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第二章:悪霊の目覚め
第二章:悪霊の目覚め 34
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「な、何だお前らは?」
死体に気を取られ砂利を踏んでしまったことで、千賀子さんに寄り添っていた老人がこちらへ気づく。
「あ……俺たち、藤美荘にお世話になってる――」
「ああ、んなことはどうでもいい、今はそれどころじゃねぇんだ。子どもはどっか行ってろ。ここには近づくな」
言いかける言葉を遮って、老人はしっしっと追い払うように手を揺らす。
「はぁ、すみません……」
特に何かを言い返せるわけもなく、俺は素直に頭を下げる。と言うか、これが当たり前の展開だろう。
こんな場所にやって来て、好き勝手に歩き回れるわけがない。むしろここまで来れたことが驚きだ。
「蓮田、もう良いだろ? 邪魔になるから戻ろうぜ」
横に立つ少女へ、言い聞かせるような気持ちで告げる。
が、蓮田は動く素振りもなく、ただじっと蔵の中を見つめていた。
「おい、聞いてんのか? もうすぐ枝橋さんたちも駆けつけるはずだし、ここにいたら叱られるぞ」
痺れを切らし、俺は蓮田の腕を強く掴む。
半ば強引に引き戻そうと踵を返しかけた瞬間、腕を握る俺の手に蓮田が自分の手を重ねてきた。
「……長沢先輩、また同じです」
「え?」
前置きもなく言われた言葉に、俺は疑問の呟きを返す。
それに答えるよう、蓮田はゆっくりと重ねてきた手を前方へ、晴也さんの死体が吊るされた方角へ伸ばした。
必然的に、そちらへ首を曲げる。
「あ……」
竜久さんが柱に結ばれたロープを外し、慎重に晴也さんを地面に下ろしていく。
その途中、晴也さんの身体が揺れ横に向きを変えたとき、その背中に鎌が突き刺さっているのが確認できた。
位置もまた、碧さん同様に心臓付近。
「また見立て?」
「かもしれません」
二人目の犠牲者。
殺害方法が一緒なら、犯人も同一人物の可能性が高い。
「……先輩、晴也さんのズボンを見てください」
言われて、背中から下半身へ視線を落とす。
「ズボンがどうした?」
着替える余裕もなくいたのか、晴也さんの服装は昨日の朝に藤守神社で見かけたときのままだった。
白いワイシャツに紺色のスラックス。唯一違うのは、ネクタイを外していることくらいか。
「ズボンが土で汚れています。おそらく、この場所で襲われてもがいた名残ではないかと」
言われてみると、確かに衣服には土に擦り付けたような跡があり、特にスラックスの汚れは目立つ。
蔵の中の床は土がむき出しであるため、理屈は通る。
しかし、それだけで殺害現場を決めつける根拠になるかは甚だ疑問だ。
「そんなの、他の場所で殺されたかもしれねぇだろ」
「こんなときにですか?」
「……?」
意味がわからず、蓮田を見つめる。
「碧さんが亡くなって鬱ぎ込んでいるときに、どこへ行くと?」
「んなのは、呼び出されて……」
言ってから、ふと思う。
奥さんが亡くなり、食事も取れないくらいに落ち込んでいた晴也さんが、どこかへ出かけたりするだろうか。
ざっと敷地内を見た限り、地面には砂利が敷き詰められて土が露出している場所はほとんど見当たらない。
誰かに呼び出されて外へ、という可能性は確かにあるが、晴也さんの精神状態を配慮するとそう簡単に応じなかったと想像もできる。
だが、しかし。
晴也さんが元々ここにいたとしたら、話は別だ。
妻の死を悲しみ、遺体のあるここへ足を運んでいたところを襲われたのなら。
死体に気を取られ砂利を踏んでしまったことで、千賀子さんに寄り添っていた老人がこちらへ気づく。
「あ……俺たち、藤美荘にお世話になってる――」
「ああ、んなことはどうでもいい、今はそれどころじゃねぇんだ。子どもはどっか行ってろ。ここには近づくな」
言いかける言葉を遮って、老人はしっしっと追い払うように手を揺らす。
「はぁ、すみません……」
特に何かを言い返せるわけもなく、俺は素直に頭を下げる。と言うか、これが当たり前の展開だろう。
こんな場所にやって来て、好き勝手に歩き回れるわけがない。むしろここまで来れたことが驚きだ。
「蓮田、もう良いだろ? 邪魔になるから戻ろうぜ」
横に立つ少女へ、言い聞かせるような気持ちで告げる。
が、蓮田は動く素振りもなく、ただじっと蔵の中を見つめていた。
「おい、聞いてんのか? もうすぐ枝橋さんたちも駆けつけるはずだし、ここにいたら叱られるぞ」
痺れを切らし、俺は蓮田の腕を強く掴む。
半ば強引に引き戻そうと踵を返しかけた瞬間、腕を握る俺の手に蓮田が自分の手を重ねてきた。
「……長沢先輩、また同じです」
「え?」
前置きもなく言われた言葉に、俺は疑問の呟きを返す。
それに答えるよう、蓮田はゆっくりと重ねてきた手を前方へ、晴也さんの死体が吊るされた方角へ伸ばした。
必然的に、そちらへ首を曲げる。
「あ……」
竜久さんが柱に結ばれたロープを外し、慎重に晴也さんを地面に下ろしていく。
その途中、晴也さんの身体が揺れ横に向きを変えたとき、その背中に鎌が突き刺さっているのが確認できた。
位置もまた、碧さん同様に心臓付近。
「また見立て?」
「かもしれません」
二人目の犠牲者。
殺害方法が一緒なら、犯人も同一人物の可能性が高い。
「……先輩、晴也さんのズボンを見てください」
言われて、背中から下半身へ視線を落とす。
「ズボンがどうした?」
着替える余裕もなくいたのか、晴也さんの服装は昨日の朝に藤守神社で見かけたときのままだった。
白いワイシャツに紺色のスラックス。唯一違うのは、ネクタイを外していることくらいか。
「ズボンが土で汚れています。おそらく、この場所で襲われてもがいた名残ではないかと」
言われてみると、確かに衣服には土に擦り付けたような跡があり、特にスラックスの汚れは目立つ。
蔵の中の床は土がむき出しであるため、理屈は通る。
しかし、それだけで殺害現場を決めつける根拠になるかは甚だ疑問だ。
「そんなの、他の場所で殺されたかもしれねぇだろ」
「こんなときにですか?」
「……?」
意味がわからず、蓮田を見つめる。
「碧さんが亡くなって鬱ぎ込んでいるときに、どこへ行くと?」
「んなのは、呼び出されて……」
言ってから、ふと思う。
奥さんが亡くなり、食事も取れないくらいに落ち込んでいた晴也さんが、どこかへ出かけたりするだろうか。
ざっと敷地内を見た限り、地面には砂利が敷き詰められて土が露出している場所はほとんど見当たらない。
誰かに呼び出されて外へ、という可能性は確かにあるが、晴也さんの精神状態を配慮するとそう簡単に応じなかったと想像もできる。
だが、しかし。
晴也さんが元々ここにいたとしたら、話は別だ。
妻の死を悲しみ、遺体のあるここへ足を運んでいたところを襲われたのなら。
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