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第四章:矛盾の解明
第四章:矛盾の解明 36
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スムーズに言うことを聞き入れてもらえたことに納得しかけていた男の袖を、蓮田が引いた。
冷めた顔で男を見上げ、ポツリと問いをこぼす。
「……竜久さんの遺体は、どんな状態でしたか?」
「はぁ?」
「遺体の状態を教えてほしいのです。それを聞いたら、大人しく戻ります」
「遺体の状態って、そんなの聞いてどうするつもりだ?」
怪訝な面持ちで見下ろす男に、蓮田は怖気づく様子もなく言葉を返す。
「私たちがここで見たときの竜久さんの遺体と、異なる点がないか確認しておこうかと。もし相違点があれば、枝橋さんに伝えることもできます」
「……ああ、そういやぁ、最初に竜久を発見したのはきみらだっけか。別に、気になるようなおかしなことはない感じだったけどな。強いて言うならあれか、腹の部分にロープを巻いたような跡が残っていたな」
「ロープ?」
藤棚を眺めながら遺体の状況を話す男に、部長が少しだけ近づく。
「ああ。こう、腹のとこにグルッと紐を巻きつけたみたいな跡だったな。あとはせいぜい、背中にナイフが刺さってたくらいか」
「……背中、とは?」
「ん? ちょうど心臓の真後ろ辺りかな。結構深く刺さってたみたいだったな」
自分の胸を軽く叩き、男は蓮田に答える。
「……腹部にロープの跡と、背中にナイフ」
何が気になるのか、蓮田は手にしていた黄色のポーチを両手で握り締め、睨むように地面を凝視する。
「まぁ、細かいところまでチェックしたわけじゃあないから、正確なことはわからんけどな。……あ、でももう一つ、おかしなことがあったな」
「え? 何です?」
即座に、部長が食い付く。
「池に小さいボートがあるんだけどよ、そのボートの内側にたぶん血だと思うんだけどな、どす黒い染みができてた」
「染み、ですか?」
「ああ。見た目からして、新しい感じだったな」
「ボートに血とおぼしき染みかぁ……。ちなみに、遺体は発見されたときは、どんな状態だったんですか?」
うんうんと物知り顔で頷きながら、部長がさらに情報を引き出しにかかる。
「どうって、たまたま池を見にきたら、水の上に浮かんでたからよ。すぐ近くにいた仲間に知らせたよ。それからボートで死体を回収しようとして、今言った染みにも気づいたんだ」
こんな話が役に立つのか。そんな疑問を露わにした様子で、男は語る。
「……あの、間違いや勘違いはありませんか?」
「うん?」
気がつくと、蓮田がまた目を大きくして男を見ていた。
「今話された内容に、間違いなどはないでしょうか?」
「ああ、間違いない。ただ、あくまでも大雑把に確認しただけだから、もっとちゃんと調べれば、他にもわかることもあるかも知れねぇけどな」
「それは、後々枝橋さんが調べてくれる、ということですよね?」
「そうだな。後は警察がここまで来れるようになれば、もっと詳しいことがわかるだろ」
質問を繰り返す蓮田を面倒くさそうに一瞥してから、男はまた流森さんを見た。
「さぁ、もう戻ってくれ。もたもたしてると、本当に邪魔になるぞ」
「はい、すみません。みんな、もう良いよね? 戻ろう?」
俺たちを――特に蓮田と部長を――順に見てそう言って、流森さんは車のある方へ腕を振る。
「うん、できるならもう少し情報を得たいところなのが正直な気持ちだけど、蓮田くんはまだ調べたいこととかある?」
冷めた顔で男を見上げ、ポツリと問いをこぼす。
「……竜久さんの遺体は、どんな状態でしたか?」
「はぁ?」
「遺体の状態を教えてほしいのです。それを聞いたら、大人しく戻ります」
「遺体の状態って、そんなの聞いてどうするつもりだ?」
怪訝な面持ちで見下ろす男に、蓮田は怖気づく様子もなく言葉を返す。
「私たちがここで見たときの竜久さんの遺体と、異なる点がないか確認しておこうかと。もし相違点があれば、枝橋さんに伝えることもできます」
「……ああ、そういやぁ、最初に竜久を発見したのはきみらだっけか。別に、気になるようなおかしなことはない感じだったけどな。強いて言うならあれか、腹の部分にロープを巻いたような跡が残っていたな」
「ロープ?」
藤棚を眺めながら遺体の状況を話す男に、部長が少しだけ近づく。
「ああ。こう、腹のとこにグルッと紐を巻きつけたみたいな跡だったな。あとはせいぜい、背中にナイフが刺さってたくらいか」
「……背中、とは?」
「ん? ちょうど心臓の真後ろ辺りかな。結構深く刺さってたみたいだったな」
自分の胸を軽く叩き、男は蓮田に答える。
「……腹部にロープの跡と、背中にナイフ」
何が気になるのか、蓮田は手にしていた黄色のポーチを両手で握り締め、睨むように地面を凝視する。
「まぁ、細かいところまでチェックしたわけじゃあないから、正確なことはわからんけどな。……あ、でももう一つ、おかしなことがあったな」
「え? 何です?」
即座に、部長が食い付く。
「池に小さいボートがあるんだけどよ、そのボートの内側にたぶん血だと思うんだけどな、どす黒い染みができてた」
「染み、ですか?」
「ああ。見た目からして、新しい感じだったな」
「ボートに血とおぼしき染みかぁ……。ちなみに、遺体は発見されたときは、どんな状態だったんですか?」
うんうんと物知り顔で頷きながら、部長がさらに情報を引き出しにかかる。
「どうって、たまたま池を見にきたら、水の上に浮かんでたからよ。すぐ近くにいた仲間に知らせたよ。それからボートで死体を回収しようとして、今言った染みにも気づいたんだ」
こんな話が役に立つのか。そんな疑問を露わにした様子で、男は語る。
「……あの、間違いや勘違いはありませんか?」
「うん?」
気がつくと、蓮田がまた目を大きくして男を見ていた。
「今話された内容に、間違いなどはないでしょうか?」
「ああ、間違いない。ただ、あくまでも大雑把に確認しただけだから、もっとちゃんと調べれば、他にもわかることもあるかも知れねぇけどな」
「それは、後々枝橋さんが調べてくれる、ということですよね?」
「そうだな。後は警察がここまで来れるようになれば、もっと詳しいことがわかるだろ」
質問を繰り返す蓮田を面倒くさそうに一瞥してから、男はまた流森さんを見た。
「さぁ、もう戻ってくれ。もたもたしてると、本当に邪魔になるぞ」
「はい、すみません。みんな、もう良いよね? 戻ろう?」
俺たちを――特に蓮田と部長を――順に見てそう言って、流森さんは車のある方へ腕を振る。
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