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束の間の時間
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「そんなんじゃねぇけどよ。どうせ大人になったら、嫌でも働かなきゃいけなくなんだろ? それだったらせめて今くらいは遊びとか、その、自分のやりたいこと優先にしたって良いんじゃねぇかって思ってるんだよ」
「ふぅん。わからなくはないけど」
小刻みに頷く根崎を半眼で見やり、俺は逆に問い返す。
「つーか、お前はどうなんだよ? バイトしないで金余裕あるのか?」
「うん、まぁ。お盆に親戚からお小遣い貰ったりしたしね。それに、十月に格ゲーの大会があるから、それに向けての練習もこれから本格的に始める予定なんだ。だから、バイトしてる暇がないよ」
「格ゲーの? お前、去年も出て準決勝で負けてたよな? また出んのかよ」
この友人のゲーム好きは筋金入りだ。ジャンルに拘らずオールマイティにこなして遊んでいる。地方や近所の小さな大会にも頻繁に出場し、その度に中途半端なところで敗退していた。
「今年は最低でも準優勝するよ。自信があるんだ」
グッと小さな拳を固め、根崎は宣言する。
「そんときゃ応援くらいには行ってやるよ」
安請け合いするように告げ、俺はジュースを口に運ぶ。
「相変わらず、雄くんと響介くんってゲームの話ばっかりだね」
根崎の隣で桜と喋っていた有紀が、会話が途切れるのを待っていたかのように話しかけてきた。
「え? そんなことないと思うけど……。違う話だって普通にするよ」
心外だと言わんばかりに、根崎は口元を歪ませる。
「そう? いつも一緒にゲームしてるイメージしかないから、なんかピンとこないけど……」
「雄治の部屋、ゲーム沢山あるもんね。下手くそなのに」
まだ唯一食事を続けている桜も、ピザを頬張りながら会話に混ざる。
因みに、ここの支払いはボーリング対決で負けた俺たち男性陣の役割になっている。
それ故なのか、ピザにサラダ、フライドポテトと海鮮リゾット。挙句にデザートにアイスと、桜は遠慮のかけらもない注文をしてくれていた。
そのせいもあって、俺は思いきり隣の大食らい悪魔を睨みつける。
「下手くそは余計だろうが」
「だってあたしより下手じゃん」
無慈悲に告げて、悪魔少女はジンジャーエールをあおる。
悔しいことだが正論であるため、俺はグッと言葉を詰まらせそうになる。だがそれでも、ただ負かされるのも癪に障ると考え、何とか言葉を捻り出した。
「音ゲーなら勝てた。リズム感は俺が上だろ」
「反射神経で上回るから、あたしの勝ち」
あっさり言われ、今度こそ返す言葉を無くす。
再びピザをかじる桜から釈然としないまま目を逸らして、俺は特に意味もなく店内を見回した。
時刻は夕方の五時半を過ぎたところだ。そろそろ本格的に混みはじめる時間帯だろう。
日中、ゲーセンのクレーンゲームでゲットした何かのキャラがプリントされたタオルで、汗により湿った首筋を拭う。
「……」
もうすぐ夜になるのかと、陰鬱になりつつ意識する。
姉貴には帰りが遅くなるとメールをしているため、個人的な時間の制限はないが有紀と根崎はそうはいかない。
もうすぐ、この憩いの時間は終わる。その後に待つのは、果たして天国か地獄か。
――天国……はさすがにあり得ねーよな。
「ふぅん。わからなくはないけど」
小刻みに頷く根崎を半眼で見やり、俺は逆に問い返す。
「つーか、お前はどうなんだよ? バイトしないで金余裕あるのか?」
「うん、まぁ。お盆に親戚からお小遣い貰ったりしたしね。それに、十月に格ゲーの大会があるから、それに向けての練習もこれから本格的に始める予定なんだ。だから、バイトしてる暇がないよ」
「格ゲーの? お前、去年も出て準決勝で負けてたよな? また出んのかよ」
この友人のゲーム好きは筋金入りだ。ジャンルに拘らずオールマイティにこなして遊んでいる。地方や近所の小さな大会にも頻繁に出場し、その度に中途半端なところで敗退していた。
「今年は最低でも準優勝するよ。自信があるんだ」
グッと小さな拳を固め、根崎は宣言する。
「そんときゃ応援くらいには行ってやるよ」
安請け合いするように告げ、俺はジュースを口に運ぶ。
「相変わらず、雄くんと響介くんってゲームの話ばっかりだね」
根崎の隣で桜と喋っていた有紀が、会話が途切れるのを待っていたかのように話しかけてきた。
「え? そんなことないと思うけど……。違う話だって普通にするよ」
心外だと言わんばかりに、根崎は口元を歪ませる。
「そう? いつも一緒にゲームしてるイメージしかないから、なんかピンとこないけど……」
「雄治の部屋、ゲーム沢山あるもんね。下手くそなのに」
まだ唯一食事を続けている桜も、ピザを頬張りながら会話に混ざる。
因みに、ここの支払いはボーリング対決で負けた俺たち男性陣の役割になっている。
それ故なのか、ピザにサラダ、フライドポテトと海鮮リゾット。挙句にデザートにアイスと、桜は遠慮のかけらもない注文をしてくれていた。
そのせいもあって、俺は思いきり隣の大食らい悪魔を睨みつける。
「下手くそは余計だろうが」
「だってあたしより下手じゃん」
無慈悲に告げて、悪魔少女はジンジャーエールをあおる。
悔しいことだが正論であるため、俺はグッと言葉を詰まらせそうになる。だがそれでも、ただ負かされるのも癪に障ると考え、何とか言葉を捻り出した。
「音ゲーなら勝てた。リズム感は俺が上だろ」
「反射神経で上回るから、あたしの勝ち」
あっさり言われ、今度こそ返す言葉を無くす。
再びピザをかじる桜から釈然としないまま目を逸らして、俺は特に意味もなく店内を見回した。
時刻は夕方の五時半を過ぎたところだ。そろそろ本格的に混みはじめる時間帯だろう。
日中、ゲーセンのクレーンゲームでゲットした何かのキャラがプリントされたタオルで、汗により湿った首筋を拭う。
「……」
もうすぐ夜になるのかと、陰鬱になりつつ意識する。
姉貴には帰りが遅くなるとメールをしているため、個人的な時間の制限はないが有紀と根崎はそうはいかない。
もうすぐ、この憩いの時間は終わる。その後に待つのは、果たして天国か地獄か。
――天国……はさすがにあり得ねーよな。
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