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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 10
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【5】
午前八時半。
起床して、一時間以上が過ぎた。
管理室には相変わらず俺と由奈さんの二人きり。
渡辺さんくらいは顔を見せるかもしれないと予想していたのだが、予感が的中することはなかった。
「……孝介ってさ」
とりとめのない会話が一段落し、沈黙しかけていた室内に由奈さんが言葉を放る。
突然何の話を始めたのかと顔を向けると、由奈さんは視線が合うのを確認してから、薄く笑みを浮かべ話を続けてきた。
「目覚まし無くても起きられるとか言ってたけど、あれ絶対嘘だよね? 昨日も一昨日もそんな気配全くなかったし」
「……ああ、そういえばそんなこと言ってましたね」
ここに来た初日か二日目に、そんな会話を聞いた記憶がぼんやりとある。
「低血圧のくせに起きられるわけがないじゃないね? 目覚まし使っても怪しいくらいに思うけど」
コーヒーカップを口元へ近づけながら、由奈さんはフフッと鼻で笑う。
「でも、普段学校とかに遅刻して来たりはしてないみたいですし、起きられないことはないんじゃないっすか?」
「どうかなぁ? ただ親に無理矢理起こされてるだけかもしれないわよ?」
悪戯な含みが混ざる答えに苦笑しつつ、俺も二杯目のコーヒーに口をつけようとした刹那。
「それは、随分と勝手な言い方じゃないかな?」
聞き慣れ過ぎた声と共に部屋のドアが開き、だるそうな眼をした部長が顔を覗かせた。
「あ、部長。おはようございます」
反射的に挨拶をすると、部長はもっさりとした動作で手を挙げて
「うん、おはよう」
と返してきた。
「……僕もコーヒー貰えるかな?」
俺の手元を見つめたまま部長が言うと、由奈さんは頷いて立ち上がりカップに新しくコーヒーを注いだ。
「ありがとう」
それを受け取りながら俺の隣へ腰を下ろし、一口すする。
「ああ……やっぱり、朝はコーヒーだよね」
「何気取ってんのよ」
人心地つくような表情で呟く部長を、呆れた様子で見つめる由奈さん。
「部長、今日は起きるの早いっすよね。どうかしたんすか?」
今くらいの時間なら、まだ部長は布団の中にいるはずである。
目覚ましをセットしているわけでもないのに、何故今日に限りこんな早く起き上がってきたのか。
「たまたまトイレにでも目を覚ましただけでしょ?」
「違うよ」
茶化す由奈さんへムッとしたように口を尖らせてから、部長は俺に顔を向けて言葉を吐いた。
「こうも毎日人が殺されてるのに、いくら僕だって悠長に寝てなんかいられないさ。ひょっとしたら、事件について何かしら進展があったかもしれないしさ」
またコーヒーを口に運び、音を立ててすする部長。
「……つまり、事件が気になり過ぎて、早起きしただけってこと?」
半ば呆れたような口調で問う従姉にうんと頷いて、部長はどこか得意気に口角を上げてみせた。
「ついでに、僕が目覚まし無しでも自力で起きられることも、証明できたわけだよね」
「微妙。てか、あんたひょっとしてわたしたちの話聞いてた?」
「ちょっとだけだよ。起きたら長沢くんがいないから、女子と一緒にいるのかと思って見に行っても来てない言われたし、トイレにもいなかった。だから、こっちに来ればもしかしたらと思ってさ。ドアの前まで来たら話し声が聞こえたから、少しだけ聞き耳を立ててた」
午前八時半。
起床して、一時間以上が過ぎた。
管理室には相変わらず俺と由奈さんの二人きり。
渡辺さんくらいは顔を見せるかもしれないと予想していたのだが、予感が的中することはなかった。
「……孝介ってさ」
とりとめのない会話が一段落し、沈黙しかけていた室内に由奈さんが言葉を放る。
突然何の話を始めたのかと顔を向けると、由奈さんは視線が合うのを確認してから、薄く笑みを浮かべ話を続けてきた。
「目覚まし無くても起きられるとか言ってたけど、あれ絶対嘘だよね? 昨日も一昨日もそんな気配全くなかったし」
「……ああ、そういえばそんなこと言ってましたね」
ここに来た初日か二日目に、そんな会話を聞いた記憶がぼんやりとある。
「低血圧のくせに起きられるわけがないじゃないね? 目覚まし使っても怪しいくらいに思うけど」
コーヒーカップを口元へ近づけながら、由奈さんはフフッと鼻で笑う。
「でも、普段学校とかに遅刻して来たりはしてないみたいですし、起きられないことはないんじゃないっすか?」
「どうかなぁ? ただ親に無理矢理起こされてるだけかもしれないわよ?」
悪戯な含みが混ざる答えに苦笑しつつ、俺も二杯目のコーヒーに口をつけようとした刹那。
「それは、随分と勝手な言い方じゃないかな?」
聞き慣れ過ぎた声と共に部屋のドアが開き、だるそうな眼をした部長が顔を覗かせた。
「あ、部長。おはようございます」
反射的に挨拶をすると、部長はもっさりとした動作で手を挙げて
「うん、おはよう」
と返してきた。
「……僕もコーヒー貰えるかな?」
俺の手元を見つめたまま部長が言うと、由奈さんは頷いて立ち上がりカップに新しくコーヒーを注いだ。
「ありがとう」
それを受け取りながら俺の隣へ腰を下ろし、一口すする。
「ああ……やっぱり、朝はコーヒーだよね」
「何気取ってんのよ」
人心地つくような表情で呟く部長を、呆れた様子で見つめる由奈さん。
「部長、今日は起きるの早いっすよね。どうかしたんすか?」
今くらいの時間なら、まだ部長は布団の中にいるはずである。
目覚ましをセットしているわけでもないのに、何故今日に限りこんな早く起き上がってきたのか。
「たまたまトイレにでも目を覚ましただけでしょ?」
「違うよ」
茶化す由奈さんへムッとしたように口を尖らせてから、部長は俺に顔を向けて言葉を吐いた。
「こうも毎日人が殺されてるのに、いくら僕だって悠長に寝てなんかいられないさ。ひょっとしたら、事件について何かしら進展があったかもしれないしさ」
またコーヒーを口に運び、音を立ててすする部長。
「……つまり、事件が気になり過ぎて、早起きしただけってこと?」
半ば呆れたような口調で問う従姉にうんと頷いて、部長はどこか得意気に口角を上げてみせた。
「ついでに、僕が目覚まし無しでも自力で起きられることも、証明できたわけだよね」
「微妙。てか、あんたひょっとしてわたしたちの話聞いてた?」
「ちょっとだけだよ。起きたら長沢くんがいないから、女子と一緒にいるのかと思って見に行っても来てない言われたし、トイレにもいなかった。だから、こっちに来ればもしかしたらと思ってさ。ドアの前まで来たら話し声が聞こえたから、少しだけ聞き耳を立ててた」
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