坂宮高校ミスオカ研の事件録~藤咲村の惨劇~

雪鳴月彦

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第二章:悪霊の目覚め

第二章:悪霊の目覚め 12

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 不審そうに言いつつ減速する由奈さんの横に、亀田というらしい男の車がやってくる。

 こちらを見ていた亀田さんは、一度車を停め運転席の窓を開けてきた。

「大変だよ、野島さん! えらいことになった!」

「どうしたんですか? 警察を呼びに行ったって聞きましたけど」

「それどころじゃねぇよ。助け呼ぶもなにも、橋が無くなっちまってんだ! これじゃ、村からも出られねぇ」

「え? 橋が無いって、それどういう……」

「俺も慌ててたから、そんな詳しく見てきたわけじゃねぇけどよ、何か火事の後みたいな、燃えたような感じだったな。ひとまず村長に伝えなきゃいけねぇからよ。神社にいるんだろ?」

「え、ええ。枝橋さんも一緒だから、事情を話せば何か力になってくれるかも」

「おう。とりあえず行ってみるわ」

 四十代くらいか。亀田というらしい男性は窓を閉めることなく再び加速すると、俺たちと入れ違うように細道の奥へと消えていった。

「由奈さん、橋がないってのは……?」

 さすがに聞き流すことができず、俺は恐る恐る訊ねてみる。

 いくら余所者と言えど、話に出てきた橋が昨日自分たちの通ってきた橋であることは理解できる。

 あの橋は、村と外を繋ぐ唯一のルートだったはず。

 となると、今俺たちはかなりヤバい状況に追い込まれているのではないのか。

「わからない」

 不安そうに、視線を返してくる由奈さんの声。

「とにかく、一度宿に戻りましょう。わたしたちだけじゃ何も判断できないし」

 再びアクセルを踏み、緩やかに速度を上げる。

 ひょっとすると、殺人犯の潜む村に閉じ込められたのか。

 窓から見える風景とは裏腹に、事態は見えない所で確実におかしくなってきている。

 張りつめた空気が滲み出しはじめた車内で、俺はそんな嫌な予感が頭をよぎるのを自覚した。
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