文字の大きさ
大
中
小
52 / 58
グラン
始まり
グランは、自分は何もかもを手に入れたのだと思った。
小さな頃から、自分が望めば周りが望むように動いてくれることは気が付いていた。
他の人間より優遇されている。
それは、自分の価値に他ならないし、自分は優秀だと思う。
その『力』の使い方に気が付いたのは、好きな人ができた時。
彼女と付き合いたいと思うのに、彼女には恋人がいた。
気に入らなかった。
だから、彼女に詰め寄ったのだ。
「あいつと別れて、俺と付き合え!」
――と。
最初は拒否していた彼女が、急に従順になった。
鏡を見ると、自分の瞳が金色に輝いていた。
これは……魅了の力だ。
なんてことだ。今まで自分が望むように動いていた人たちは、魅了の力で動いていただけだったのだ。
グランは歓喜した。
素晴らしい力だ。自分にこそふさわしい力。
それからは、上手にその力を使った。
女性は全て自分のことを好きになった。
普段は、それを困ったようにしつつも、魅了で自分の虜になるように扱った。
なんて気分がいいんだ。
魅了の力があることがばれないように、剣の腕を磨き、魔力を別の方向にも使えるようになった。
元々の顔のつくりもよかったので、グランは人気者になっていた。
金は魅了すれば好きなだけ手に入る。
だったら、後は地位と名誉が欲しい。
だから、冒険者になった。
そこそこ強くて見た目のいい男たちとパーティを組み、冒険の旅に出た。
――が、ランクはなかなか上がらなかった。
最初は薬草集めからちまちまと。
魔物を倒そうとしても、なかなか魅了の術にはまってくれないし、何より大けがを負って死ぬ危険がある。
イライラして、冒険者なんてやめようと思っていた時、優秀な薬師の噂を聞いた。近隣の町にまで噂になるほど優秀で、若い女だという。
薬師……ランクの高い治癒術師は、なかなかパーティに入ってくれない。
だが、薬師なら?
グランは、仲間に自分の魅了の力を打ち明け、協力するように言った。
計画は、大成功だった。
まずは、居もしない魔物を倒したと言って、その薬師がいるという町に入った。
グランの魅了によって、数人が信じてしまえば、後は簡単だ。
その数人が、「魔物を倒してくださった勇者」だと、町中に触れ回ってくれる。
仲間たちも、どんなに戦いが大変だったのかを語る。
自分たちは、このスキルスの町で救世主になった。
そんな中、噂の薬師に会いに行った。
彼女は本当に若く、父親を亡くしたばかりだという。
彼女が作ったという回復薬を使ったら、本当にあっという間に回復した。
今まで高価な回復薬はあまり使ったことがなかったが、これを大量に勝手に生産してくれるものか。
素晴らしい。
グランは、魅了をかけつつ、彼女を絶賛した。
「一人で薬屋をやっていっているの?すごいね。こんなに可愛い子が」
にっこり微笑むと、彼女は頬を染めて俯く。
魅了なんてかけるまでもなかったかもしれない。
その薬師――キャルは、自分から言い出すのだ。
「一緒に旅に連れて行って欲しい」
そして、グランは歓喜しながら困ったように微笑む。
「それには、冒険者にならないといけないんだよ?キャル、君にできるだろうか?」
キャルは優秀だ。
勝手に冒険者登録して、旅支度を整え、ついて行ける状態にまでしてきた。
グランたちは、これで回復薬自動製造機を手に入れたというわけだ。
実際、とても役に立ってもらった。
キャルがいれば、いつでも自分たちは最善の状態で戦える。
戦闘中であっても、すぐに元の状態まで回復するのだ。
そうして、短期間でグランはAランクにまで上り詰めた。
小さな頃から、自分が望めば周りが望むように動いてくれることは気が付いていた。
他の人間より優遇されている。
それは、自分の価値に他ならないし、自分は優秀だと思う。
その『力』の使い方に気が付いたのは、好きな人ができた時。
彼女と付き合いたいと思うのに、彼女には恋人がいた。
気に入らなかった。
だから、彼女に詰め寄ったのだ。
「あいつと別れて、俺と付き合え!」
――と。
最初は拒否していた彼女が、急に従順になった。
鏡を見ると、自分の瞳が金色に輝いていた。
これは……魅了の力だ。
なんてことだ。今まで自分が望むように動いていた人たちは、魅了の力で動いていただけだったのだ。
グランは歓喜した。
素晴らしい力だ。自分にこそふさわしい力。
それからは、上手にその力を使った。
女性は全て自分のことを好きになった。
普段は、それを困ったようにしつつも、魅了で自分の虜になるように扱った。
なんて気分がいいんだ。
魅了の力があることがばれないように、剣の腕を磨き、魔力を別の方向にも使えるようになった。
元々の顔のつくりもよかったので、グランは人気者になっていた。
金は魅了すれば好きなだけ手に入る。
だったら、後は地位と名誉が欲しい。
だから、冒険者になった。
そこそこ強くて見た目のいい男たちとパーティを組み、冒険の旅に出た。
――が、ランクはなかなか上がらなかった。
最初は薬草集めからちまちまと。
魔物を倒そうとしても、なかなか魅了の術にはまってくれないし、何より大けがを負って死ぬ危険がある。
イライラして、冒険者なんてやめようと思っていた時、優秀な薬師の噂を聞いた。近隣の町にまで噂になるほど優秀で、若い女だという。
薬師……ランクの高い治癒術師は、なかなかパーティに入ってくれない。
だが、薬師なら?
グランは、仲間に自分の魅了の力を打ち明け、協力するように言った。
計画は、大成功だった。
まずは、居もしない魔物を倒したと言って、その薬師がいるという町に入った。
グランの魅了によって、数人が信じてしまえば、後は簡単だ。
その数人が、「魔物を倒してくださった勇者」だと、町中に触れ回ってくれる。
仲間たちも、どんなに戦いが大変だったのかを語る。
自分たちは、このスキルスの町で救世主になった。
そんな中、噂の薬師に会いに行った。
彼女は本当に若く、父親を亡くしたばかりだという。
彼女が作ったという回復薬を使ったら、本当にあっという間に回復した。
今まで高価な回復薬はあまり使ったことがなかったが、これを大量に勝手に生産してくれるものか。
素晴らしい。
グランは、魅了をかけつつ、彼女を絶賛した。
「一人で薬屋をやっていっているの?すごいね。こんなに可愛い子が」
にっこり微笑むと、彼女は頬を染めて俯く。
魅了なんてかけるまでもなかったかもしれない。
その薬師――キャルは、自分から言い出すのだ。
「一緒に旅に連れて行って欲しい」
そして、グランは歓喜しながら困ったように微笑む。
「それには、冒険者にならないといけないんだよ?キャル、君にできるだろうか?」
キャルは優秀だ。
勝手に冒険者登録して、旅支度を整え、ついて行ける状態にまでしてきた。
グランたちは、これで回復薬自動製造機を手に入れたというわけだ。
実際、とても役に立ってもらった。
キャルがいれば、いつでも自分たちは最善の状態で戦える。
戦闘中であっても、すぐに元の状態まで回復するのだ。
そうして、短期間でグランはAランクにまで上り詰めた。
感想
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
“いらない婚約者”なので、消えました。もう遅いです。
あめとおと
婚約者である王子から、静かに告げられた言葉。
――「君は、もう必要ない」
感情をぶつけることもなく、彼女はただ頷いた。
すべては、予定通りだったから。
彼女が選んだのは、“自分の記憶を世界から消す魔法”。
代償は、自身という存在そのもの。
名前も、記憶も、誰の心にも残らない。
まるで最初からいなかったかのように。
そして彼女は、消えた。
残された人々は、何かが欠けていることに気づく。
埋まらない違和感、回らない日常。
それでも――誰一人、思い出せない。
遅すぎた後悔と、届かない想い。
すべてを失って、ようやく知る。
“いらない存在”など、どこにもいなかったのだと。
これは、ひとりの少女が消えたあとに、
世界がその価値に気づく物語。
そして――彼女だけが、静かに救われる物語。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
婚約破棄された翌日、王家の紋章が私の腕に現れました
あめとおと
伯爵令嬢エレノアは、王都の舞踏会で婚約者から突然の婚約破棄を告げられる。
理由は「平凡で地味だから」。
さらに彼は新たな恋人を伴い、人前でエレノアを侮辱した。
失意のまま屋敷へ戻った翌朝――。
エレノアの左腕に、見たことのない黄金の紋章が浮かび上がる。
それは王家の直系だけに現れるという“継承の紋章”だった。
混乱する彼女のもとへ現れたのは王国騎士団。
そして告げられる。
二十年前に失踪した第一王女には、生後間もない娘がいたこと。
その娘こそがエレノアだと。
突然始まった王家での生活。
優しい祖父である国王、過保護な王族たち、そして王国随一と名高い騎士団長。
一方、エレノアを捨てた元婚約者は、自分が取り返しのつかない失敗をしたことを知る。
婚約破棄から始まる、王家認定シンデレラストーリー。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
「役立たず」と離婚された侯爵夫人ですが、実家が世界一のお金持ちでした
由香「役立たず」と言われ、愛人のために離婚を突きつけられた侯爵夫人エレノア。
だが、夫は知らなかった。
彼女の実家が、王国どころか世界一の財閥だったことを。
離婚と同時に援助は打ち切られ、侯爵家はあっという間に崩壊。
破産寸前となった元夫は土下座で復縁を懇願するが…。
「申し訳ありません。そのお願いは、お断りします。」
これは、支える側だった令嬢が本当の幸せを手に入れる、痛快ざまぁストーリー。