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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 18
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【7】
由奈さんから事情を聞いたという流森さんが部屋に入ってきて、さらにそこから七、八分後。
渡辺さんとも話をしてきたと言って、由奈さんも部屋へ戻ってきた。
なるべく雰囲気が暗くならないようにと気を遣い、流森さんが他愛ない話をしてくれたりもしていたが、やはり全員村長宅が気になるのだろう。
やり取りされる会話は盛り上がることなくすぐに途切れ、中途半端な沈黙を間に何度も挟んでいた。
舞台直前の素人役者のように、桜は緊張をほぐそうとするような吐息を時々繰り返す。
「……村長が亡くなったんなら、これからのまとめ役は誰になるのかな?」
幼なじみに気を取られていた俺の耳に、部長から発せられた疑問の声が届く。
「まとめ役って、何のです?」
よく意味がわからず問い返すと、部長は僅かに眼鏡を押し上げて言葉を補足した。
「事件現場の指揮とか、警察が来るまでの対応を考えたりまとめたりする役目の人さ。やっぱり、枝橋さんとか自警団のトップが担当するのかなって、ちょっとだけ気になったから」
「あー……たぶん、枝橋さんじゃないっすかね。やっぱり元は警察だし、こういう展開には一番慣れた人でしょうし」
過去にどのような事件に携わり、何年間警察の職を続けていたのかは定かでないが、経験やノウハウは藤咲村において確実にナンバーワンだろう。
今朝のように村内を巡回して歩いたりもしていることを考慮すると、事件に対して積極的に関心をもって行動しているようにも思う。
ひょっとしたら、俺たちなんかよりも遥かに犯人に繋がる情報を集めている可能性だって捨てがたいのだ。
「だよね。枝橋さん以外の自警団メンバーって、僕が見た限りでは単に腕っぷしの良いおじさんか、年齢の割には元気なおじいちゃんしかいない様子だったし」
「自警団って言っても、今まで野生の動物が農作物荒らさないように巡回したり、村で困ってる人の手助けするくらいのことしかしてないからねぇ。殺人事件の対処なんか、まともにできる人いるわけないよ」
俺たち二人の会話に混ざって、流森さんが喋る。
「じゃあ、やっぱり枝橋さんが頼りの綱ってことになりますね」
「そうだね、それ以外に頼れそうなのいないもん」
確認する部長へぎこちない笑みを浮かべ、流森さんは首肯した。
それから、これ以上ないほどに憂鬱なため息を吐いて、困ったように天井を見上げる。
「それはそうと、あたしたちはこれからどうなっちゃうのかなぁ~。ここ無くなったら、働く場所探すの大変だよ」
「藤咲村には、どこか雇ってくれそうな場所ないんですか?」
嫌気がさす事件の話を継続するよりはと、俺はあえて流森さんのぼやきに便乗する。
「あるように見える? この村の農家じゃ人手は欲しがってないし、自警団だってボランティアみたいなもんよ? ちゃんとした仕事しようと思ったら、町まで行くしかなさげなんだよねぇ。冬とか、雪降ったら到底出勤なんて無理だし、潔く引っ越すしかないのかな。ああ……気が滅入る」
自分の膝に立てた左腕で頭を支えるように抱え、流森さんは意気消沈したような声を漏らす。
「失礼な質問かもですけど、彼氏なんかはいないんですか? 結婚しちゃえば、問題解決しそうな気が――」
言いかけて。
由奈さんから事情を聞いたという流森さんが部屋に入ってきて、さらにそこから七、八分後。
渡辺さんとも話をしてきたと言って、由奈さんも部屋へ戻ってきた。
なるべく雰囲気が暗くならないようにと気を遣い、流森さんが他愛ない話をしてくれたりもしていたが、やはり全員村長宅が気になるのだろう。
やり取りされる会話は盛り上がることなくすぐに途切れ、中途半端な沈黙を間に何度も挟んでいた。
舞台直前の素人役者のように、桜は緊張をほぐそうとするような吐息を時々繰り返す。
「……村長が亡くなったんなら、これからのまとめ役は誰になるのかな?」
幼なじみに気を取られていた俺の耳に、部長から発せられた疑問の声が届く。
「まとめ役って、何のです?」
よく意味がわからず問い返すと、部長は僅かに眼鏡を押し上げて言葉を補足した。
「事件現場の指揮とか、警察が来るまでの対応を考えたりまとめたりする役目の人さ。やっぱり、枝橋さんとか自警団のトップが担当するのかなって、ちょっとだけ気になったから」
「あー……たぶん、枝橋さんじゃないっすかね。やっぱり元は警察だし、こういう展開には一番慣れた人でしょうし」
過去にどのような事件に携わり、何年間警察の職を続けていたのかは定かでないが、経験やノウハウは藤咲村において確実にナンバーワンだろう。
今朝のように村内を巡回して歩いたりもしていることを考慮すると、事件に対して積極的に関心をもって行動しているようにも思う。
ひょっとしたら、俺たちなんかよりも遥かに犯人に繋がる情報を集めている可能性だって捨てがたいのだ。
「だよね。枝橋さん以外の自警団メンバーって、僕が見た限りでは単に腕っぷしの良いおじさんか、年齢の割には元気なおじいちゃんしかいない様子だったし」
「自警団って言っても、今まで野生の動物が農作物荒らさないように巡回したり、村で困ってる人の手助けするくらいのことしかしてないからねぇ。殺人事件の対処なんか、まともにできる人いるわけないよ」
俺たち二人の会話に混ざって、流森さんが喋る。
「じゃあ、やっぱり枝橋さんが頼りの綱ってことになりますね」
「そうだね、それ以外に頼れそうなのいないもん」
確認する部長へぎこちない笑みを浮かべ、流森さんは首肯した。
それから、これ以上ないほどに憂鬱なため息を吐いて、困ったように天井を見上げる。
「それはそうと、あたしたちはこれからどうなっちゃうのかなぁ~。ここ無くなったら、働く場所探すの大変だよ」
「藤咲村には、どこか雇ってくれそうな場所ないんですか?」
嫌気がさす事件の話を継続するよりはと、俺はあえて流森さんのぼやきに便乗する。
「あるように見える? この村の農家じゃ人手は欲しがってないし、自警団だってボランティアみたいなもんよ? ちゃんとした仕事しようと思ったら、町まで行くしかなさげなんだよねぇ。冬とか、雪降ったら到底出勤なんて無理だし、潔く引っ越すしかないのかな。ああ……気が滅入る」
自分の膝に立てた左腕で頭を支えるように抱え、流森さんは意気消沈したような声を漏らす。
「失礼な質問かもですけど、彼氏なんかはいないんですか? 結婚しちゃえば、問題解決しそうな気が――」
言いかけて。
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