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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 35
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「蓮田、頼むからもう少し自重してくれ。あんまり目立つことばかりしてると、流森さんや由奈さんにもとばっちりがいくし、俺や桜も叱られる。たぶん、もうすぐこっちに枝橋さんも来るだろうし、小言を言われる前に大人しくしててほしいんだ」
これは部長にも言えることだけどさ。
最後に胸中でそう付け加え、俺は相手の反応を待つ。
まるで眠気を我慢するような鈍い瞬きを数回繰り返した後、蓮田はスッと身体の力を抜いた。
「……わかりました。現場へは行きません」
「サンキュー。助かるよ」
ホッと、強張っていた肩が軽くなる。
流森さんも、胸を撫で下ろすように息をついた様子だった。
そんな中において、唯一不満そうなぼやきを口にしたのは、言うまでもなく部長だった。
「竜久さんの死体を確かめないっていうのは、得策ではない気がするんだけどなぁ。今のところ、竜久さんだけなんだよ? こんなおかしな殺され方をされてるのは。絶対に何かしらの収穫があると、僕は思うよ」
「別にあたしたちが収穫しなくても、後から警察がちゃんとやってくれるじゃないですか」
「いやぁ、まぁそれはそうかもしれないけどね」
正論を吐く桜にあっさりと黙り込まされ、部長は次の一手を考えるべく顎に手をやる。
ここまできたら諦めるつもりもないのかもしれないが、こちらとしても阻止しないと面倒事を回避できないのだ。
「部長、さすがにこれ以上は村の人たちに失礼ですよ。大人しく戻って、後で誰かに話しを聞かせてもらえば良いじゃないですか」
どうにかたたみ掛けようと、思いつく言葉を口にする。
「うん……それはそれで良いかもしれないけど――ん?」
歯切れの悪い口調でさらに何事かを反論しようとした部長の口が、ピタリと動きを止めた。
そのまま池がある方向を直視して固まってしまったリーダーに不審な眼差しを向け、それから俺も同じ方角へ首を逸らす。
「……?」
誰なのかはわからないが、村人であるのは間違いないだろう。茂みの中から、男が一人姿を現した。
こちらに気づいたらしいその男は、一瞬警戒するように動きを止めてそれから慎重な足取りで近づいてくる。
「……お前らは、確か藤美荘に泊まってる客だったか」
「どうも、こんにちわ」
側まで来た男ににこやかな表情を返し、部長が頭を下げる。
「こんな場所で何をしてる?」
四十代前半くらいと思しき男は、俺たちを一通りねめつけてから最後に部長の後頭部へ視線を定める。
「いえ、ちょっと巨大藤を観察に。宿に閉じこもってるのも退屈でして」
「退屈でも仕方がないだろ。こっちは人が殺されちまってバタバタしてるんだ。こんなタイミングで旅行に来たきみらには可哀そうだが、大人しくしていてもらわないとな」
努めて優しい口調で男は告げ、流森さんに眼球を向ける。
「流森さんも、この子らを連れてすぐ戻りな。枝橋が来たら、死体をこっちに運び出すことになるだろうから」
「あ、はい。それはもちろんです。ちょうどもう帰ろうかなって思ってたところでして」
ばつの悪そうな笑みで都合の良い返答をする流森さんだったが、その横顔にはどこか助かった、という感情が滲み出ているように見えた。
たぶん、宿に戻る最良の口実を得たと安心しているのかもしれない。
「どこに犯人がいるかわかんないから、気をつけて戻りな。……ん? どうしたんだ?」
これは部長にも言えることだけどさ。
最後に胸中でそう付け加え、俺は相手の反応を待つ。
まるで眠気を我慢するような鈍い瞬きを数回繰り返した後、蓮田はスッと身体の力を抜いた。
「……わかりました。現場へは行きません」
「サンキュー。助かるよ」
ホッと、強張っていた肩が軽くなる。
流森さんも、胸を撫で下ろすように息をついた様子だった。
そんな中において、唯一不満そうなぼやきを口にしたのは、言うまでもなく部長だった。
「竜久さんの死体を確かめないっていうのは、得策ではない気がするんだけどなぁ。今のところ、竜久さんだけなんだよ? こんなおかしな殺され方をされてるのは。絶対に何かしらの収穫があると、僕は思うよ」
「別にあたしたちが収穫しなくても、後から警察がちゃんとやってくれるじゃないですか」
「いやぁ、まぁそれはそうかもしれないけどね」
正論を吐く桜にあっさりと黙り込まされ、部長は次の一手を考えるべく顎に手をやる。
ここまできたら諦めるつもりもないのかもしれないが、こちらとしても阻止しないと面倒事を回避できないのだ。
「部長、さすがにこれ以上は村の人たちに失礼ですよ。大人しく戻って、後で誰かに話しを聞かせてもらえば良いじゃないですか」
どうにかたたみ掛けようと、思いつく言葉を口にする。
「うん……それはそれで良いかもしれないけど――ん?」
歯切れの悪い口調でさらに何事かを反論しようとした部長の口が、ピタリと動きを止めた。
そのまま池がある方向を直視して固まってしまったリーダーに不審な眼差しを向け、それから俺も同じ方角へ首を逸らす。
「……?」
誰なのかはわからないが、村人であるのは間違いないだろう。茂みの中から、男が一人姿を現した。
こちらに気づいたらしいその男は、一瞬警戒するように動きを止めてそれから慎重な足取りで近づいてくる。
「……お前らは、確か藤美荘に泊まってる客だったか」
「どうも、こんにちわ」
側まで来た男ににこやかな表情を返し、部長が頭を下げる。
「こんな場所で何をしてる?」
四十代前半くらいと思しき男は、俺たちを一通りねめつけてから最後に部長の後頭部へ視線を定める。
「いえ、ちょっと巨大藤を観察に。宿に閉じこもってるのも退屈でして」
「退屈でも仕方がないだろ。こっちは人が殺されちまってバタバタしてるんだ。こんなタイミングで旅行に来たきみらには可哀そうだが、大人しくしていてもらわないとな」
努めて優しい口調で男は告げ、流森さんに眼球を向ける。
「流森さんも、この子らを連れてすぐ戻りな。枝橋が来たら、死体をこっちに運び出すことになるだろうから」
「あ、はい。それはもちろんです。ちょうどもう帰ろうかなって思ってたところでして」
ばつの悪そうな笑みで都合の良い返答をする流森さんだったが、その横顔にはどこか助かった、という感情が滲み出ているように見えた。
たぶん、宿に戻る最良の口実を得たと安心しているのかもしれない。
「どこに犯人がいるかわかんないから、気をつけて戻りな。……ん? どうしたんだ?」
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