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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 19
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思いの外強い視線で睨まれてしまい、俺は慌てて口をつぐんだ。
傍目から見て、流森さんくらい美人な人なら当然恋人はいるんだろうと思い込んでいたが、どうやら地雷だったようだ。
「せめて警察がいつ来てくれるかはっきりすれば、少しは気持ち楽になるんですけどね」
場を取りなそうとするように由奈さんが言う。
「それなら、たぶん明日の夜には警察が動くと思う。予定では明日中に僕たち帰ることになってたんだし、それが全員戻らなくて連絡もつかないってなれば、誰かの親が絶対に通報してくれるさ」
にこりと微笑み、部長が従姉に告げるのを聞いて、俺は今日がこの村に来て三日目であることをはっきりと自覚した。
本来なら、明日には住み慣れた我が家に帰れる予定だったのだ。
仮に、明日の夜に警察が動き出したとしても、当日中に村を脱出できるはずはない。
ヘリでの救助が可能なら明後日には無事出られるだろうが、それが無理となった場合は最悪橋の復旧までは原状維持で足止めだ。
その期間がどれくらいになるのかは知識に乏しい自分にはわからないが、一日での復旧はあり得るだろうか。
「あ! そうじゃん!」
全員が深刻な面持ちで今後を心配する中で、突然桜がすっとんきょうな声をあげた。
蓮田以外のメンバーが、咄嗟的に桜へ意識を向ける。
「どうしたんだ、いきなり?」
警戒しつつ訊いてみると、桜はピコピコと人差し指を動かしこちらを示し、今までの沈んだ表情が幻だったかのように喜色満面な顔をしてみせてきた。
「そうだよ! 忘れてた!」
「何々? いったい何の話なの、夜月さん」
意表を突かれたような目をして、流森さんが問いかける。
「ほら、あの、何でしたっけ? あの人ですよ、あの人。確か今日で三日目! みんなの話聞いてて、思い出したんです」
「え? あの人が三日目? どういう意味?」
困惑した様子で、流森さんは説明を求めて俺を見る。しかし、俺にだって意味がわからない。
突然吹っ切れたかのように喋りだした幼なじみに顔を近づけ俺は、
「桜、もうちょいわかりやすく話せよ」
と、呆れた苦笑を含ませ声をかける。
「ほらぁ、あの人、名前何だっけ? いたじゃん、男の人」
「はぁ? 男の人って……誰だよ? いくらでもいるだろ」
「そりゃいるけど、そうじゃなくて……えっと、あの時の」
桜の伝えようとする内容が漠然とし過ぎて、その場にいる蓮田以外の全員が眉根を寄せる。
桜は焦れったそうに頭に指を当て、どうにか言葉を探そうとする仕草をみせる。
「あ、ほら、あたしたちが初めて由奈さんと巨大藤に行ったときにいた人。村長と仲悪そうだった」
「ああ、吉田さんのこと?」
合点がいったという風に、由奈さんが首を縦に振る。
「そうですそうです、その吉田さん。確かお孫さんに会うからって、村を出ていったはずですよね? 巨大藤から立ち去る間際に、三日くらいで帰るからって言ってたのあたし覚えてます。それって、ひょっとして今日じゃないですか?」
「あ……言われてみればそうね」
言われて思い出したのは、由奈さんだけではなく俺も一緒だった。
気難しそうな印象があった吉田という名の老人。あのとき、確かに生まれた孫の顔を見に行くと言っていた。
そして、三日くらい留守にするようなことも。
「え? 吉田さんって、今日戻る予定だったの?」
傍目から見て、流森さんくらい美人な人なら当然恋人はいるんだろうと思い込んでいたが、どうやら地雷だったようだ。
「せめて警察がいつ来てくれるかはっきりすれば、少しは気持ち楽になるんですけどね」
場を取りなそうとするように由奈さんが言う。
「それなら、たぶん明日の夜には警察が動くと思う。予定では明日中に僕たち帰ることになってたんだし、それが全員戻らなくて連絡もつかないってなれば、誰かの親が絶対に通報してくれるさ」
にこりと微笑み、部長が従姉に告げるのを聞いて、俺は今日がこの村に来て三日目であることをはっきりと自覚した。
本来なら、明日には住み慣れた我が家に帰れる予定だったのだ。
仮に、明日の夜に警察が動き出したとしても、当日中に村を脱出できるはずはない。
ヘリでの救助が可能なら明後日には無事出られるだろうが、それが無理となった場合は最悪橋の復旧までは原状維持で足止めだ。
その期間がどれくらいになるのかは知識に乏しい自分にはわからないが、一日での復旧はあり得るだろうか。
「あ! そうじゃん!」
全員が深刻な面持ちで今後を心配する中で、突然桜がすっとんきょうな声をあげた。
蓮田以外のメンバーが、咄嗟的に桜へ意識を向ける。
「どうしたんだ、いきなり?」
警戒しつつ訊いてみると、桜はピコピコと人差し指を動かしこちらを示し、今までの沈んだ表情が幻だったかのように喜色満面な顔をしてみせてきた。
「そうだよ! 忘れてた!」
「何々? いったい何の話なの、夜月さん」
意表を突かれたような目をして、流森さんが問いかける。
「ほら、あの、何でしたっけ? あの人ですよ、あの人。確か今日で三日目! みんなの話聞いてて、思い出したんです」
「え? あの人が三日目? どういう意味?」
困惑した様子で、流森さんは説明を求めて俺を見る。しかし、俺にだって意味がわからない。
突然吹っ切れたかのように喋りだした幼なじみに顔を近づけ俺は、
「桜、もうちょいわかりやすく話せよ」
と、呆れた苦笑を含ませ声をかける。
「ほらぁ、あの人、名前何だっけ? いたじゃん、男の人」
「はぁ? 男の人って……誰だよ? いくらでもいるだろ」
「そりゃいるけど、そうじゃなくて……えっと、あの時の」
桜の伝えようとする内容が漠然とし過ぎて、その場にいる蓮田以外の全員が眉根を寄せる。
桜は焦れったそうに頭に指を当て、どうにか言葉を探そうとする仕草をみせる。
「あ、ほら、あたしたちが初めて由奈さんと巨大藤に行ったときにいた人。村長と仲悪そうだった」
「ああ、吉田さんのこと?」
合点がいったという風に、由奈さんが首を縦に振る。
「そうですそうです、その吉田さん。確かお孫さんに会うからって、村を出ていったはずですよね? 巨大藤から立ち去る間際に、三日くらいで帰るからって言ってたのあたし覚えてます。それって、ひょっとして今日じゃないですか?」
「あ……言われてみればそうね」
言われて思い出したのは、由奈さんだけではなく俺も一緒だった。
気難しそうな印象があった吉田という名の老人。あのとき、確かに生まれた孫の顔を見に行くと言っていた。
そして、三日くらい留守にするようなことも。
「え? 吉田さんって、今日戻る予定だったの?」
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