咲村の惨劇~

雪鳴月彦

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第二章:悪霊の目覚め

第二章:悪霊の目覚め 6

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 その少し手間。若干道が広くなっている場所に車を停車させると、渡辺さんはエンジンを切った。

「じゃあ、僕らはこの近辺で食料調達しておくから、二人はその間好きに神社見たり散歩してて良いよ。一時間くらいはかかるけど、大丈夫かな?」

 全員が外に出るのを待って鍵をかけると、渡辺さんは腕時計を一瞥しながら確認してくる。

 一時間ということは、ぎりぎり八時に間に合うくらいか。

 場合によっては朝風呂を諦めなければならなくなるが、ここまできたら仕方ない。

「大丈夫です。蓮田は?」

 首肯しながら隣に立つ後輩へ顔を向けると、静かに頷きを返してきた。

「それじゃあ、またここに集合ってことで。早く切り上げることになるようなら、こっちから声かけるから」

「わかりました」

 理解を告げて、先に歩き出していた蓮田を追うようにして石段へと向かう。

 淡々と、だが迷いなく足を進める蓮田は四メートルほど先を歩いている。

 いったいどこを気に入ってそこまでご執心なのかは知らないが、古い家屋や廃墟に惹かれる習性でも持ち合わせているのか。

 蓮田の後姿が、石段に到着する。律儀に一段ずつ上りはじめた蓮田の首が自然と上方、社殿のある方角へ向けられる。

 瞬間、躊躇うことなく動いていた彼女の足が、ピタリとその動きを止めた。

 そのままじっと石段の先を見つめ、歩みを再開する気配はない。

 突然どうしたのかと訝しみつつ、後輩に追いつきその横に並ぶ。

「どうしたんだ? 行かないのか」

 顔を覗き込みながら尋ねると、蓮田は視線をこちらに向けることなく、口だけを僅かに動かしてきた。

「……上に、誰かいます」

「え?」

 言われて、俺も首を上向かせる。

「……?」

 蓮田の言う通り、確かにそこには人の姿があった。

 先に続く石段が邪魔でここからでは身体全体は確認できないが、顔は見える。女性だ。昨日何度か話をしている。

 石段を上り終えてすぐの位置にある、最初の赤い鳥居。その真下辺りの位置に立って、彼女はこちらを見下ろしていた。

 こんな早朝から、どうしてこんな場所にという疑問が浮かぶが、答えなど検討がつくわけもない。

 他にも誰かいるのだろうか。まさか、一人でここまで来ているわけではあるまい。

「……何してるんだろうな?」

 呟きながら、挨拶のつもりで小さく頭を下げる。

 しかし、相手は無反応にこちらを見下ろすだけで言葉も返してはこない。

 不意に、蓮田が歩みを再開した。

 慌てて俺もそれに続く。

 一歩ずつ、確実に相手へと近づいていく。

 やがて、半分ほどまで上った所で、俺はまた足元に向けていた視線を上に移動させた。

「……え?」

 そこで、俺はようやく異変に気づいた。

 蓮田も隣で立ち止まる。

 上に立つ人物は、まだそこに立ち俺たちを眺めていた。

 やはり、知った人物だ。先程よりも間近で確認しているのだから間違いない。

 名前は確か何だったか。不甲斐ないことに、咄嗟には出てこなかった。
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