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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 17
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普段からよく手伝いをしているため、由奈は遠慮なく中へと入っていく。
「渡辺さん、忙しいところすみません。ちょっと良いですか?」
作業場へと声をかけながら進んでいくが、返事はない。
不審に思いつつ中を見回し、いつも渡辺が使用しているまな板に目がいった。
愛用している包丁と、切りかけの人参。どうやら仕込みの最中ではあるようだが、どこに姿を消しているのか。
「あ……」
ふと思いつき、さらに奥にある冷蔵庫へ向かう。
冷蔵庫は厨房の一番奥にある部屋で、そこからさらに冷凍庫へも繋がっている。
あまり広い空間ではないが、ほとんど客の来ない藤美荘では十分過ぎるスペースがあり、特に一応観光シーズンである今の時期は、渡辺が保存の効く食品を買いだめし貯蔵していたりするのだ。
「渡辺さん、ちょっとすみません」
入り口が僅かに開いていることを認識し、中に渡辺がいることを確信する。
「ん? どうかしたのかい?」
案の定、冷蔵庫で食材を漁っていた渡辺が、手を止めて振り返る。
「朝食の準備ならほとんど終わったから、手伝いはなくて平気だよ」
「いえ、違うんです……」
まだ状況を把握していない渡辺は、冗談めかした台詞を吐いてにこりと笑う。
「あの、実は――」
そんな相手との距離を真顔で詰め、由奈は村長の死を伝える。
途中までは気楽な様子で聞いていた渡辺だったが、話が終わる頃には深刻な表情に一変していた。
「……それで、枝橋さんたちは今何を?」
問うてくる渡辺に、由奈は首を振る。
「詳しいことは、まだよくわからなくて」
「そうか。蔵の中で殺されていたってことは、晴也さんたちが安置されてるあの場所でってことだよね?」
「そうだと思いますけど……」
「だとしたら、犯人はかなりえげつないな。息子夫婦を安置してる場所に、わざわざ親を吊るすなんて……」
不快に顔を歪める渡辺の言葉に、由奈は返答できず黙り込む。
「泊まりに来てる子たちは、もう起きてるの?」
「え? あ、はい。管理室に集まってます。今は流森さんと一緒に」
「うん、誰かが側にいた方が良いだろうね。ここまで被害が連鎖する以上、万が一危険に紛れ込まれたら大変だし、それにあの子たちの好奇心の旺盛さはちょっと注意しとかないと」
おそらくは、自分の従弟をメインにした指摘だろう。そう理解し、由奈は素直に頷いておく。
「わたしも、大人しくしとくように言ってはいるんですけど。言うことを聞かなくて困ってるんですよ」
「まぁ、学生だしまだまだやんちゃな時期なのかもしれないね。ひとまず、状況は把握したよ。僕はみんなの分の朝食を先に用意するから、管理室で待っててもらえる? その後で、僕も枝橋さんのところに行ってみるから」
由奈の台詞に苦笑混じりで答え、渡辺は目的の物であったのだろう、棚の箱からサラダ用のドレッシングを取り出した。
「わかりました。もし何かあったときにはまた連絡しますので」
二人で冷蔵庫を出て、厨房へ戻る。
「うん、僕もなるべく早く作業を終わらせるよ」
告げて調理台に歩いていく渡辺に一礼し、由奈は廊下に出る。
――あとは、孝介たちがまたしゃしゃり出たりしないように見張っとかなきゃ。
こうしてる間にも、また好き勝手にうろちょろされていそうで落ち着かない。
たった今閉めたばかりのドアを一瞥して、由奈は管理室へと引き返した。
「渡辺さん、忙しいところすみません。ちょっと良いですか?」
作業場へと声をかけながら進んでいくが、返事はない。
不審に思いつつ中を見回し、いつも渡辺が使用しているまな板に目がいった。
愛用している包丁と、切りかけの人参。どうやら仕込みの最中ではあるようだが、どこに姿を消しているのか。
「あ……」
ふと思いつき、さらに奥にある冷蔵庫へ向かう。
冷蔵庫は厨房の一番奥にある部屋で、そこからさらに冷凍庫へも繋がっている。
あまり広い空間ではないが、ほとんど客の来ない藤美荘では十分過ぎるスペースがあり、特に一応観光シーズンである今の時期は、渡辺が保存の効く食品を買いだめし貯蔵していたりするのだ。
「渡辺さん、ちょっとすみません」
入り口が僅かに開いていることを認識し、中に渡辺がいることを確信する。
「ん? どうかしたのかい?」
案の定、冷蔵庫で食材を漁っていた渡辺が、手を止めて振り返る。
「朝食の準備ならほとんど終わったから、手伝いはなくて平気だよ」
「いえ、違うんです……」
まだ状況を把握していない渡辺は、冗談めかした台詞を吐いてにこりと笑う。
「あの、実は――」
そんな相手との距離を真顔で詰め、由奈は村長の死を伝える。
途中までは気楽な様子で聞いていた渡辺だったが、話が終わる頃には深刻な表情に一変していた。
「……それで、枝橋さんたちは今何を?」
問うてくる渡辺に、由奈は首を振る。
「詳しいことは、まだよくわからなくて」
「そうか。蔵の中で殺されていたってことは、晴也さんたちが安置されてるあの場所でってことだよね?」
「そうだと思いますけど……」
「だとしたら、犯人はかなりえげつないな。息子夫婦を安置してる場所に、わざわざ親を吊るすなんて……」
不快に顔を歪める渡辺の言葉に、由奈は返答できず黙り込む。
「泊まりに来てる子たちは、もう起きてるの?」
「え? あ、はい。管理室に集まってます。今は流森さんと一緒に」
「うん、誰かが側にいた方が良いだろうね。ここまで被害が連鎖する以上、万が一危険に紛れ込まれたら大変だし、それにあの子たちの好奇心の旺盛さはちょっと注意しとかないと」
おそらくは、自分の従弟をメインにした指摘だろう。そう理解し、由奈は素直に頷いておく。
「わたしも、大人しくしとくように言ってはいるんですけど。言うことを聞かなくて困ってるんですよ」
「まぁ、学生だしまだまだやんちゃな時期なのかもしれないね。ひとまず、状況は把握したよ。僕はみんなの分の朝食を先に用意するから、管理室で待っててもらえる? その後で、僕も枝橋さんのところに行ってみるから」
由奈の台詞に苦笑混じりで答え、渡辺は目的の物であったのだろう、棚の箱からサラダ用のドレッシングを取り出した。
「わかりました。もし何かあったときにはまた連絡しますので」
二人で冷蔵庫を出て、厨房へ戻る。
「うん、僕もなるべく早く作業を終わらせるよ」
告げて調理台に歩いていく渡辺に一礼し、由奈は廊下に出る。
――あとは、孝介たちがまたしゃしゃり出たりしないように見張っとかなきゃ。
こうしてる間にも、また好き勝手にうろちょろされていそうで落ち着かない。
たった今閉めたばかりのドアを一瞥して、由奈は管理室へと引き返した。
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