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第三章:藤花に消えた死体
第三章:藤花に消えた死体 16
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【5】
「あれ、みんな揃ってどうしたんだ?」
村長宅へ着いて早々、蔵の前で老人と話をしていた枝橋さんが、こちらに気づき声をかけてきた。
蔵には近づかないという条件でここへ来たため、門をくぐり真っ直ぐ玄関へと向かう途中で、枝橋さん以外の村民たちからも浴びせられる視線に若干の罰悪さを覚えながら、全員で仕方なく足を止めた。
「いや、竜久を探しに来たんですけど見かけませんでした? 部屋に何か取りに行くって、ついさっき戻ってきたはずなんですけど」
目の前に佇む日本家屋を指差して、昇さんは近づいてくる枝橋さんにそう告げる。
「竜久さん? ああ、確かにさっき家に入って行くのは見かけたけど、出ていく姿は見てないな。まだ中にいるんじゃないですか?」
側で立ち止まった枝橋さんは、玄関を振り返りつつそう答えた。
「そうですか。やっぱまだ探しもんしてんのか? 俺はてっきり、皆さんの手伝いさせられてるもんだと思ってたんですけどね。違ったみたいだ」
へらへら笑いながら言う昇さんの台詞に、枝橋さんの顔が僅かに歪む。
「昇さん、普段からお世話になってきた親族が亡くなったときに、その言い草はないでしょう?」
「いやぁ、ま、そうですよね。とりあえず、俺は竜久に用があるんで。……ほれ、行くぜ?」
無理矢理会話をぶつ切りにして、昇さんは俺たちを家の中へ促す。
先に歩きだす甥の男と枝橋さんへ交互に視線を這わせ、仕方がないので昇さんの後を追う。
「……きみたち」
しかし、まるで職務質問でもするかのような固い声が、俺たちの足を止めさせた。
「はい?」
緊張しながら振り向くと、険しい表情をした枝橋さんがメンバー全員を睨んでいた。
「あまり、彼に関わるのはやめておいた方が良いよ。あんまり良い噂は聞かないし、性格的にも少し問題がある」
「大丈夫です。ただ少し話を聞かせてもらおうと思っているだけですので」
厳しい目を向ける枝橋さんにすらやんわりとした笑顔をみせ、部長が返事をする。
「話って? そっちの二人はさっきも門の所にいたみたいだけど、まさか事件に首を突っ込んでるわけじゃないだろうね?」
俺と蓮田を示し告げられる問いに、部長は首を横に振る。
「いえ、確かに事件のことは気になります。でも、邪魔をしたりするつもりはありません。ただ、僕たちとしても正直不安でして。いつ帰れるかわからない上に、宿のすぐ側で立て続けに人が殺されているわけですから。部外者なのはわきまえた上でも、最低限の情報は把握しておきたいというのが素直な意見です」
「……その気持ちはわからないでもないけれどね。一応、警察が来るまでは自分たち自警団がどうにか対応をしていくつもりだから、みんなはなるべくむやみに動き回らないでもらいたい。その方が身の安全にも繋がるはずだから」
部長の言い分を受け流し、枝橋さんは努めて優しいニュアンスでそう返してきた。
「そうですね。おっしゃる通りです。でも、ずっと藤美壮に閉じこもっているというのも辛いので、少し外を歩くくらいは許可をもらえますか?」
一瞬。本当にほんの一瞬、部長が何かを企むような思案顔をみせたことに俺は気づいた。
おそらく、今後自分たちが少しでも有利に動けるよう交渉をつける魂胆でいるのだろう。
「あれ、みんな揃ってどうしたんだ?」
村長宅へ着いて早々、蔵の前で老人と話をしていた枝橋さんが、こちらに気づき声をかけてきた。
蔵には近づかないという条件でここへ来たため、門をくぐり真っ直ぐ玄関へと向かう途中で、枝橋さん以外の村民たちからも浴びせられる視線に若干の罰悪さを覚えながら、全員で仕方なく足を止めた。
「いや、竜久を探しに来たんですけど見かけませんでした? 部屋に何か取りに行くって、ついさっき戻ってきたはずなんですけど」
目の前に佇む日本家屋を指差して、昇さんは近づいてくる枝橋さんにそう告げる。
「竜久さん? ああ、確かにさっき家に入って行くのは見かけたけど、出ていく姿は見てないな。まだ中にいるんじゃないですか?」
側で立ち止まった枝橋さんは、玄関を振り返りつつそう答えた。
「そうですか。やっぱまだ探しもんしてんのか? 俺はてっきり、皆さんの手伝いさせられてるもんだと思ってたんですけどね。違ったみたいだ」
へらへら笑いながら言う昇さんの台詞に、枝橋さんの顔が僅かに歪む。
「昇さん、普段からお世話になってきた親族が亡くなったときに、その言い草はないでしょう?」
「いやぁ、ま、そうですよね。とりあえず、俺は竜久に用があるんで。……ほれ、行くぜ?」
無理矢理会話をぶつ切りにして、昇さんは俺たちを家の中へ促す。
先に歩きだす甥の男と枝橋さんへ交互に視線を這わせ、仕方がないので昇さんの後を追う。
「……きみたち」
しかし、まるで職務質問でもするかのような固い声が、俺たちの足を止めさせた。
「はい?」
緊張しながら振り向くと、険しい表情をした枝橋さんがメンバー全員を睨んでいた。
「あまり、彼に関わるのはやめておいた方が良いよ。あんまり良い噂は聞かないし、性格的にも少し問題がある」
「大丈夫です。ただ少し話を聞かせてもらおうと思っているだけですので」
厳しい目を向ける枝橋さんにすらやんわりとした笑顔をみせ、部長が返事をする。
「話って? そっちの二人はさっきも門の所にいたみたいだけど、まさか事件に首を突っ込んでるわけじゃないだろうね?」
俺と蓮田を示し告げられる問いに、部長は首を横に振る。
「いえ、確かに事件のことは気になります。でも、邪魔をしたりするつもりはありません。ただ、僕たちとしても正直不安でして。いつ帰れるかわからない上に、宿のすぐ側で立て続けに人が殺されているわけですから。部外者なのはわきまえた上でも、最低限の情報は把握しておきたいというのが素直な意見です」
「……その気持ちはわからないでもないけれどね。一応、警察が来るまでは自分たち自警団がどうにか対応をしていくつもりだから、みんなはなるべくむやみに動き回らないでもらいたい。その方が身の安全にも繋がるはずだから」
部長の言い分を受け流し、枝橋さんは努めて優しいニュアンスでそう返してきた。
「そうですね。おっしゃる通りです。でも、ずっと藤美壮に閉じこもっているというのも辛いので、少し外を歩くくらいは許可をもらえますか?」
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おそらく、今後自分たちが少しでも有利に動けるよう交渉をつける魂胆でいるのだろう。
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