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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 2
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【2】
朝食を終えたのは、午前九時を過ぎた頃だった。
肉や魚類は買い出しが不可能のために在庫が無くなってきているらしく、出てきたものは山菜関係がメインとなっていたが、それでも渡辺さんの作る料理は美味しかった。
梅木家では、あれからどんな進展があったのか。藤美荘にとどまっているこの状況では、まったく把握することができていない。
一応、窓から村長の家を確認することはできるのだが、人の出入りが多いこと以外得られる情報がないのだ。
「……そういえば、僕渡辺さんに訊きたいことがあったんですけど、良いですか?」
全員食事が終わり、ひとまず部屋へ戻ろうかと思い始めた矢先。
由奈さんたちと共に食器の片付けに来ていた渡辺さんへ、そう話しかけたのは部長だった。
「ん? 何だい?」
動かしていた手を止め、渡辺さんは微笑を浮かべて振り返る。
「渡辺さん、藤守神社の社殿に納められていた白い像について、何か知っていることとかあります?」
「……ああ、あれか」
白い像、という言葉に反応し、渡辺さんはほんの一瞬表情を曇らせる。
それでも、すぐに元の柔和な顔に戻ると、少しだけ困ったようなニュアンスで口を開いてきた。
「以前、村長から教えてもらったことなんだけどね。つまらない話だよ?」
「構いません。迷惑でなければ、是非とも教えてください」
前置きする渡辺さんへにこやかに頷き、部長は先を促した。
「きみたちが調べてる言い伝えに出てくる村娘。その怨霊を、あの社殿の中に封印してるっていう話でね。その依り代にするため用意されたのが、中に納められた白い女性の像なわけさ。壊されていたのに気づいたときは驚いたよ。言い伝えの悪霊が出てきたんじゃないかってね。実際、そんなお伽噺が本当にあるわけないのにさ」
最後は自嘲気味に言って、渡辺さんは白い歯を見せる。
どうやら、あの像に関しての推測は部長の想像した通りで間違いなかったようだ。当の本人も、渡辺さんの説明に満足したように笑みを浮かべている。
「確か、藤守神社ってもともとその悪霊を封じ込めるための場所なんですよね」
由奈さんに教えられた話を思い返しながらだろう、桜が言った。
「そう……、藤の悪霊を封印して村を守るための神社って意味で名付けられた場所だよ。何も知らない人なら、村のシンボルの巨大藤を守る神様でも祀ってると思うんだろうね」
名前だけで判断すれば、大抵は勘違いするだろう。最初は、自分も間違えて解釈していたから断言できる。
「やっぱり、白い像は村の言い伝えに関わる物だったわけですね。あの、ついでにもう一つだけ訊いても大丈夫ですか?」
目の前の会話が一段落しかけたところで、すかさず部長は話を進める。
「良いよ。何が聞きたいんだい?」
嫌な顔もせず頷く渡辺さんを確認すると、部長はほがらかな表情のまま物騒な話題を口にした。
「碧さんの殺された場所や時間って、渡辺さんは教えられてたりしてますか?」
そのあまりにストレートな訊き方に、俺と桜は驚いたように部長を見つめた。
側で片付けをしていた由奈さんも、ほんの一瞬手の動きを止め従弟を一瞥する。
しかし、質問をした本人は周りを気にする風でもなく、渡辺さんの返事を待つだけだった。
朝食を終えたのは、午前九時を過ぎた頃だった。
肉や魚類は買い出しが不可能のために在庫が無くなってきているらしく、出てきたものは山菜関係がメインとなっていたが、それでも渡辺さんの作る料理は美味しかった。
梅木家では、あれからどんな進展があったのか。藤美荘にとどまっているこの状況では、まったく把握することができていない。
一応、窓から村長の家を確認することはできるのだが、人の出入りが多いこと以外得られる情報がないのだ。
「……そういえば、僕渡辺さんに訊きたいことがあったんですけど、良いですか?」
全員食事が終わり、ひとまず部屋へ戻ろうかと思い始めた矢先。
由奈さんたちと共に食器の片付けに来ていた渡辺さんへ、そう話しかけたのは部長だった。
「ん? 何だい?」
動かしていた手を止め、渡辺さんは微笑を浮かべて振り返る。
「渡辺さん、藤守神社の社殿に納められていた白い像について、何か知っていることとかあります?」
「……ああ、あれか」
白い像、という言葉に反応し、渡辺さんはほんの一瞬表情を曇らせる。
それでも、すぐに元の柔和な顔に戻ると、少しだけ困ったようなニュアンスで口を開いてきた。
「以前、村長から教えてもらったことなんだけどね。つまらない話だよ?」
「構いません。迷惑でなければ、是非とも教えてください」
前置きする渡辺さんへにこやかに頷き、部長は先を促した。
「きみたちが調べてる言い伝えに出てくる村娘。その怨霊を、あの社殿の中に封印してるっていう話でね。その依り代にするため用意されたのが、中に納められた白い女性の像なわけさ。壊されていたのに気づいたときは驚いたよ。言い伝えの悪霊が出てきたんじゃないかってね。実際、そんなお伽噺が本当にあるわけないのにさ」
最後は自嘲気味に言って、渡辺さんは白い歯を見せる。
どうやら、あの像に関しての推測は部長の想像した通りで間違いなかったようだ。当の本人も、渡辺さんの説明に満足したように笑みを浮かべている。
「確か、藤守神社ってもともとその悪霊を封じ込めるための場所なんですよね」
由奈さんに教えられた話を思い返しながらだろう、桜が言った。
「そう……、藤の悪霊を封印して村を守るための神社って意味で名付けられた場所だよ。何も知らない人なら、村のシンボルの巨大藤を守る神様でも祀ってると思うんだろうね」
名前だけで判断すれば、大抵は勘違いするだろう。最初は、自分も間違えて解釈していたから断言できる。
「やっぱり、白い像は村の言い伝えに関わる物だったわけですね。あの、ついでにもう一つだけ訊いても大丈夫ですか?」
目の前の会話が一段落しかけたところで、すかさず部長は話を進める。
「良いよ。何が聞きたいんだい?」
嫌な顔もせず頷く渡辺さんを確認すると、部長はほがらかな表情のまま物騒な話題を口にした。
「碧さんの殺された場所や時間って、渡辺さんは教えられてたりしてますか?」
そのあまりにストレートな訊き方に、俺と桜は驚いたように部長を見つめた。
側で片付けをしていた由奈さんも、ほんの一瞬手の動きを止め従弟を一瞥する。
しかし、質問をした本人は周りを気にする風でもなく、渡辺さんの返事を待つだけだった。
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