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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 30
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「……昇さん」
ヒラヒラと手を振って蔵を出ようとする薄情男を、渡辺が呼び止める。
「ん? 何ですか?」
「この家の人間がもう四人も殺されているのに、あなたは何故そんな余裕でいられるんです? まして、目の前には世話になった人たちの遺体だってあるのに、そんな態度をとっていられる感覚が僕には理解できない」
まともではない。
以前から性格がひねくれているのは村人全員が理解していることだが、まさかここまで身勝手だとは予測が至らなかった。
「余裕って、だって俺は所詮ただの甥で居候ですよ? 何か、みんなして同じような考えで俺を見てるみたいだけど、俺には別に命狙われるような覚えがないから。仮に、本当に犯人が梅木家の人間皆殺しにするつもりでいるなら、俺じゃなくて婆さんの心配したらどうです? どうせ、次に殺されんのはあの人だろ」
「昇さん!」
あまりにも不謹慎な発言に、枝橋が大声をあげる。
「だってそうでしょう? 考えてみてくださいよ、もし犯人が俺を含めて一家全員殺す気なら、あんな老いぼれた爺さん殺す前に俺を殺しませんか? 警戒される前にさ」
勝気な笑みでそう答え、昇は鼻で笑う。
「まぁ、念のため注意はしておきますがね」
最後にそう言い捨てて、昇は蔵から出ていく。
「……相変わらず、クソ生意気な野郎だなあいつは。繁信も、どうしてあんな奴をこの村に呼んだのやら」
愛想を尽かすようなため息を吐きながら、初老の男は足元に寝かされた村長をやりきれなさそうに見つめる。
無言の村長を渡辺も一瞥し、それから枝橋に顔を向けて今後の予定を視線で問う。
そんなこちらの心境を察し、元警察の青年は一度口元を引き締めてから蔵の中を見回す。
「……ひとまずここは誰かに見張りを頼んで、竜久さんの捜索を始めましょう。彼も殺されているのなら、早く見つけてあげないと」
「だな。聞いただけだが、摘まれた藤の花に埋もれてた死体がいつの間にか消えてたんだっけか? これもわけがわからんな」
肩を竦めながら告げる男は、遺体から視線を逸らすと蔵の出口へ歩きだす。
そのまま出ていくものだと思っていると、突然入り口を塞ぐように立ち止まり、ジッと外の一点を窺うようにして動くのをやめた。
「どうしたんですか?」
後に続こうとした渡辺が、その背中へ問いかける。
「いや、佐野のやつが」
小さく首を捻りこちらを向き、男は前方にある村長宅の門を示す。
「佐野さん?」
佐野というのは、自警団メンバーの一人だ。
確か、今は竜久の捜索で山に入っていると、ついさっきたまたま話を聞かされたばかりである。
いったい何事かと渡辺も外を覗こうと顔を近づけたとき、遠くから近づく足音を聞いた。
それから数秒遅れて、たった今名前が出たばかりの佐野が目前に姿を現した。
「どうした、血相変えて走って来やがって。何かあったのか?」
男が声をかけると、佐野は額に汗を滲ませながら、強張った様子で山の方角に指を向ける。
「巨大藤の近くにある池から竜久の遺体が見つかった。他の連中で陸にあげてもらってる」
「遺体が見つかった?」
驚いたようなリアクションをみせ、枝橋が身を乗り出す。
ヒラヒラと手を振って蔵を出ようとする薄情男を、渡辺が呼び止める。
「ん? 何ですか?」
「この家の人間がもう四人も殺されているのに、あなたは何故そんな余裕でいられるんです? まして、目の前には世話になった人たちの遺体だってあるのに、そんな態度をとっていられる感覚が僕には理解できない」
まともではない。
以前から性格がひねくれているのは村人全員が理解していることだが、まさかここまで身勝手だとは予測が至らなかった。
「余裕って、だって俺は所詮ただの甥で居候ですよ? 何か、みんなして同じような考えで俺を見てるみたいだけど、俺には別に命狙われるような覚えがないから。仮に、本当に犯人が梅木家の人間皆殺しにするつもりでいるなら、俺じゃなくて婆さんの心配したらどうです? どうせ、次に殺されんのはあの人だろ」
「昇さん!」
あまりにも不謹慎な発言に、枝橋が大声をあげる。
「だってそうでしょう? 考えてみてくださいよ、もし犯人が俺を含めて一家全員殺す気なら、あんな老いぼれた爺さん殺す前に俺を殺しませんか? 警戒される前にさ」
勝気な笑みでそう答え、昇は鼻で笑う。
「まぁ、念のため注意はしておきますがね」
最後にそう言い捨てて、昇は蔵から出ていく。
「……相変わらず、クソ生意気な野郎だなあいつは。繁信も、どうしてあんな奴をこの村に呼んだのやら」
愛想を尽かすようなため息を吐きながら、初老の男は足元に寝かされた村長をやりきれなさそうに見つめる。
無言の村長を渡辺も一瞥し、それから枝橋に顔を向けて今後の予定を視線で問う。
そんなこちらの心境を察し、元警察の青年は一度口元を引き締めてから蔵の中を見回す。
「……ひとまずここは誰かに見張りを頼んで、竜久さんの捜索を始めましょう。彼も殺されているのなら、早く見つけてあげないと」
「だな。聞いただけだが、摘まれた藤の花に埋もれてた死体がいつの間にか消えてたんだっけか? これもわけがわからんな」
肩を竦めながら告げる男は、遺体から視線を逸らすと蔵の出口へ歩きだす。
そのまま出ていくものだと思っていると、突然入り口を塞ぐように立ち止まり、ジッと外の一点を窺うようにして動くのをやめた。
「どうしたんですか?」
後に続こうとした渡辺が、その背中へ問いかける。
「いや、佐野のやつが」
小さく首を捻りこちらを向き、男は前方にある村長宅の門を示す。
「佐野さん?」
佐野というのは、自警団メンバーの一人だ。
確か、今は竜久の捜索で山に入っていると、ついさっきたまたま話を聞かされたばかりである。
いったい何事かと渡辺も外を覗こうと顔を近づけたとき、遠くから近づく足音を聞いた。
それから数秒遅れて、たった今名前が出たばかりの佐野が目前に姿を現した。
「どうした、血相変えて走って来やがって。何かあったのか?」
男が声をかけると、佐野は額に汗を滲ませながら、強張った様子で山の方角に指を向ける。
「巨大藤の近くにある池から竜久の遺体が見つかった。他の連中で陸にあげてもらってる」
「遺体が見つかった?」
驚いたようなリアクションをみせ、枝橋が身を乗り出す。
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