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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 13
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「はい。晴也さんが殺されていた現場では、特におかしな感覚はなかったのですが……」
そう言われてしまっては、尚更自分にはわからない。
あの藤守神社で起きた殺人に、いったいどんな問題が転がっているのか。
「……あ」
何の前触れもなく、呟きを漏らしたのは桜だった。
「どうした?」
コーヒーを持ったまま口を丸くする彼女に視線が集まる。
「今のやり取り聞いてて思ったんだけど、乃亜ちゃんの言う違和感って、あの白い像が原因なんじゃないの?」
「社殿の中にあったあれか? 確かに、あの現場にしかない物だし可能性はあるか。蓮田、どうだ? あの女の形した像とか、引っかからないか?」
幼なじみの閃きに同意して、俺はまた後輩の方を向く。
「いえ、おそらくあの神像には、深い意味はないと思われます。あれはあくまで、犯人が言い伝えに出てくる悪霊を強調するために利用しただけのものかと」
「だから、そこまでして村の言い伝えを押し出してくるのが、おかしいってことなんじゃないの?」
あっさりと首を振る後輩へ、桜がさらに言葉をかける。
「確かにそれもありますが、碧さんの殺害現場で感じたものは全く別のものです」
「何だか、漠然としているね。僕としても蓮田くんの話には興味があるけど、一緒に考えるための材料が少なすぎるんだよねぇ」
ソファーにもたれかかったまま俺たちの話を聞いていた部長が、頭を擦りながらぼやきを発した。
「まだ全然、僕たちの推理は進んでない。まともに考える余地がないんだから困ったものだよ」
「あんたが考える必要ないでしょ。黙って大人しくしてなさいって」
またもや由奈さんに睨まれ、部長は素直に口を結ぶ。
そこでまた沈黙の時間が流れ、しばらくは衣擦れやカップを置く乾いた音だけが室内に響いた。
早朝のこの時間、特にやることもないため全員が手持ちぶさたに陥るのは仕方がないが、そこからさらに自由行動に制限がかかるのは憂鬱になってくる。
「……みんな、やることないなら朝風呂でも――」
しばし経って、俺たちの様子を眺めていた由奈さんが、何かを口走ろうと唇を動かしたときだった。
廊下の先から誰かが駆けて来るような、規則的な足音が耳に届いた。
何事だろうかと様子を窺う俺たちの前で、部屋のドアが勢いよく開けられる。
「おい、他の奴らはどうした?」
強張った面持ちで現れたのは、昇さんだった。
部屋にいる者たちを眺め回し落ち着かない態度をみせながら、早口で言葉を連ねてくる。
「渡辺さんと流森さんは? また面倒くせぇことが起きちまったから、みんなに知らせに来たんだ」
「面倒くさいことって……、今度は何があったんです?」
まるで警戒するような慎重さで、由奈さんが問う。
「家の蔵ん中で、爺さんが殺されてた。今自警団の奴らが見つけてよ、俺が知らせに行くよう頼まれたんだ」
「嘘……、村長まで殺されたんですか?」
苦渋の表情を浮かべ答えてくる昇さんの返答に、由奈さんは口元を押さえて絶句してしまう。
「俺もちらっとだけ見て確認したけど、晴也のときと同じだよ。天井の梁から吊られて、胸に何か刺さってた。たぶん蔵にあった鎌かなんかだろうな」
「そんな……」
桜の震えた声に目を向けると、蒼白になりながら唇を小刻みに痙攣させているのに気づき、少し心配になる。
そう言われてしまっては、尚更自分にはわからない。
あの藤守神社で起きた殺人に、いったいどんな問題が転がっているのか。
「……あ」
何の前触れもなく、呟きを漏らしたのは桜だった。
「どうした?」
コーヒーを持ったまま口を丸くする彼女に視線が集まる。
「今のやり取り聞いてて思ったんだけど、乃亜ちゃんの言う違和感って、あの白い像が原因なんじゃないの?」
「社殿の中にあったあれか? 確かに、あの現場にしかない物だし可能性はあるか。蓮田、どうだ? あの女の形した像とか、引っかからないか?」
幼なじみの閃きに同意して、俺はまた後輩の方を向く。
「いえ、おそらくあの神像には、深い意味はないと思われます。あれはあくまで、犯人が言い伝えに出てくる悪霊を強調するために利用しただけのものかと」
「だから、そこまでして村の言い伝えを押し出してくるのが、おかしいってことなんじゃないの?」
あっさりと首を振る後輩へ、桜がさらに言葉をかける。
「確かにそれもありますが、碧さんの殺害現場で感じたものは全く別のものです」
「何だか、漠然としているね。僕としても蓮田くんの話には興味があるけど、一緒に考えるための材料が少なすぎるんだよねぇ」
ソファーにもたれかかったまま俺たちの話を聞いていた部長が、頭を擦りながらぼやきを発した。
「まだ全然、僕たちの推理は進んでない。まともに考える余地がないんだから困ったものだよ」
「あんたが考える必要ないでしょ。黙って大人しくしてなさいって」
またもや由奈さんに睨まれ、部長は素直に口を結ぶ。
そこでまた沈黙の時間が流れ、しばらくは衣擦れやカップを置く乾いた音だけが室内に響いた。
早朝のこの時間、特にやることもないため全員が手持ちぶさたに陥るのは仕方がないが、そこからさらに自由行動に制限がかかるのは憂鬱になってくる。
「……みんな、やることないなら朝風呂でも――」
しばし経って、俺たちの様子を眺めていた由奈さんが、何かを口走ろうと唇を動かしたときだった。
廊下の先から誰かが駆けて来るような、規則的な足音が耳に届いた。
何事だろうかと様子を窺う俺たちの前で、部屋のドアが勢いよく開けられる。
「おい、他の奴らはどうした?」
強張った面持ちで現れたのは、昇さんだった。
部屋にいる者たちを眺め回し落ち着かない態度をみせながら、早口で言葉を連ねてくる。
「渡辺さんと流森さんは? また面倒くせぇことが起きちまったから、みんなに知らせに来たんだ」
「面倒くさいことって……、今度は何があったんです?」
まるで警戒するような慎重さで、由奈さんが問う。
「家の蔵ん中で、爺さんが殺されてた。今自警団の奴らが見つけてよ、俺が知らせに行くよう頼まれたんだ」
「嘘……、村長まで殺されたんですか?」
苦渋の表情を浮かべ答えてくる昇さんの返答に、由奈さんは口元を押さえて絶句してしまう。
「俺もちらっとだけ見て確認したけど、晴也のときと同じだよ。天井の梁から吊られて、胸に何か刺さってた。たぶん蔵にあった鎌かなんかだろうな」
「そんな……」
桜の震えた声に目を向けると、蒼白になりながら唇を小刻みに痙攣させているのに気づき、少し心配になる。
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