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第二章:悪霊の目覚め
第二章:悪霊の目覚め 23
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腕を組みながら、竜久さんは記憶をまさぐるようにして語る。
そんな彼を見ながら俺は、今の説明に何となく引っかかるものを感じて口を開いた。
「男に裏切られた村娘って、首を吊って死んだわけですよね? その呪いで同じ首吊り事件が起きたとか、裏切った男が幽霊に襲われたって言うのは、ありきたりだし何となくわかりますけど、身体中を切り裂かれてっていう部分は何の因果があるんすか? 話を盛り上げるための、後付けみたいなニュアンス感じますけど」
「あ、それね。正直なところこの辺りは俺も詳しくないんだけど、この言い伝え、いくつかパターンがあってさ」
「パターン?」
「うん、大まかな話の流れはほぼ一緒なんだけど、村娘の死に方が首吊りだったり、刃物での自死だったり。中には入水自殺とかいう巨大藤が関係ないバージョンもある。でも、一番村に浸透してるのは、みんなが知っているタイプの話だよ」
「あ……! だからかな」
そこまで聞いて、突然桜がハッとしたように声を上げる。
「どうしたんだい、桜くん?」
部長が少し驚いたように問いかけると、桜は人差し指を振りながら得意気に答えてきた。
「ほら、村に来るときに由奈さんが言ってたじゃないですか。村を知る人の中には、言い伝えを皮肉って藤を裂く村なんて言う人がいるとかなんとか」
「ああ、なるほど。村に伝わる言い伝えにはいくつかのパターンがあって、その中の一つである刃物を使った自殺説を信じる人たちが、そんな呼び方をしているってことか」
「そうです。話が少し繋がりそうな気がしますよね?」
理解したという部長の反応に気分を良くしたか、桜の声に僅かだが熱がこもる。
「桜ちゃん、だっけ? それ正解だよ。村に住んでる人では少数だけど、藤を裂く村の藤裂き村って呼ぶ人がいる。後は、村を知るよそ者にも何人かいたかな。村を出て行った連中とかがさ」
「つまり、今回殺された碧さんは首つり説と、割腹説の両方を採用されて見立てられたわけだ」
竜久さんの話に相槌を打ち、部長はさらに思考を展開していく。
そんな彼に若干呆れつつ、俺は言った。
「でも、これ本当に見立て殺人なんすかね? たまたまってこともあるんじゃないですか? 第一、そんな殺し方するのは、本やドラマの中だけな気がしますけど」
「うん、それはそうなんだけどね。でも、そっか。この村の言い伝えって、ちょっと珍しいタイプなのかもしれないな」
こちらの言い分をサラリと受け流すようにあしらい、部長はマイペースに話を進める。
「珍しい? こんなつまらない言い伝えがかい?」
意外なことを言われたとでもいうように、竜久さんがきょとんとしたような顔になる。
「ええ。普通、こういった言い伝えって地方によって内容が変わるケースはよくあるんですけど、同じ村の中でパターンが数種類に枝分かれしているっていうのは、なかなか聞かないかなと。せめて、同じ県内でも地域によって……くらいにはまとまると思うんですよね。それが、村の中だけでここまで別れてる。ちょっと特殊ですよ」
「へぇ……。そんなの、気にしたこともなかったな」
部長のうんちく――なのだろうか――に、感心したような表情を見せる竜久さん。
「地方によって変わる言い伝えなんて、ありましたっけ? そんなの、あたしは聞いたことないですけど」
そんな竜久さんとは対称的に、難しい顔をしているのは桜だ。
そんな彼を見ながら俺は、今の説明に何となく引っかかるものを感じて口を開いた。
「男に裏切られた村娘って、首を吊って死んだわけですよね? その呪いで同じ首吊り事件が起きたとか、裏切った男が幽霊に襲われたって言うのは、ありきたりだし何となくわかりますけど、身体中を切り裂かれてっていう部分は何の因果があるんすか? 話を盛り上げるための、後付けみたいなニュアンス感じますけど」
「あ、それね。正直なところこの辺りは俺も詳しくないんだけど、この言い伝え、いくつかパターンがあってさ」
「パターン?」
「うん、大まかな話の流れはほぼ一緒なんだけど、村娘の死に方が首吊りだったり、刃物での自死だったり。中には入水自殺とかいう巨大藤が関係ないバージョンもある。でも、一番村に浸透してるのは、みんなが知っているタイプの話だよ」
「あ……! だからかな」
そこまで聞いて、突然桜がハッとしたように声を上げる。
「どうしたんだい、桜くん?」
部長が少し驚いたように問いかけると、桜は人差し指を振りながら得意気に答えてきた。
「ほら、村に来るときに由奈さんが言ってたじゃないですか。村を知る人の中には、言い伝えを皮肉って藤を裂く村なんて言う人がいるとかなんとか」
「ああ、なるほど。村に伝わる言い伝えにはいくつかのパターンがあって、その中の一つである刃物を使った自殺説を信じる人たちが、そんな呼び方をしているってことか」
「そうです。話が少し繋がりそうな気がしますよね?」
理解したという部長の反応に気分を良くしたか、桜の声に僅かだが熱がこもる。
「桜ちゃん、だっけ? それ正解だよ。村に住んでる人では少数だけど、藤を裂く村の藤裂き村って呼ぶ人がいる。後は、村を知るよそ者にも何人かいたかな。村を出て行った連中とかがさ」
「つまり、今回殺された碧さんは首つり説と、割腹説の両方を採用されて見立てられたわけだ」
竜久さんの話に相槌を打ち、部長はさらに思考を展開していく。
そんな彼に若干呆れつつ、俺は言った。
「でも、これ本当に見立て殺人なんすかね? たまたまってこともあるんじゃないですか? 第一、そんな殺し方するのは、本やドラマの中だけな気がしますけど」
「うん、それはそうなんだけどね。でも、そっか。この村の言い伝えって、ちょっと珍しいタイプなのかもしれないな」
こちらの言い分をサラリと受け流すようにあしらい、部長はマイペースに話を進める。
「珍しい? こんなつまらない言い伝えがかい?」
意外なことを言われたとでもいうように、竜久さんがきょとんとしたような顔になる。
「ええ。普通、こういった言い伝えって地方によって内容が変わるケースはよくあるんですけど、同じ村の中でパターンが数種類に枝分かれしているっていうのは、なかなか聞かないかなと。せめて、同じ県内でも地域によって……くらいにはまとまると思うんですよね。それが、村の中だけでここまで別れてる。ちょっと特殊ですよ」
「へぇ……。そんなの、気にしたこともなかったな」
部長のうんちく――なのだろうか――に、感心したような表情を見せる竜久さん。
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そんな竜久さんとは対称的に、難しい顔をしているのは桜だ。
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