蒼髪のハリス

現実世界

プロローグ

　まだ桜が舞う季節のとある教室内で

「てかさ、俺彼女欲しいわー。」

「なんだよ急に。早くね？」

「それは置いといてさ、ずっと思ってたんだけど、窪田何とかってやつ暗くね？」

「あー。クラスで超絶浮いてるやつな笑。」

　同じクラスの三人グループの男子生徒がそう会話しているのが耳に届いた。

「確かに、暗そうだし、一緒にいてもつまらなそうだな。」

　三人グループのもう一人の男子生徒もそう呟いた。

「なんか気持ち悪い。」

　またクラスの女子生徒が呟いた。

　それもそのはず、メガネでロングヘアーでいつも頭を下げて寝てるか、読書の二択。
　クラスメイトと関わりが一切無いため、言われ放題。
 こんな見た目でもあり、中学でもこのような光景を何度も見てきた。

　授業でグループを作る時とかは特に地獄だった。
俺だけ残った時には、担当の女性の先生が

「窪田くんはあそこのグループに入れてもらおっか。」

と困惑した表情をして、そのグループを指さした。

「うわ、、こいつかよ、最悪。」

「こいついても変わらないじゃん、、」

と同じグループになった生徒がそう呟いた。

(いや、俺が選んだわけじゃないんだけどなぁ)

と心の中でそう思った。そして、教室から逃げ出してしまった。

それがいじめの始まりだった。
　最初は悪口だけだったが、どんどんエスカレートしていき物を隠されたり、蹴られたり殴られたりと、

散々痛い目に合い、、、

(世の中ってこういう輩やからしかいないのか？)


                               *   *   *

　僕は十六歳、窪田柊真くぼたしゅうま。ごく普通の高校二年生だ。
　特に特技といった物も無く、学校では入学当初、馴染めずいじめを受け半年で不登校になり、引きこもりに。 

 どうすればいいか約半年途方に暮れていた時。

　二年生に進級したと同時にそこに現れたのは「仮想世界ネットゲーム」であった。

　仮想世界ネットゲームといっても種類が豊富でどこから手につければいいか分からず、探していたら。

　仮想世界多人数同時参加型かそうせかいたにんずうどうじさんかがたオンラインゲーム通称「VRMMORPG」という種類を見つけた。
 特に他にやることも無く、そのゲームを見つけて

｢見つけたのはいいけど長く続けられるのか？｣

と自分で思ってはしまったが、調べれば調べるほど　　VRMMORPGというシステムにのめり込んでしまっていた。とても相性が良かったのだろうと思った。

　仮想世界多人数同時参加型オンラインゲームにハマった理由は三つある。

　一つ目はレベル制だ。どのゲームにも最初は弱い武器を支給されてるか、装備無し。
　強い武器を持っていないとキツいのだがレベルが毎度上がる度にスキルを強くできる

　　　　　「スキルポイント」

やHP、MP、防御等、自分が上げたいと思ったものに上げれる

　　　　「割り振りポイント」

があり、自由性でもあって、凄くやり込んでいるなという実感が湧き、徐々にコツコツ強くなれるんだと考えると嬉しくなったからだ。
まあどのゲームもそうだけど。
　二つ目は職業が一定職業経験値を貯めるとそのクラスが一つクラスチェンジするということだった。
　職業のクラスは、駆け出し、初等、三等、二等、一等と上に行くにつれ強くなる、スキルも追加され、隠し職業も追加される。

　全体的に基礎ステータスも上昇され、パワーアップする。そのクラスが上限に達するとクラスがクラスアップする。

　紹介すると、剣士や弓士などを例えば、剣士だと駆け出し剣士が初等剣士に、駆け出し弓士が初等弓士になる。
　職業内のクラスレベルは初級、三級、二級、一級とクラスアップをすればするほど強くなる。
 駆け出しから三級になると初等三級となる。

　その他職業も同様だ。

　このシステムにもやり甲斐を感じ面白さを引き立てていた。
 　三つ目は称号を沢山解放することによって追加ステータスが入るということだった。
　例えばモンスターを一定数狩ると駆け出し狩人となり、少しステータスが手に入る。

　称号は職業と同じで変化する。
例えばモンスターを更に沢山狩ると駆け出し狩人から一級狩人になる。
 こういうことだ。
　自分が手にした仮想世界多人数同時参加型オンラインは新作であった。雑誌やテレビでも紹介されるような人気ゲームでとてもゲーム人口が多く、その仮想世界多人数同時参加型オンライン界隈では知らない人はいなく、色んな人が知っているだろう。

　テレビでは
「ネットで人気の仮想世界多人数同時参加型オンラインゲームが売り切れ続出！！」
「予約が1ヶ月待ち！店の前では大行列を生み出しています！！」
と紹介されていた。

 遅れたが、そのゲームの名前は

　　　　　　　「グリシア」

という名前だ。

　僕は事前に予約していたためすぐ手に入れることが出来た。この「グリシア」は幻想的げんそうてきなほぼ無限と言っていいほどの膨大なワールド。高クオリティな世界観とグラフィック。

　クエストも豊富で内容は難易度が高ければ高いほど報酬が美味い。と公式サイト情報に書いてあり、初日からやり始めることにした。