2 / 3
2話 転移2
しおりを挟む
「あなたは何を焦っているのですか?」
淡々と話す声に苛立ちを感じる。
「あたりまえだろっ!俺は急いで家に帰らないといけないんだよっ!」
そういうと、
「あなたの妹さんと幼馴染の女性につきましては、わたしが安全を保証します。」
「どういう事だ!」
「あなたには申し訳ありませんが、助けて頂きたいのです。異世界に転移してわたしの子供たちを守りながらある場所に連れて行ってもらえませんか?」
「はぁ?てめぇ、何いってるのかわかっているのか?俺を脅迫してるのか?」
「そうではありません。お願いしているのです。」
「だったら、澪と朱里は関係ねぇだろうが・・・」
「いえ、あなたの仰られている妹さんは、わたしの末娘ですよ。」
「えっ?どういう事だ?」
(妹の澪が、本当の妹だと違うという事は、俺と親父と朱里しか知らないはずだが?)
「妹さんは、幻影で隠していますが猫の獣人でしょう?」
「なっ!どうしてそれを・・・」
「わたしが、あなたのお父上に預かって頂いたのです。将来、あなたのつがいとなるために」
「えっ?どういう事だ?」
「お伝えした通りですが、何かおかしな点でもございましたか?」
「普通、妹とはつ、つがいじゃねぇ!結婚はできねえんだよ!」
「ですから、本当の妹ではないと言っているではありませんか?それとももう一人の幼馴染の方とつがいとなるのですか?わたしからすれば、娘は2番目でも結構なのですが・・・」
「そういう問題じゃねぇだろうが」
「ただし、お願いがあるのです。あの娘以外の残り4人の娘を救って欲しいのです。もちろん、ただでとは申しません。気に入って頂けたなら他の娘もあなたの側に置いて頂いて結構です。さらにあなたには、向こうでお役に立つ力もいくらか授けましょう。いかがですか?」
「他の娘ぇ?助けるってどういった事なんだ?全然、話が見えねえよ。」
少し頭がこんがらがってきて、話が見えなくなってきた。
「俺に助けろと言うが、俺はただの学生だ。別に取り立てた力や技が有る訳じゃない。なにもできねえよ。」
「君はなにも聞いていないのかい?」
「どういう事だ?」
「君は古の守人の子孫なんだよ。お父さんからはなにも言われてないのかい?」
「古の守人?」
「そう、剣技と魔術に長けた一族だよ。君のお父さんが今の首長で、君にその座を譲ると聞いているのだが・・・」
「知らねえな、というより俺は剣技など出来ないし、魔術なんて胡散臭い事もできねえよ。唯一出来るとしたらガキの頃からやってる弓技位だし、それもあまり上手いとは言えねえ。まあ1番自信があるといえばケンカ位だぞ。」
「ケンカに自信があると言っても自分から攻撃を与えるのではなく、相手に攻撃された場合において対抗しているのではありませんか?」
ふと、考えてしまう。確かにケンカになるのは澪や朱里が何かあった時だなと気がつく。しかし、そんな事が当たり前とは思えない。
ケンカが正当と誇示するつもりもない。
もともと俺は口は悪いが性格はいい様に周りからは思われている。
「それでも」
「いいえ、あなたは自分が思っている程弱くはありません。剣技が出来ないと言いましたがやっていないだけでどこまで出来るか試していませんね?というか、幼い時にとんでもない事になってやらせてもらっていないと思います。魔術についてはこの星では魔素が少ない為すぐに術式が構築出来ないだけですよ。元にあなたは今、わたしに対して幻術を無詠唱にて展開しているではありませんか?」
俺の頭のなかは?マークで一杯になってきた。確かに小さいときに小枝か何かでチャンバラっぽい事をした後、オヤジに2度と武器を持って戦ってはダメだと言われた記憶がある。但し、何があったのかは憶えていない。それに今は相手の顔が見えなかったのが、見える様になったというか、こいつは、妹と同じ獣人だった。猫とは違い狼だったが・・・
「まあいい。一歩譲って、信じるとしよう。澪と朱里を助けるために貴様の娘を助ける事としても俺にはそこまでの力があるとは思えないしないだろう?」
「わかりました。でしたらまずはこの剣を受け取ってください。あなたが産まれた時にあなたのために打たれた剣です。」
渡された剣は、初めて握るのにも拘わらず、手にしっくりした上に見た目とは違いすごく軽い。
「どうですか?自分の剣を握った感覚は?その剣を向こうにある山に向かって薙いでもらえますか?」
言われるままに山を薙いだ途端、開いた口が塞がらなかった。というのも、数キロ先にある山が真っ二つに割れたのだ。
「次は、割れた山に開いた手をかざし『消失』と唱えてください。言葉に出しても出さなくても結構ですので」
俺は言葉に出さず、心の中で唱えてみた途端、今まであった山は見事に消え去り平地になっている。しかもそこにはもともと何もなかったかの様に
「これはどういった事なんだ?何がおきたんだ?」
「あなたが山を割り、消したのですよ。それほどあなたの力は凄いという事です。わかって戴けましたか?」
「また、あなたは自分で仰られていた様に弓技も身につけた様ですのでそちらの武具に関しましては、出来上がり次第お渡しします。いかがでしょうか?おわかり戴けましたか?」
嘘の様だが目の前で起きた事だ。信じるしかない。というか、こんな力を持ってどうすればいいのか?途方に暮れた。
淡々と話す声に苛立ちを感じる。
「あたりまえだろっ!俺は急いで家に帰らないといけないんだよっ!」
そういうと、
「あなたの妹さんと幼馴染の女性につきましては、わたしが安全を保証します。」
「どういう事だ!」
「あなたには申し訳ありませんが、助けて頂きたいのです。異世界に転移してわたしの子供たちを守りながらある場所に連れて行ってもらえませんか?」
「はぁ?てめぇ、何いってるのかわかっているのか?俺を脅迫してるのか?」
「そうではありません。お願いしているのです。」
「だったら、澪と朱里は関係ねぇだろうが・・・」
「いえ、あなたの仰られている妹さんは、わたしの末娘ですよ。」
「えっ?どういう事だ?」
(妹の澪が、本当の妹だと違うという事は、俺と親父と朱里しか知らないはずだが?)
「妹さんは、幻影で隠していますが猫の獣人でしょう?」
「なっ!どうしてそれを・・・」
「わたしが、あなたのお父上に預かって頂いたのです。将来、あなたのつがいとなるために」
「えっ?どういう事だ?」
「お伝えした通りですが、何かおかしな点でもございましたか?」
「普通、妹とはつ、つがいじゃねぇ!結婚はできねえんだよ!」
「ですから、本当の妹ではないと言っているではありませんか?それとももう一人の幼馴染の方とつがいとなるのですか?わたしからすれば、娘は2番目でも結構なのですが・・・」
「そういう問題じゃねぇだろうが」
「ただし、お願いがあるのです。あの娘以外の残り4人の娘を救って欲しいのです。もちろん、ただでとは申しません。気に入って頂けたなら他の娘もあなたの側に置いて頂いて結構です。さらにあなたには、向こうでお役に立つ力もいくらか授けましょう。いかがですか?」
「他の娘ぇ?助けるってどういった事なんだ?全然、話が見えねえよ。」
少し頭がこんがらがってきて、話が見えなくなってきた。
「俺に助けろと言うが、俺はただの学生だ。別に取り立てた力や技が有る訳じゃない。なにもできねえよ。」
「君はなにも聞いていないのかい?」
「どういう事だ?」
「君は古の守人の子孫なんだよ。お父さんからはなにも言われてないのかい?」
「古の守人?」
「そう、剣技と魔術に長けた一族だよ。君のお父さんが今の首長で、君にその座を譲ると聞いているのだが・・・」
「知らねえな、というより俺は剣技など出来ないし、魔術なんて胡散臭い事もできねえよ。唯一出来るとしたらガキの頃からやってる弓技位だし、それもあまり上手いとは言えねえ。まあ1番自信があるといえばケンカ位だぞ。」
「ケンカに自信があると言っても自分から攻撃を与えるのではなく、相手に攻撃された場合において対抗しているのではありませんか?」
ふと、考えてしまう。確かにケンカになるのは澪や朱里が何かあった時だなと気がつく。しかし、そんな事が当たり前とは思えない。
ケンカが正当と誇示するつもりもない。
もともと俺は口は悪いが性格はいい様に周りからは思われている。
「それでも」
「いいえ、あなたは自分が思っている程弱くはありません。剣技が出来ないと言いましたがやっていないだけでどこまで出来るか試していませんね?というか、幼い時にとんでもない事になってやらせてもらっていないと思います。魔術についてはこの星では魔素が少ない為すぐに術式が構築出来ないだけですよ。元にあなたは今、わたしに対して幻術を無詠唱にて展開しているではありませんか?」
俺の頭のなかは?マークで一杯になってきた。確かに小さいときに小枝か何かでチャンバラっぽい事をした後、オヤジに2度と武器を持って戦ってはダメだと言われた記憶がある。但し、何があったのかは憶えていない。それに今は相手の顔が見えなかったのが、見える様になったというか、こいつは、妹と同じ獣人だった。猫とは違い狼だったが・・・
「まあいい。一歩譲って、信じるとしよう。澪と朱里を助けるために貴様の娘を助ける事としても俺にはそこまでの力があるとは思えないしないだろう?」
「わかりました。でしたらまずはこの剣を受け取ってください。あなたが産まれた時にあなたのために打たれた剣です。」
渡された剣は、初めて握るのにも拘わらず、手にしっくりした上に見た目とは違いすごく軽い。
「どうですか?自分の剣を握った感覚は?その剣を向こうにある山に向かって薙いでもらえますか?」
言われるままに山を薙いだ途端、開いた口が塞がらなかった。というのも、数キロ先にある山が真っ二つに割れたのだ。
「次は、割れた山に開いた手をかざし『消失』と唱えてください。言葉に出しても出さなくても結構ですので」
俺は言葉に出さず、心の中で唱えてみた途端、今まであった山は見事に消え去り平地になっている。しかもそこにはもともと何もなかったかの様に
「これはどういった事なんだ?何がおきたんだ?」
「あなたが山を割り、消したのですよ。それほどあなたの力は凄いという事です。わかって戴けましたか?」
「また、あなたは自分で仰られていた様に弓技も身につけた様ですのでそちらの武具に関しましては、出来上がり次第お渡しします。いかがでしょうか?おわかり戴けましたか?」
嘘の様だが目の前で起きた事だ。信じるしかない。というか、こんな力を持ってどうすればいいのか?途方に暮れた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
【改稿版】夫が男色になってしまったので、愛人を探しに行ったら溺愛が待っていました
妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
外観は赤髪で派手で美人なアーシュレイ。
同世代の女の子とはうまく接しられず、幼馴染のディートハルトとばかり遊んでいた。
おかげで男をたぶらかす悪女と言われてきた。しかし中身はただの魔道具オタク。
幼なじみの二人は親が決めた政略結婚。義両親からの圧力もあり、妊活をすることに。
しかしいざ夜に挑めばあの手この手で拒否する夫。そして『もう、女性を愛することは出来ない!』とベットの上で謝られる。
実家の援助をしてもらってる手前、離婚をこちらから申し込めないアーシュレイ。夫も誰かとは結婚してなきゃいけないなら、君がいいと訳の分からないことを言う。
それなら、愛人探しをすることに。そして、出会いの場の夜会にも何故か、毎回追いかけてきてつきまとってくる。いったいどういうつもりですか!?そして、男性のライバル出現!? やっぱり男色になっちゃたの!?
恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?
夕立悠理
恋愛
ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。
けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。
このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。
なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。
なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる