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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 9
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最後にそれだけ告げて、部長はくるりと方向転換をして歩きだした。
「ちょっと、外に出てみようか?」
「え? 外って、どこに行くんすか?」
部長の姿を目で追いながら、訊ねる。
「村長の家。中には入れないかもしれないけど、入り口から敷地内を眺めるくらいは許されるでしょ」
「本気っすか?」
もう一度顔を窓の外へ戻し、行き先の様子を確かめる。
言われた通り、中に入らなければ問題はなさそうだが、行って得することがあるようにも思えない。
「僕はまだ、事件現場すらまともに見ていない。せめて遠巻きに眺めるくらいは許されて良いはずだ。それに、運が良ければ誰かから話を聞けるかもしれないしね。あれだけ人が行き来してれば、犯人に襲われる心配だってないでしょ?」
「……まぁ、そうかもしれませんけど」
結局は事件の聞き込み目的か。そう理解して納得する。
「桜くんたちにも、一応声をかけてみよう」
廊下を出る直前に振り返り、部長は隣の部屋を指さす。
「はぁ」
曖昧に同意しながら、靴を履いて部屋を出た。
「二人とも、ちょっと良いかな」
部長が女子部屋のドアをノックしながら声をかけると、中からすぐに返事が聞こえた。
「はいはい、何でしょうか?」
顔を出した桜が、俺たちを交互に見ながら首を傾ける。
「これから少し外に出ようかと思うんだけど、良かったら一緒に来ないかい? ずっと部屋にいるよりは、気分転換ができると思うよ」
「外に? 大丈夫なんですか、今歩き回って。叱られません?」
まるで不審者でも相手にするような表情になって、桜が問う。
「別に、外を歩くくらいで叱られたりしないよ。無理に誘うつもりはないから、嫌ならそれで構わないけど」
「嫌ではないですけどぉ……。乃亜ちゃんはどうする?」
一度部屋の中へ振り返り、桜は話を聞いていたであろう後輩へ意見を求めた。
「構いません」
小さな声がそう告げるのを確認して、桜は小刻みに頷きながらこちらに向き直る。
確か、こんな風に首だけがカクカク動く玩具があったななどと、どうでも良いことが頭に浮かんだが、笑いそうになる前に一度視線を床に向け思考を切り替えた。
「じゃあ、せっかくなので。因みに、どこに行くつもりですか?」
気分転換と言われたこともあって、明らかに油断した表情を桜は浮かべている。ちょっとした散歩をするくらいの感覚で捉えているのかもしれない。
「すぐそこ。村長の家の前まで」
その証拠に、朗らかに答える部長の言葉を聞いた瞬間、桜の頬が強張った。
「……また事件のこと?」
目がこちらを向いたので、俺に訊ねたのだろう。
「近くから現場を見てみたいって。敷地までは入らないとさ」
仕方なしに答え、諦めろの意味を込め小さく首を振っておく。
「入られても困るわよ……」
桜は、呆れたようなため息を一つ吐いて、
「準備します」
とだけ告げ一度ドアを閉めた。
「桜くん、まだ若干不機嫌そうかな?」
「いや、むしろ今のでとどめさしたようなもんかと思いますけど」
ポリポリとこめかみを掻く部長に率直な意見を返し、俺は気だるい気分で欠伸を噛み殺した。
その後、管理室にいた流森さんへ外へ出ることを伝え、俺たちは村長宅前まで移動した。
「ちょっと、外に出てみようか?」
「え? 外って、どこに行くんすか?」
部長の姿を目で追いながら、訊ねる。
「村長の家。中には入れないかもしれないけど、入り口から敷地内を眺めるくらいは許されるでしょ」
「本気っすか?」
もう一度顔を窓の外へ戻し、行き先の様子を確かめる。
言われた通り、中に入らなければ問題はなさそうだが、行って得することがあるようにも思えない。
「僕はまだ、事件現場すらまともに見ていない。せめて遠巻きに眺めるくらいは許されて良いはずだ。それに、運が良ければ誰かから話を聞けるかもしれないしね。あれだけ人が行き来してれば、犯人に襲われる心配だってないでしょ?」
「……まぁ、そうかもしれませんけど」
結局は事件の聞き込み目的か。そう理解して納得する。
「桜くんたちにも、一応声をかけてみよう」
廊下を出る直前に振り返り、部長は隣の部屋を指さす。
「はぁ」
曖昧に同意しながら、靴を履いて部屋を出た。
「二人とも、ちょっと良いかな」
部長が女子部屋のドアをノックしながら声をかけると、中からすぐに返事が聞こえた。
「はいはい、何でしょうか?」
顔を出した桜が、俺たちを交互に見ながら首を傾ける。
「これから少し外に出ようかと思うんだけど、良かったら一緒に来ないかい? ずっと部屋にいるよりは、気分転換ができると思うよ」
「外に? 大丈夫なんですか、今歩き回って。叱られません?」
まるで不審者でも相手にするような表情になって、桜が問う。
「別に、外を歩くくらいで叱られたりしないよ。無理に誘うつもりはないから、嫌ならそれで構わないけど」
「嫌ではないですけどぉ……。乃亜ちゃんはどうする?」
一度部屋の中へ振り返り、桜は話を聞いていたであろう後輩へ意見を求めた。
「構いません」
小さな声がそう告げるのを確認して、桜は小刻みに頷きながらこちらに向き直る。
確か、こんな風に首だけがカクカク動く玩具があったななどと、どうでも良いことが頭に浮かんだが、笑いそうになる前に一度視線を床に向け思考を切り替えた。
「じゃあ、せっかくなので。因みに、どこに行くつもりですか?」
気分転換と言われたこともあって、明らかに油断した表情を桜は浮かべている。ちょっとした散歩をするくらいの感覚で捉えているのかもしれない。
「すぐそこ。村長の家の前まで」
その証拠に、朗らかに答える部長の言葉を聞いた瞬間、桜の頬が強張った。
「……また事件のこと?」
目がこちらを向いたので、俺に訊ねたのだろう。
「近くから現場を見てみたいって。敷地までは入らないとさ」
仕方なしに答え、諦めろの意味を込め小さく首を振っておく。
「入られても困るわよ……」
桜は、呆れたようなため息を一つ吐いて、
「準備します」
とだけ告げ一度ドアを閉めた。
「桜くん、まだ若干不機嫌そうかな?」
「いや、むしろ今のでとどめさしたようなもんかと思いますけど」
ポリポリとこめかみを掻く部長に率直な意見を返し、俺は気だるい気分で欠伸を噛み殺した。
その後、管理室にいた流森さんへ外へ出ることを伝え、俺たちは村長宅前まで移動した。
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