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男性視点
エピローグ
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もうすぐ降りる駅だ。
どうやって彼女を誘って捕まえようかなと考えていると、電車が止まる前にシャツを引っ張られた。
「あの、ちょっと」
眉を下げて、困ったような顔で見上げられて、抱きしめそうになった。
可愛い。
そんなことを考えている間に、腕を引っ張られて電車を降りてしまっていた。
……この展開は。まさか。
思い付いた行き先に、血の気が引く。
待て待て待て。痴漢だなんて、オレの社会的地位は大丈夫か。
行く先が駅員室だったら笑えないと、彼女の肩を突いて無実を主張してみた。
「痴漢したつもりはないんだが」
考えていたことが考えていたことなので、少し弱気だ。
だが、この状態で駅員室に連れて行かれたとしたら、オレは弁解できるのか?「女の子と体が密着したから、体が反応しただけです。生理現象です」というのは通るのだろうか。
明確に触ろうと思って触ってはいないのだが。
そう思いながら首を傾げると、その子は慌てたようにオレの手を放した。
「ちっ、ちがくて!そうしたら、私だって痴漢みたいなもので!」
思ってもみないことを言われた。
言われてみれば……なるほど。薄いブラウス一枚のノーブラだもんな。
ラッキーとばかり考えて、そんなことに思い至らなかった。
「申し訳ありません!非常識な真似をして、反省しています!」
大きく頭を下げられて、思いのほか安心してしまった。突き出されたら、自分はどうしようもなかっただろうと思う。
「いや、よかったよ。どう話して分かってもらおうかと」
そう言いながら、『非常識な真似』と、彼女自身が評したこと……多分、ノーブラのことだろう……を、なぜ彼女がしたのかが気になった。
色々なことが頭の中を駆け巡りながらも、どうやら彼女を食事に誘うくらいはできそうだと思って笑った。
笑ったところで、急に真面目な顔になった彼女が言った。
「あの、ホテルに行きませんか?」
耳を疑った。
「そうか。じゃあ行こうか」
と、どれだけ言いたかったことか。
それはダメだろう。
「魅力的なお誘いだけど、とりあえず、食事でも一緒にしようか?」
余裕ぶって、そんな返事をした。
言った瞬間に、彼女が涙ぐんだ。逃げられると思ったが、唇をかみしめて小さく頷いた。
何故泣きそうになられたのかも分からないが、何故だか傷つけてしまったような気がした。
泣きそうな顔をしたことが気になって、明るい店に入ろうと、一番近いファミレスを選んだ。
最低なチョイスだと自分でも思っているのに、彼女は嬉しそうに笑った。
抱きしめたい。
触りたい。
やばい。思考が犯罪者だ。
でも、ホテルに誘われたってことは、そういうことも考えていると思ってもいいのだろうか。
駅でトイレに行って戻ってきた彼女は、上着を羽織っていた。
ファミレスで向かいに座ってみると、なんとなく、さっきと違って胸が小さくなった気がする。下着で抑えつけているのか?
そう考えていると、オレの視線を感じたのか、肩をすぼめてもじもじと体を揺らした。
そうすると、やっぱり豊かな胸が強調されて、柔らかそうな谷間が見える。
なんとなく視線が胸の方へ行ってしまうが、あまり見ていてはいけないだろうと思い、ノーブラでいた訳を聞き出した。
胸糞の悪い話だったけれど。
ついさっきまで、彼女に恋人がいたという事実に、少々ムッとした。
オレとはさっき会ったばかりだから、そんな権利は全くないというのに。
「お付き合いというものをしてみたかったのです」
恥ずかしそうに言う真由美に、またもや反応しそうになった。
お付き合いをしたことがなかった?
初めて、か?
いや、彼氏がいたんだ。すでにそっちと経験済みとも考えられるが、だが、もしかして……。
呆然とそんなことを考え続けて、彼女の言葉に反応できていなかったことに気がついていなかった。
「さて、どうする?」
お腹がいっぱいになったところで、この次を提案してみると、ものすごく驚いた顔をされた。
予想はしていたけれど、もう帰る気だったようだ。
帰すわけがない。帰るとしても、オオカミサンも連れて帰って貰おう。
そんな凶暴な気持ちを押し隠しながら、喜ばしいことに真由美の初めてを貰うのは、この数時間後のお話。
どうやって彼女を誘って捕まえようかなと考えていると、電車が止まる前にシャツを引っ張られた。
「あの、ちょっと」
眉を下げて、困ったような顔で見上げられて、抱きしめそうになった。
可愛い。
そんなことを考えている間に、腕を引っ張られて電車を降りてしまっていた。
……この展開は。まさか。
思い付いた行き先に、血の気が引く。
待て待て待て。痴漢だなんて、オレの社会的地位は大丈夫か。
行く先が駅員室だったら笑えないと、彼女の肩を突いて無実を主張してみた。
「痴漢したつもりはないんだが」
考えていたことが考えていたことなので、少し弱気だ。
だが、この状態で駅員室に連れて行かれたとしたら、オレは弁解できるのか?「女の子と体が密着したから、体が反応しただけです。生理現象です」というのは通るのだろうか。
明確に触ろうと思って触ってはいないのだが。
そう思いながら首を傾げると、その子は慌てたようにオレの手を放した。
「ちっ、ちがくて!そうしたら、私だって痴漢みたいなもので!」
思ってもみないことを言われた。
言われてみれば……なるほど。薄いブラウス一枚のノーブラだもんな。
ラッキーとばかり考えて、そんなことに思い至らなかった。
「申し訳ありません!非常識な真似をして、反省しています!」
大きく頭を下げられて、思いのほか安心してしまった。突き出されたら、自分はどうしようもなかっただろうと思う。
「いや、よかったよ。どう話して分かってもらおうかと」
そう言いながら、『非常識な真似』と、彼女自身が評したこと……多分、ノーブラのことだろう……を、なぜ彼女がしたのかが気になった。
色々なことが頭の中を駆け巡りながらも、どうやら彼女を食事に誘うくらいはできそうだと思って笑った。
笑ったところで、急に真面目な顔になった彼女が言った。
「あの、ホテルに行きませんか?」
耳を疑った。
「そうか。じゃあ行こうか」
と、どれだけ言いたかったことか。
それはダメだろう。
「魅力的なお誘いだけど、とりあえず、食事でも一緒にしようか?」
余裕ぶって、そんな返事をした。
言った瞬間に、彼女が涙ぐんだ。逃げられると思ったが、唇をかみしめて小さく頷いた。
何故泣きそうになられたのかも分からないが、何故だか傷つけてしまったような気がした。
泣きそうな顔をしたことが気になって、明るい店に入ろうと、一番近いファミレスを選んだ。
最低なチョイスだと自分でも思っているのに、彼女は嬉しそうに笑った。
抱きしめたい。
触りたい。
やばい。思考が犯罪者だ。
でも、ホテルに誘われたってことは、そういうことも考えていると思ってもいいのだろうか。
駅でトイレに行って戻ってきた彼女は、上着を羽織っていた。
ファミレスで向かいに座ってみると、なんとなく、さっきと違って胸が小さくなった気がする。下着で抑えつけているのか?
そう考えていると、オレの視線を感じたのか、肩をすぼめてもじもじと体を揺らした。
そうすると、やっぱり豊かな胸が強調されて、柔らかそうな谷間が見える。
なんとなく視線が胸の方へ行ってしまうが、あまり見ていてはいけないだろうと思い、ノーブラでいた訳を聞き出した。
胸糞の悪い話だったけれど。
ついさっきまで、彼女に恋人がいたという事実に、少々ムッとした。
オレとはさっき会ったばかりだから、そんな権利は全くないというのに。
「お付き合いというものをしてみたかったのです」
恥ずかしそうに言う真由美に、またもや反応しそうになった。
お付き合いをしたことがなかった?
初めて、か?
いや、彼氏がいたんだ。すでにそっちと経験済みとも考えられるが、だが、もしかして……。
呆然とそんなことを考え続けて、彼女の言葉に反応できていなかったことに気がついていなかった。
「さて、どうする?」
お腹がいっぱいになったところで、この次を提案してみると、ものすごく驚いた顔をされた。
予想はしていたけれど、もう帰る気だったようだ。
帰すわけがない。帰るとしても、オオカミサンも連れて帰って貰おう。
そんな凶暴な気持ちを押し隠しながら、喜ばしいことに真由美の初めてを貰うのは、この数時間後のお話。
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