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第二章:悪霊の目覚め
第二章:悪霊の目覚め 35
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満身創痍に近い状態の晴也さんの背後から、首にロープを巻く犯人を想像する。
あり得ない話ではないし、むしろ納得できる推測だ。
そんなことを考えている間に、晴也さんの身体が床に横たえられた。
大人二人がかりで寝かせた後には、首に巻かれたロープを外す作業。
本来なら警察が来るまではへたにいじらない方が良いのかもしれないが、現状そうは言っていられない。
村長や千賀子さんに関しては、自分の息子がいつまでも首を絞められてままでいるのは心苦しいだろう。
「あぁ! 晴也……晴也ぁ……!」
老人に背中をさすられながら、千賀子さんが嗚咽を漏らす。
初めて会ったときの悠然としたイメージはなく、今はただ無力なだけの老女といった感じがした。
「蓮田……?」
立ち止まって中を眺めていた蓮田が、蔵から顔を背け元来た道を戻りだす。
「戻れと言われたので、そろそろ……」
「……そうか」
素直になるのは良いことだ。これ以上目をつけられる前に戻れるなら、それにこしたことはない。
どこまでも自分のペースを崩さない蓮田に振り回されているのを自覚しつつ、俺もまた入口である門へと引き返していく。
「あれ? きみたち、どうしてここに?」
ちょうど蓮田が門の外へ出たのに合わせるように、枝橋さんが現場へ駆けつけてきた。そのすぐ後ろには、彼を呼びに行っていた昇さんの姿もある。
「あ、いえ……。村長の家、何か大変なことになってるって聞いて、心配になって。その、昨日のこともありますし」
咄嗟のことにうまい言い訳も浮かばず、しどろもどろな口調になってしまう。
主犯格であるはずの蓮田は、相変わらずしれっとした表情でそっぽを向いており、対応は全て丸投げしてくれている。
「ああ……まぁ、心配になる気持ちはわかるけど、二人は宿に戻っていた方が良いよ。こっちは少しばたばたするだろうし」
平静を装うように、枝橋さんは言った。
元は警察だというだけあり、こういう場面には慣れている感じがする。
「はい、邪魔してすみません」
自分一人で頭を下げ、大人二人に道を開ける。
駆けていく枝橋さんたちを見送ってから、蓮田を睨む。
「お前も謝れよな」
「……? すみません」
「いや、俺にじゃなくてよ……」
何故謝罪を求められているのだろう。
そう言いたそうな様子で僅かに首を俯かせる相手へ、俺はため息をついて苦笑を返した。
「まぁ、今更か。さっさと戻ろうぜ。部長、来る気配ないから部屋で待ってんだろうし」
「はい」
素直に頷き歩みを再開する蓮田を確認して、俺はもう一度蔵の方へ視線を向ける。
寝かされた晴也さんの側に、枝橋さんが膝まづいているのが小さく見えた。たぶん、死体の状況を確認しているのか。
その平和な朝日の中で展開される非現実的で禍々しい光景に、あらためて憂鬱感が込み上げる。
碧さんと晴也さんを殺した犯人は、同一人物。それは即ち、この村に殺人鬼が紛れている証明。
誰が二人を殺したのか。
まだ、悲劇は続くのか。
明確にならない不安と謎だけが増え、俺は平穏だった村の中に見えない漆黒の影が広がっていくような、そんな感覚に襲われた。
あり得ない話ではないし、むしろ納得できる推測だ。
そんなことを考えている間に、晴也さんの身体が床に横たえられた。
大人二人がかりで寝かせた後には、首に巻かれたロープを外す作業。
本来なら警察が来るまではへたにいじらない方が良いのかもしれないが、現状そうは言っていられない。
村長や千賀子さんに関しては、自分の息子がいつまでも首を絞められてままでいるのは心苦しいだろう。
「あぁ! 晴也……晴也ぁ……!」
老人に背中をさすられながら、千賀子さんが嗚咽を漏らす。
初めて会ったときの悠然としたイメージはなく、今はただ無力なだけの老女といった感じがした。
「蓮田……?」
立ち止まって中を眺めていた蓮田が、蔵から顔を背け元来た道を戻りだす。
「戻れと言われたので、そろそろ……」
「……そうか」
素直になるのは良いことだ。これ以上目をつけられる前に戻れるなら、それにこしたことはない。
どこまでも自分のペースを崩さない蓮田に振り回されているのを自覚しつつ、俺もまた入口である門へと引き返していく。
「あれ? きみたち、どうしてここに?」
ちょうど蓮田が門の外へ出たのに合わせるように、枝橋さんが現場へ駆けつけてきた。そのすぐ後ろには、彼を呼びに行っていた昇さんの姿もある。
「あ、いえ……。村長の家、何か大変なことになってるって聞いて、心配になって。その、昨日のこともありますし」
咄嗟のことにうまい言い訳も浮かばず、しどろもどろな口調になってしまう。
主犯格であるはずの蓮田は、相変わらずしれっとした表情でそっぽを向いており、対応は全て丸投げしてくれている。
「ああ……まぁ、心配になる気持ちはわかるけど、二人は宿に戻っていた方が良いよ。こっちは少しばたばたするだろうし」
平静を装うように、枝橋さんは言った。
元は警察だというだけあり、こういう場面には慣れている感じがする。
「はい、邪魔してすみません」
自分一人で頭を下げ、大人二人に道を開ける。
駆けていく枝橋さんたちを見送ってから、蓮田を睨む。
「お前も謝れよな」
「……? すみません」
「いや、俺にじゃなくてよ……」
何故謝罪を求められているのだろう。
そう言いたそうな様子で僅かに首を俯かせる相手へ、俺はため息をついて苦笑を返した。
「まぁ、今更か。さっさと戻ろうぜ。部長、来る気配ないから部屋で待ってんだろうし」
「はい」
素直に頷き歩みを再開する蓮田を確認して、俺はもう一度蔵の方へ視線を向ける。
寝かされた晴也さんの側に、枝橋さんが膝まづいているのが小さく見えた。たぶん、死体の状況を確認しているのか。
その平和な朝日の中で展開される非現実的で禍々しい光景に、あらためて憂鬱感が込み上げる。
碧さんと晴也さんを殺した犯人は、同一人物。それは即ち、この村に殺人鬼が紛れている証明。
誰が二人を殺したのか。
まだ、悲劇は続くのか。
明確にならない不安と謎だけが増え、俺は平穏だった村の中に見えない漆黒の影が広がっていくような、そんな感覚に襲われた。
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