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第四章:謎を解く
第四章:謎を解く 3
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「望月さん、どうかなさいましたか? 何かお話があると聞きましたが……」
それほどの間を空けることなく、名取さんに呼ばれたオーナーがあたしたちの側へとやってきた。
その後ろには、希伊子さんの姿もある。
「……名取さん。調理場にいる従業員の二人も、こちらへ出るよう声をかけてもらえるかしら?」
それを確認したイデアが、オーナーの問いかけを保留にしながら戻ってきた名取さんへ次のお願いを告げた。
「あ、うん。ちょっと待っててね」
相変わらず腑に落ちない様子を窺わせながらも、名取さんはすぐに調理場へ消えていく。
それを見送ると、イデアは改めてオーナー夫妻を見上げ、ポーカーフェイスのままに呼びだした理由を説明した。
「お仕事の最中にごめんなさい。朝食を始める前に少し大切なお話をしたくて、急遽全員に集まってもらうよう、名取さんへお願いをしたの」
「は、はぁ。大切なお話、ですか?」
リアクションに困ったか、オーナーは一度希伊子さんと視線を交わし、それから説明を求めるような眼差しであたしを見つめてきた。
「いや、あの……ちょっとですね、今このペンションで起きている事件について、皆さんに聞いてほしいことがあるというか……何というか……。たぶん、すぐに済むとは思いたいんですけど」
しかし、説明を求めたいのはあたしも同じで、曖昧な言葉しか返すことができない。
「……まぁ、お話があるのなら、きちんとお聞きしますけど」
「ありがとうございます。すみません」
要領よく話すことのできないあたしを責めるでもなく引き下がってくれたオーナーへ頭を下げると、視界の端で調理場へ続くドアが開くのが見えた。
「どうかしたんですか?」
名取さんに連れられた千谷真さんと沢岸さんが、真っ直ぐあたしたちの方へとやってくる。
「話があるって聞きましたけど……」
きょとんとした顔であたしを見てくる千谷真さんに、声を返したのはイデアだった。
「ええ。突然で申し訳ないけれど、今からこのペンションで起きた殺人事件の真相を、ここで説明させてもらうわ」
「え? 殺人事件……?」
サラリと吐き出された不穏なワードに、千谷真さんだけでなく集まっているメンバー全員が表情を固くしてイデアへ視線を向けてきた。
「昨日の朝に発見された、矢津哲平さん殺害のカラクリ。今朝発見された矢津彩也子さん殺害に関して、犯人がしてしまった小さなミス。そして、その犯人は誰なのか……その正体といくつかの根拠を、全員が集まるこの場で今から明らかにする。でないと、希が今日中にここから出られなくなる可能性が高くなってしまうから」
まるで教壇に立つ代表みたいに、自分を見つめてくる多くの瞳を見返して、イデアは緊張の欠片も感じさせることなく、はっきりとした口調でそう告げた。
「希が今日中に出られなくなるって……どういうこと?」
そんな中、すぐ隣に座る奈子がポツリと疑問を呟いたが、イデアはそれに答えることをしないまま、これから話す言葉をまとめるように暫しの間、中空を眺めながら動きを止めていた。
それほどの間を空けることなく、名取さんに呼ばれたオーナーがあたしたちの側へとやってきた。
その後ろには、希伊子さんの姿もある。
「……名取さん。調理場にいる従業員の二人も、こちらへ出るよう声をかけてもらえるかしら?」
それを確認したイデアが、オーナーの問いかけを保留にしながら戻ってきた名取さんへ次のお願いを告げた。
「あ、うん。ちょっと待っててね」
相変わらず腑に落ちない様子を窺わせながらも、名取さんはすぐに調理場へ消えていく。
それを見送ると、イデアは改めてオーナー夫妻を見上げ、ポーカーフェイスのままに呼びだした理由を説明した。
「お仕事の最中にごめんなさい。朝食を始める前に少し大切なお話をしたくて、急遽全員に集まってもらうよう、名取さんへお願いをしたの」
「は、はぁ。大切なお話、ですか?」
リアクションに困ったか、オーナーは一度希伊子さんと視線を交わし、それから説明を求めるような眼差しであたしを見つめてきた。
「いや、あの……ちょっとですね、今このペンションで起きている事件について、皆さんに聞いてほしいことがあるというか……何というか……。たぶん、すぐに済むとは思いたいんですけど」
しかし、説明を求めたいのはあたしも同じで、曖昧な言葉しか返すことができない。
「……まぁ、お話があるのなら、きちんとお聞きしますけど」
「ありがとうございます。すみません」
要領よく話すことのできないあたしを責めるでもなく引き下がってくれたオーナーへ頭を下げると、視界の端で調理場へ続くドアが開くのが見えた。
「どうかしたんですか?」
名取さんに連れられた千谷真さんと沢岸さんが、真っ直ぐあたしたちの方へとやってくる。
「話があるって聞きましたけど……」
きょとんとした顔であたしを見てくる千谷真さんに、声を返したのはイデアだった。
「ええ。突然で申し訳ないけれど、今からこのペンションで起きた殺人事件の真相を、ここで説明させてもらうわ」
「え? 殺人事件……?」
サラリと吐き出された不穏なワードに、千谷真さんだけでなく集まっているメンバー全員が表情を固くしてイデアへ視線を向けてきた。
「昨日の朝に発見された、矢津哲平さん殺害のカラクリ。今朝発見された矢津彩也子さん殺害に関して、犯人がしてしまった小さなミス。そして、その犯人は誰なのか……その正体といくつかの根拠を、全員が集まるこの場で今から明らかにする。でないと、希が今日中にここから出られなくなる可能性が高くなってしまうから」
まるで教壇に立つ代表みたいに、自分を見つめてくる多くの瞳を見返して、イデアは緊張の欠片も感じさせることなく、はっきりとした口調でそう告げた。
「希が今日中に出られなくなるって……どういうこと?」
そんな中、すぐ隣に座る奈子がポツリと疑問を呟いたが、イデアはそれに答えることをしないまま、これから話す言葉をまとめるように暫しの間、中空を眺めながら動きを止めていた。
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