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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 3
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「……一応枝橋さんから話は聞いてるけど、事件に関係することにはあまり興味を持たない方が良くないかな?」
由奈さんと流森さん、二人と目配せを交わしながら、渡辺さんはやんわりとそう言葉を返してきた。
「それはもちろんわかってるつもりです。でも、僕たちもこの村に閉じ込められてしまった以上、他人事ではないと思う部分もありまして。少しでも状況を把握して、身を守る努力はしないと」
うまいのかどうなのかわからないその微妙な言い分に、大人たちが複雑な様子を浮かべる。
「理屈はわからなくもないけど……。これは、どうしたもんだろうね?」
頭を撫でながら渡辺さんが由奈さんたちへ意見を求めると、由奈さんが呆れたように首を横へ振った。
「孝介のことだから、どうせここで黙ってても他の人に訊くつもりなんでしょうし。それくらいなら話しても良いんじゃないですか? 実際、事件に巻き込んじゃってるのは確かだし」
最後は少し自分を責めるような含みをもって、由奈さんが仕方なさげにそう答えた。
「ありがとう、由奈さん」
「そのかわり、あんまり調子にのらないでよ?」
申し訳ない、などと言う気持ちは一切感じさせない部長の態度にだめ押しをするように告げ、由奈さんは片付けを再開した。
若干不安そうな気配を残していたが、ひとまずは大目に見てくれるということだろう。
限りなく個人的な意見としては、ここでしっかり部長を押さえ付けておいてほしかったが。
「仕方ないな。ぼくが話したとか、あまり言いふらさないでくれよ?」
最初にそう注意をし、渡辺さんは難しそうな表情を作って話をはじめた。
「神社で死んでいた碧さんの死亡推定時刻は、前日の夜十時から日付を跨いで深夜一時の間くらいって話だったかな。死因は絞殺で、その後に改めてあそこに吊るしてから、背中を刺したんじゃないかって。まぁ、枝橋さんも大体のことしかわからないらしいから、明確には言えないって言ってたけどさ」
とにかく、直接の死因は首を絞められたことなのは確からしいよ。最後にそう付け加えて、渡辺さんは一度言葉を切った。
「あの、何で鳥居に吊るしてから、包丁を刺したってわかるんすか?」
おずおずと手を挙げて、俺は口を挟んだ。
碧さんを殺した後、背中を刺した行為と鳥居に吊るした行為。どちらが先かなどわかるものなのか。
「ああ、服に付いてた血の跡と、死体の足元にできてた血だまりでわかったみたいだよ」
「ああ、そっか。別の場所や吊るす直前に刺した場合、垂直にだけ血が流れた跡が残るわけないね。運んだり吊るしたりしてる最中にも出血はするわけだし」
小刻みな相槌を打ちながら、部長が次の質問を口にする。
「殺された場所はどこでしたか? その、碧さんが殺された時間帯のアリバイとか、確認したりなんかしてます?」
「いやぁ、殺された場所まではわからないなぁ。ただ、夜中に女の人があんな場所に行くわけがないから、別の場所で殺されてから運ばれたっていうのが、一番可能性としては高いだろうね。アリバイは、どうだろう。夜中に出歩く人なんてこの村にはいないし、大抵みんな寝てる時間帯でしょ? 旦那の晴也さんなら一緒にいたかもしれないけど、殺されちゃったしね……」
肩を竦めて、渡辺さんは首を振る。
由奈さんと流森さん、二人と目配せを交わしながら、渡辺さんはやんわりとそう言葉を返してきた。
「それはもちろんわかってるつもりです。でも、僕たちもこの村に閉じ込められてしまった以上、他人事ではないと思う部分もありまして。少しでも状況を把握して、身を守る努力はしないと」
うまいのかどうなのかわからないその微妙な言い分に、大人たちが複雑な様子を浮かべる。
「理屈はわからなくもないけど……。これは、どうしたもんだろうね?」
頭を撫でながら渡辺さんが由奈さんたちへ意見を求めると、由奈さんが呆れたように首を横へ振った。
「孝介のことだから、どうせここで黙ってても他の人に訊くつもりなんでしょうし。それくらいなら話しても良いんじゃないですか? 実際、事件に巻き込んじゃってるのは確かだし」
最後は少し自分を責めるような含みをもって、由奈さんが仕方なさげにそう答えた。
「ありがとう、由奈さん」
「そのかわり、あんまり調子にのらないでよ?」
申し訳ない、などと言う気持ちは一切感じさせない部長の態度にだめ押しをするように告げ、由奈さんは片付けを再開した。
若干不安そうな気配を残していたが、ひとまずは大目に見てくれるということだろう。
限りなく個人的な意見としては、ここでしっかり部長を押さえ付けておいてほしかったが。
「仕方ないな。ぼくが話したとか、あまり言いふらさないでくれよ?」
最初にそう注意をし、渡辺さんは難しそうな表情を作って話をはじめた。
「神社で死んでいた碧さんの死亡推定時刻は、前日の夜十時から日付を跨いで深夜一時の間くらいって話だったかな。死因は絞殺で、その後に改めてあそこに吊るしてから、背中を刺したんじゃないかって。まぁ、枝橋さんも大体のことしかわからないらしいから、明確には言えないって言ってたけどさ」
とにかく、直接の死因は首を絞められたことなのは確からしいよ。最後にそう付け加えて、渡辺さんは一度言葉を切った。
「あの、何で鳥居に吊るしてから、包丁を刺したってわかるんすか?」
おずおずと手を挙げて、俺は口を挟んだ。
碧さんを殺した後、背中を刺した行為と鳥居に吊るした行為。どちらが先かなどわかるものなのか。
「ああ、服に付いてた血の跡と、死体の足元にできてた血だまりでわかったみたいだよ」
「ああ、そっか。別の場所や吊るす直前に刺した場合、垂直にだけ血が流れた跡が残るわけないね。運んだり吊るしたりしてる最中にも出血はするわけだし」
小刻みな相槌を打ちながら、部長が次の質問を口にする。
「殺された場所はどこでしたか? その、碧さんが殺された時間帯のアリバイとか、確認したりなんかしてます?」
「いやぁ、殺された場所まではわからないなぁ。ただ、夜中に女の人があんな場所に行くわけがないから、別の場所で殺されてから運ばれたっていうのが、一番可能性としては高いだろうね。アリバイは、どうだろう。夜中に出歩く人なんてこの村にはいないし、大抵みんな寝てる時間帯でしょ? 旦那の晴也さんなら一緒にいたかもしれないけど、殺されちゃったしね……」
肩を竦めて、渡辺さんは首を振る。
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