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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 4
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「それはどうかな? 晴也さん、この時期は仕事部屋にこもって遅くまで書き物したりしてるらしいですから、一緒にいたとは限らないかもしれませんよ」
そう言って、渡辺さんの言葉に便乗したのは流森さんだ。
片付けが一段落ついたところで、こちらの会話に混ざる余裕ができたようだった。
「そうなの? その辺りのことは、ぼくにはよくわからないけど」
「ええ。ほら、今の時期は晴也さん、いろいろ飛び回る季節じゃないですか?」
きょとんとする渡辺さんに頷いて、流森さんは話を引き継ぐ。
「取引先とのやり取りに使う資料とか、後は契約書みたいなものとか、かなりまとめなきゃいけない仕事が多いらしくて。去年の今頃に愚痴られた記憶ありますよ。帰ってきても、寝る時間がほとんどないんだ~とかって」
「それじゃあ、碧さんが殺されたときは、一人でいた可能性があるわけですね。そこを犯人に狙われ、殺された。……うん、筋は通るかな」
流森さんの説明を吟味しながら顎に手を当て語る部長を、渡辺さんが苦笑しながら見やる。
「きみ、探偵とかむいてるんじゃない?」
「いやぁ、僕にそんな才能はないですよ。少し憧れてはいますけど。えっと、ついでなんでもう一個だけ、教えてほしいことがあるんです」
まんざらでもない様子で答えながら、部長はもう一つのジェスチャーで人差し指を立てる。
「何だい? この際だから言ってごらん」
「ありがとうございます。あのですね、村長の家って、簡単に部外者が出入りできたりしちゃいます?」
「え? どういうこと?」
「いえ、以前にテレビで観たことがあるんですよ。どこだったかな……どこかの小さな島を取材した番組だったんですけど、その島人口が少なくて島民みんなが顔見知りみたいな所だったんです」
いきなり何の話を始めたのだろう。
全員がそんなことを思いながら耳を傾ける中、部長は一人マイペースに言葉を連ねていく。
「みんなが知り合いみたいな場所だから、その島の人たちって普段から家の鍵とか開けっ放しにしてる方が多いらしいんですよ。強盗事件なんか起きたことないなんて、インタビューを受けてたお婆さんが言ってたのを覚えてます」
部長は、テーブルへ落としていた視線を渡辺さんへ戻す。
「だからひょっとして、この村でも同じような習慣があったりするのかなと思いまして」
「……つまり、あれかな? 村長宅に部外者が自由に入れるかどうかを知れば、犯人を絞り込む手がかりになるかもとか考えてるんだね?」
回りくどい部長の話の意図に気づき、渡辺さんは口の端を上げた。
「まぁ、ぶっちゃけるとそんなところです」
あっさりと認め、部長は渡辺さんの返答を待つ。
「確かに、戸締まりに無頓着な人は村に多いよ。夏場なんか、家の窓全開で出かける人なんてざらにいるくらいだし。村長の家も、例外じゃないね。玄関は鍵を掛けても、他の窓や扉は施錠してないことなんて珍しくもない。まぁ、仮にきっちり戸締まりしてても、スペアの鍵を持ってる人なら誰でも入れるんだけど」
「スペア? 合鍵みたいなものですか?」
「そう。この藤美荘にも一つあるよ。普段は管理室……えっと、従業員が集まってる一階の部屋のことだけど、そこに保管してる。と言っても、管理が甘いからいつでも持ち出せる状態」
そう言って、渡辺さんの言葉に便乗したのは流森さんだ。
片付けが一段落ついたところで、こちらの会話に混ざる余裕ができたようだった。
「そうなの? その辺りのことは、ぼくにはよくわからないけど」
「ええ。ほら、今の時期は晴也さん、いろいろ飛び回る季節じゃないですか?」
きょとんとする渡辺さんに頷いて、流森さんは話を引き継ぐ。
「取引先とのやり取りに使う資料とか、後は契約書みたいなものとか、かなりまとめなきゃいけない仕事が多いらしくて。去年の今頃に愚痴られた記憶ありますよ。帰ってきても、寝る時間がほとんどないんだ~とかって」
「それじゃあ、碧さんが殺されたときは、一人でいた可能性があるわけですね。そこを犯人に狙われ、殺された。……うん、筋は通るかな」
流森さんの説明を吟味しながら顎に手を当て語る部長を、渡辺さんが苦笑しながら見やる。
「きみ、探偵とかむいてるんじゃない?」
「いやぁ、僕にそんな才能はないですよ。少し憧れてはいますけど。えっと、ついでなんでもう一個だけ、教えてほしいことがあるんです」
まんざらでもない様子で答えながら、部長はもう一つのジェスチャーで人差し指を立てる。
「何だい? この際だから言ってごらん」
「ありがとうございます。あのですね、村長の家って、簡単に部外者が出入りできたりしちゃいます?」
「え? どういうこと?」
「いえ、以前にテレビで観たことがあるんですよ。どこだったかな……どこかの小さな島を取材した番組だったんですけど、その島人口が少なくて島民みんなが顔見知りみたいな所だったんです」
いきなり何の話を始めたのだろう。
全員がそんなことを思いながら耳を傾ける中、部長は一人マイペースに言葉を連ねていく。
「みんなが知り合いみたいな場所だから、その島の人たちって普段から家の鍵とか開けっ放しにしてる方が多いらしいんですよ。強盗事件なんか起きたことないなんて、インタビューを受けてたお婆さんが言ってたのを覚えてます」
部長は、テーブルへ落としていた視線を渡辺さんへ戻す。
「だからひょっとして、この村でも同じような習慣があったりするのかなと思いまして」
「……つまり、あれかな? 村長宅に部外者が自由に入れるかどうかを知れば、犯人を絞り込む手がかりになるかもとか考えてるんだね?」
回りくどい部長の話の意図に気づき、渡辺さんは口の端を上げた。
「まぁ、ぶっちゃけるとそんなところです」
あっさりと認め、部長は渡辺さんの返答を待つ。
「確かに、戸締まりに無頓着な人は村に多いよ。夏場なんか、家の窓全開で出かける人なんてざらにいるくらいだし。村長の家も、例外じゃないね。玄関は鍵を掛けても、他の窓や扉は施錠してないことなんて珍しくもない。まぁ、仮にきっちり戸締まりしてても、スペアの鍵を持ってる人なら誰でも入れるんだけど」
「スペア? 合鍵みたいなものですか?」
「そう。この藤美荘にも一つあるよ。普段は管理室……えっと、従業員が集まってる一階の部屋のことだけど、そこに保管してる。と言っても、管理が甘いからいつでも持ち出せる状態」
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