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第二章:救助を待つ
第二章:救助を待つ 6
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岩瀬さんの申し出を間近で見てそう思い、許可を求めたあたしへ、オーナーは「もちろんです。使いたいときはいつでも使ってください」と、即答するように快諾してくれた。
「ありがとうございます。お借りします」
お礼を言い、管理室へ小走りで向かうと、ちょうど沢岸さんが部屋の入口を入ってすぐ右手にある何かのスイッチを操作している最中だった。
「……よし、これで寒さは解消っと。十分もすればリビングも廊下も全部暖まるから、もう暫くだけ我慢してくださいね」
壁に備え付けられたいくつかのスイッチ。これが暖房の電源か。
寝る前には毎晩オーナーが操作を管理していると言っていたけれど、迷う様子もなくいじっていた沢岸さんを見る限り、他の従業員も扱い方は普通に把握している感じがした。
「お二人も、電話をお使いに?」
管理室は二部屋に別れているようで、入ってすぐのスペースは作業用の空間になっているみたいだった。
入口を潜って左手には、例の受付窓がある。
電話もまた、受付窓のすぐ右側に備え付けられていた。
入口から見ての右側は作業用のデスクが二つ並び、机上には綺麗に整理されたファイルが並んでいる。
そして、正面。入口から更に真っ直ぐ行くと木製のドアがあり、たぶんその奥がオーナー夫婦のプライベートな部屋ーー因みに他の従業員は客室の更に奥にある一番遠い部屋を使っていると昨夜聞いたーーなのだろう。
さすがにそちらまで行き勝手に確認をすることはできず、あたしは岩瀬さんと並び電話の側へと移動した。
「すみません、先に除雪を依頼している業者へ連絡をさせてもらいますね。少しでも早くやってもらわないと、明日以降に先延ばしされちゃうかもしれませんから」
「もちろんです。別に急ぎの用があるわけでもないから、いくらでも待ちますよ」
受話器を手にして振り返る沢岸さんへ、岩瀬さんが応じてあたしも倣うように頷いてみせる。
「すみません」
そう言い添えて前に向き直り、沢岸さんは電話のボタンを押し始めた。
「あ、おはようございます。いつもお世話になっておりますテオブロマです。除雪の件でお電話を――」
どうやら固定電話は無事だったようで、沢岸さんが相手先と話を始めたのを見てあたしはホッと肩の力を抜く。
手段はどうであれ、連絡が取れるのならこれ以上深刻な事態にはならない。
「除雪が遅れたら、希は予定通りに帰宅することはできなくなるの?」
「え?」
何となく沢岸さんの背中を見つめたままぼんやりしていたあたしへ、イデアが見上げるようにして声をかけてきた。
「さぁ、どうだろ。車が出せないんじゃそうなるのかな。こういう状況って経験がないから、あたしにもよくわからないや」
プロの業者へ除雪の依頼しているんだろうし、そう深刻になる必要はないと思うが。
仮に不測の事態が発生したとしても、警察にだって連絡ができるのだ。不安になる要素はほぼない。
「まぁ、仮に滞在期間が延びたとしても、あたしは特に予定がないから困らないけどね。奈子はバイトがあるって言ってたから、ちょっと大変だろうけど」
「ありがとうございます。お借りします」
お礼を言い、管理室へ小走りで向かうと、ちょうど沢岸さんが部屋の入口を入ってすぐ右手にある何かのスイッチを操作している最中だった。
「……よし、これで寒さは解消っと。十分もすればリビングも廊下も全部暖まるから、もう暫くだけ我慢してくださいね」
壁に備え付けられたいくつかのスイッチ。これが暖房の電源か。
寝る前には毎晩オーナーが操作を管理していると言っていたけれど、迷う様子もなくいじっていた沢岸さんを見る限り、他の従業員も扱い方は普通に把握している感じがした。
「お二人も、電話をお使いに?」
管理室は二部屋に別れているようで、入ってすぐのスペースは作業用の空間になっているみたいだった。
入口を潜って左手には、例の受付窓がある。
電話もまた、受付窓のすぐ右側に備え付けられていた。
入口から見ての右側は作業用のデスクが二つ並び、机上には綺麗に整理されたファイルが並んでいる。
そして、正面。入口から更に真っ直ぐ行くと木製のドアがあり、たぶんその奥がオーナー夫婦のプライベートな部屋ーー因みに他の従業員は客室の更に奥にある一番遠い部屋を使っていると昨夜聞いたーーなのだろう。
さすがにそちらまで行き勝手に確認をすることはできず、あたしは岩瀬さんと並び電話の側へと移動した。
「すみません、先に除雪を依頼している業者へ連絡をさせてもらいますね。少しでも早くやってもらわないと、明日以降に先延ばしされちゃうかもしれませんから」
「もちろんです。別に急ぎの用があるわけでもないから、いくらでも待ちますよ」
受話器を手にして振り返る沢岸さんへ、岩瀬さんが応じてあたしも倣うように頷いてみせる。
「すみません」
そう言い添えて前に向き直り、沢岸さんは電話のボタンを押し始めた。
「あ、おはようございます。いつもお世話になっておりますテオブロマです。除雪の件でお電話を――」
どうやら固定電話は無事だったようで、沢岸さんが相手先と話を始めたのを見てあたしはホッと肩の力を抜く。
手段はどうであれ、連絡が取れるのならこれ以上深刻な事態にはならない。
「除雪が遅れたら、希は予定通りに帰宅することはできなくなるの?」
「え?」
何となく沢岸さんの背中を見つめたままぼんやりしていたあたしへ、イデアが見上げるようにして声をかけてきた。
「さぁ、どうだろ。車が出せないんじゃそうなるのかな。こういう状況って経験がないから、あたしにもよくわからないや」
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仮に不測の事態が発生したとしても、警察にだって連絡ができるのだ。不安になる要素はほぼない。
「まぁ、仮に滞在期間が延びたとしても、あたしは特に予定がないから困らないけどね。奈子はバイトがあるって言ってたから、ちょっと大変だろうけど」
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