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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 33
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【12】
巨大藤の広場は、無人で静寂に満ちていた。
車を降りた俺たちがまず最初にしたことは、竜久さんが殺されていた現場の再確認。
摘み取られた藤の花が山になった場所に屈み込むのは、蓮田と部長。
その後ろで顔をしかめながら成り行きを見守る桜と、その横に俺と流森さんが立つ。
会話はなく、ただ黙々と何かを調べている二人が動く、微かな音だけが耳に入ってくる。
主に現場を荒らしているのは蓮田で、部長はそんな後輩の行動を観察している様子だった。
――今さら、こんなとこ調べる価値なんてあんのかな……。
竜久さんの死体を見つけたとき、そして死体が消えたとき。既に二回、ここを見ている。
これ以上調べたところで、何か特別な発見などあり得ないと思うのだが。
蓮田は山に積まれた藤の花を慎重に掻き分け、死体が倒れていた辺りの地面を念入りに眺めていた。
「なぁ、蓮田。昨日もそんな風にしてその辺調べてたけど、何か意味があるのか?」
いい加減黙っているのにも耐えられなくなり、俺は思いきって口を開いた。
「……何か、見落としがあるかもしれません」
手を止めることも振り向くこともなく蓮田が答えると、それに補足を加えるように部長が言葉を継いだ。
「ここは犯人が何らかのトリックを使って、竜久さんを消した場所だ。じっくり調べる価値はあると思うよ」
「じっくり調べられちゃうと、あたしが後から自警団の人たちに怒られそうなんだけどなぁ。適当に切り上げて戻りましょう! みたいな気持ち、見せてほしいよ」
軽く腕を組み、苦笑混じりに告げたのは流森さんだ。ここにいることがばれるのを恐れてか、ちらちらと周囲を気にしている。
「正直、あたしもここにはいたくないかも。気分悪くなってくる……」
胸元で自分の手を握り締めるようにしながら、桜が呻く。
「車に戻って休んでるか?」
「ううん、まだ平気。一人でいる方がやだ」
俺のかける言葉に首を振り、桜はそっと腕に寄り掛かってきた。
そんな幼なじみを支えつつ、また蓮田に意識を戻す。
入念に藤の花を掻いていた彼女の両手が、いつの間にか止まっていた。
どうしたのかと訝しんで見ていると、藤の花に突っ込まれていた右腕が引き出される。
そして、その手に握られているモノを自分の目前へとかざし見た。必然的に、この場にいる全員も同じモノに目がいってしまう。
「乃亜ちゃん、それ、何?」
僅かに身体を乗り出し、桜が訊ねた。
「……」
ちらりと桜を振り返り、手にするモノを差し出す蓮田。
「なんだそりゃ?」
そこにあったのは、一枚の枯葉だった。
山の中になら年中落ちているような、茶色くなったごく普通の枯葉。
「昨日は気づけませんでした。この広場を見る限りでは、落ち葉は見当たりません。なのに、何故この落ち葉だけがこの中に紛れていたのでしょうか?」
小首を傾げ自問するような仕草で、蓮田が疑問を口にする。
「何故って、そんなのたまたまじゃないのか? 周りは木がいっぱいあるし、風で飛んできたやつが偶然そこに落ちてたとかさ。落花が積もる前からそこに落ちてたとしたら目立つこともないし、その辺の花びらだって除けば下から落ち葉くらい出てくるだろ」
巨大藤の広場は、無人で静寂に満ちていた。
車を降りた俺たちがまず最初にしたことは、竜久さんが殺されていた現場の再確認。
摘み取られた藤の花が山になった場所に屈み込むのは、蓮田と部長。
その後ろで顔をしかめながら成り行きを見守る桜と、その横に俺と流森さんが立つ。
会話はなく、ただ黙々と何かを調べている二人が動く、微かな音だけが耳に入ってくる。
主に現場を荒らしているのは蓮田で、部長はそんな後輩の行動を観察している様子だった。
――今さら、こんなとこ調べる価値なんてあんのかな……。
竜久さんの死体を見つけたとき、そして死体が消えたとき。既に二回、ここを見ている。
これ以上調べたところで、何か特別な発見などあり得ないと思うのだが。
蓮田は山に積まれた藤の花を慎重に掻き分け、死体が倒れていた辺りの地面を念入りに眺めていた。
「なぁ、蓮田。昨日もそんな風にしてその辺調べてたけど、何か意味があるのか?」
いい加減黙っているのにも耐えられなくなり、俺は思いきって口を開いた。
「……何か、見落としがあるかもしれません」
手を止めることも振り向くこともなく蓮田が答えると、それに補足を加えるように部長が言葉を継いだ。
「ここは犯人が何らかのトリックを使って、竜久さんを消した場所だ。じっくり調べる価値はあると思うよ」
「じっくり調べられちゃうと、あたしが後から自警団の人たちに怒られそうなんだけどなぁ。適当に切り上げて戻りましょう! みたいな気持ち、見せてほしいよ」
軽く腕を組み、苦笑混じりに告げたのは流森さんだ。ここにいることがばれるのを恐れてか、ちらちらと周囲を気にしている。
「正直、あたしもここにはいたくないかも。気分悪くなってくる……」
胸元で自分の手を握り締めるようにしながら、桜が呻く。
「車に戻って休んでるか?」
「ううん、まだ平気。一人でいる方がやだ」
俺のかける言葉に首を振り、桜はそっと腕に寄り掛かってきた。
そんな幼なじみを支えつつ、また蓮田に意識を戻す。
入念に藤の花を掻いていた彼女の両手が、いつの間にか止まっていた。
どうしたのかと訝しんで見ていると、藤の花に突っ込まれていた右腕が引き出される。
そして、その手に握られているモノを自分の目前へとかざし見た。必然的に、この場にいる全員も同じモノに目がいってしまう。
「乃亜ちゃん、それ、何?」
僅かに身体を乗り出し、桜が訊ねた。
「……」
ちらりと桜を振り返り、手にするモノを差し出す蓮田。
「なんだそりゃ?」
そこにあったのは、一枚の枯葉だった。
山の中になら年中落ちているような、茶色くなったごく普通の枯葉。
「昨日は気づけませんでした。この広場を見る限りでは、落ち葉は見当たりません。なのに、何故この落ち葉だけがこの中に紛れていたのでしょうか?」
小首を傾げ自問するような仕草で、蓮田が疑問を口にする。
「何故って、そんなのたまたまじゃないのか? 周りは木がいっぱいあるし、風で飛んできたやつが偶然そこに落ちてたとかさ。落花が積もる前からそこに落ちてたとしたら目立つこともないし、その辺の花びらだって除けば下から落ち葉くらい出てくるだろ」
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