坂宮高校ミスオカ研の事件録~藤咲村の惨劇~

雪鳴月彦

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第五章:幕引きと抵抗

第五章:幕引きと抵抗 11

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「事件最初の夜、碧さんの殺害と死体の移動、それと吊り橋を燃やし村中の電話やインターネットを使えなくする行動を一人で行うには、さすがに無理があります。あの夜、村を閉鎖したのはあなたと竜久さん、お二人による犯行ではないでしょうか」

「……」

「おそらくこの事件は、あなたと竜久さんの二人で実行する、という名目で立てられた計画だったのでは? その上で、あなたは途中で竜久さんを裏切り殺すつもりだった」

「…… 最低だな。初めから殺すつもりで、共犯者を利用していたわけか」

 蓮田の口が閉じるのを待って、枝橋さんは軽蔑するように昇さんを睨み言葉をぶつける。

「……最低、か。それ、こっちの台詞じゃないっすかね?」

「何?」

 元警察の睨みをへつらうような笑みで見つめ返し、昇さんは嫌味を込めた口調で反論を述べてきた。

「そうでしょう? そんな旅行に来ただけのガキが言うこと全員揃って真に受けて、馬鹿じゃないのか? まぁ、こいつらの言ってることが、一応理屈として通るのは認めるさ。でも、あくまでただの想像だ。ちゃんとした証拠がどこかにあるか?」

 両手を胸元で広げおどけるようなポーズを見せながら、昇さんは俺たち全員を見回す。

「いくらそれっぽい綺麗ごとを言い並べたところで、明確な証拠がないんじゃお粗末ってもんだ。どうだい、少年探偵団? 俺が犯人だって証明するもんはあるのか?」

 最後の強がりだろう。

 彼の行ってきた凶行は、全て明るみになってしまったも同然。もはや苦しい言い逃れに一縷の望みを託すのが、彼に残された反撃の手段のはず。

「……証拠ならあります」

 そして、その反撃を無効にするカードを、俺たちは既に手中に収めていた。

「あなたは、死体のふりをした竜久さんと、例の池で待ち合わせをしていたはずです。竜久さんの死体が消えたと騒ぎになったとき、普段なら非協力的なあなたが真っ先に死体探しを提案していたことから察するに、合流したのはその直後。そこで竜久さんを殺害した」

「おいおい、もうそういう空想話は聞き飽きたぜ。俺は証拠を出せっつってんだ。ねぇなら潔く口閉ざせよ。ムカついてくるガキだな」

 ペースを乱すことなく話を進めてくる蓮田を、昇さんは敵意を込めたように睨んだ。

「……自分が殺される対象とは思っていなかった竜久さんを殺害するのは、それほど難しいことではなかったのでしょう。油断していた相手の背後からナイフを突き刺し殺害すると、あなたは死体を池にあったというボートに乗せ水上に運んだ」

 犯人の威嚇など眼中にないとばかりに、蓮田は攻めるのをやめない。

「竜久さんの腹部についていたロープを巻いた跡。これは、竜久さんを水中に沈めようとする際につけたものですね? 水に沈めておけば、血液のカラクリがばれませんし、仮に発見されても入水自殺という言い伝えの一つに見立てることで、そこに意識がいき本当の意図もごまかせる。さらに、あわよくば発見そのものを回避できることも狙って、あなたは死体を重しの付いたロープと結び池の中に沈めていた」

「そうか、じゃあ死体が発見されたのは、昇さんからすれば計画外。ロープの結びが甘くて、それで死体が浮かんでしまったってことか」

「そうです」

 納得したと頷く渡辺さんに相槌を返し、蓮田はまた昇さんを見る。

「……チッ。だからよぉ、それを俺がやった証拠出せっつってんだろうがぁ! グダグダグダグダつまんねぇこと言ってんじゃねぇよ、いつまでもよぉ!」

 怒声が室内の空気を震わせる。
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