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第一章 黒い悪魔の逃亡
第十一話 初恋は実らず・・・・・
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午前三時過ぎ、トトリは息苦しさから目を覚ました。
動けない。これが金縛りか、初めて経験するなぁ。金縛りって息苦しいんだぁ。
目覚めたばかりでまぶたが重く寝ぼけていたが、だんだん覚醒していき自分以外の寝息に気付き寝息のする方へと顔を向ける。
ガレックが寝ていた。
なんでいるの!?
トトリは完全に目を覚まし起き上がろうとしたが抱きつかれて動けない。
うぅぅ・・・そういえば寝顔見るの久し振りだなぁ。な、なんかドキドキしてきた。
顔を赤らめてガレックの顔を見る。
寝、寝れない。
結局トトリはこの後一睡も出来なかった。
六時になりガレックが目を覚ます。目を覚ましたガレックはトトリが起きてる事に少し驚いて言う。
「おはよう。珍しく早いな。ご褒美にお目覚めにチュウをしてやろう」
トトリが冗談だと思ったらガレックは本当にキスをした。
「・・・なんでいるのよ?」
「お願い事があって」
「お願い?」
「ああ、カトリーヌ大公の娘、レオナを保護してるんだが息子ジャックの捜索も頼まれてな。さすがに手が足りんから手伝ってくれ」
「ジャック君いなくなったの!?」
「知り合い?」
「うん。お父さん達が友達だからレオナとは幼馴染みなんだ。ジャック君の事は赤ちゃんの頃から知ってるし」
「そうか。じゃあレオナの護衛を頼む」
そう言ってガレックは起き上がった。
「うん。任せて」
「それじゃあトトリ、俺はすぐ出掛けるから、護衛よろしく」
「えっ、ご飯食べていかないの?」
「ああ、ちょっと遠出するから適当にパンでも買って食うさ」
そう言って部屋を出るガレックにトトリは付いて行き外に出た。
ガレックは駐車していた大型魔法自動二輪車に跨った。
「じゃあレオナを頼んだ」
「うん。気を付けてね」
ガレックはキャンベルへ向かった。
ガレックを見送ったトトリはキッチンに向かいアップルパイを作り始めた。
甘い匂いに誘われてシャーリーは目を覚ました。
「おはようれす。マスター」
「おはよう。シャーリー」
「珍しく早いれすねぇ」
「ちょっとね。ああ、そうだ。今日から暫くガレックの所に住むから準備なさい」
「旦那の所れすか」
「うん」
トトリの様子はいつもと変わらないが少しだけ機嫌がいい。
進展した様子は無いれすけど、何かいい事があったみたいれすね。
朝食を食べ準備を終えた二人は、車に乗りガレックの家に向かった。
アリスは二階の掃除をしていた。
玄関の呼び鈴が鳴ったがマリアとレオナは呼び鈴に気付かなかった。もう一度呼び鈴が鳴り、アリスは廊下に取り付けられたモニターから外の様子を確認する。そこにはトトリが映っていた。
アリスは急いで玄関に向かいドアを開ける。
「おはよう。アリスちゃん」
「おはようれす」
「おはようございます。あいつまだ帰ってませんよ」
「うん。今日はガッ君に頼まれてレオナの護衛に来たの」
「あいつ何処に行ったんですか?」
あっ! 聞くの忘れた。
「さあ?」
アリスは小さく溜息を吐き、トトリ達の荷物を見た。
「運ぶの手伝います」
「ありがとう」
「何処に運びます?」
「アトリエに運んで」
「分かりました」
三人は荷物をアトリエに運び始めた。
アトリエに向かう途中トトリはレオナを見付ける。レオナは身体がなまらないよう庭で剣を抜き素振りをしていた。
集中して素振りをするレオナはトトリに気付いてなかったためトトリは自分から声を掛ける。
「相変わらずね。レオナ」
レオナが振り返り少し驚く。
「トトリ。どうしてここに?」
「ガッ君、ガレックに頼まれて君の護衛をしに、事情はちゃんと聞いてるから」
「そう」
親しそうな二人を見てアリスが尋ねる。
「二人は友達なんですか?」
「幼馴染みよ。お父さん同士が友達だから、私達も仲が良いの」
そうなんだっと、アリスは頷いた。
「そういえば、ガレックさんは?」
「さあ? 私に護衛を任せて何処か行っちゃった」
レオナは少し残念そうな顔をし、それを見たトトリはある不安から一筋の汗をかく。
「ねぇ、レオナはガレックの事どう思ってるの? ほら、マリアちゃん達と一緒とはいえ男と一緒に住んでるんだから」
「そうですね。まだよく分からないけど頼りになる人です」
レオナは信頼しきった顔をした。
「へ、へぇぇぇぇ」
あの鬼畜悪魔! 絶対レオナに手出したな!
「じゃあ頑張ってね」
レオナは頷いて訓練を再開し、トトリ達は奥にあるアトリエに入った。
アトリエではマリアが掃除をしていた。
マリアはトトリ達を見て挨拶をした。
「いらっしゃいませ、おはようございます」
「おはよう」
「おはようれす」
「もう少しで掃除終わりますから」
そう言ってマリアは少し速く掃除をする。
「あっ、ゆっくりでいいよ」
マリアは「ありがとうございます」っと言って普通の速さに戻した。
荷物運びが終えるとトトリはガレックのアトリエで持って来た仕事を始め、シャーリーはその手伝いを始める。アリスは二階に行き中断していた掃除を再開した。
姉妹は掃除を終えると暇だからアトリエに来た。
「どうしたの?」
「やる事が無くて、お仕事の見学に、ダメですか?」
「別にいいけど、そうだ。二人は魔法使いなんだよね?」
姉妹は頷いた。
「じゃあ二階にガッ君が集めた魔導書が沢山あるから暇だったらそれを読んだら」
「二階の奥の部屋ですか?」
「そう」
二階の奥の部屋はいつも鍵が掛かっていた。
「私達、あの部屋の鍵を渡されてません」
それを聞いてトトリは、ある事を思い出し立ち上がった。
「じゃあ、私は鍵持ってるから一緒に行こうか」
「邪魔をしちゃ悪いから自分達で行きます」
そう言って鍵を受け取るため手を出したマリアにトトリは言う。
「そうもいかないんだよねぇ。あの部屋、何冊か禁書が置いてあるから、間違ってそれを手に取ったら最悪死んじゃうかも」
姉妹は顔を青くし、アリスが尋ねる。
「何でそんな物置いてるんですか?」
「前にガッ君が依頼の報酬として受け取ったのよ」
報酬で禁書が貰える事に姉妹は驚いた。
「じゃあ、行きましょうか」
姉妹はトトリと一緒に魔導書を何冊か選んでアトリエで読む事にした。
その後、訓練を終えたレオナがやってきて、三人が選んだ魔導書から興味を持った一冊を選び読み始めた。
キャンベルに着いたガレックは伯爵の屋敷を探し出し、身分を偽って屋敷近くの宿を借りた。
部屋に入るとカードを二枚抜き、一枚目をテーブルの上に置き元のノートパソコンに戻し二枚目を手で持ちながら元の小さなケースへと戻しケースの蓋を開ける。開けたケースをそのままテーブルに置き窓を開け椅子に座りパソコンの電源を入れる。パソコンが起ち上がるとスパイというファイルのモスキートというフォルダを開き指示を入力する。こうしてケースに入っていたかが指示通りキャンベル伯の屋敷を偵察し始める。
本当なら三日出来たら一月みっちり調べて行動を起こすんだが、そんなに待ってられんな。黒騎士がいない今が攻め時だ。さて、妹ちゃんは何処にいるかなぁ?
自動で動く蚊をタッチパッドで簡単な操作をする。しかし、どの部屋を探してもエドガーの妹リディアはいなかった。
おいおい何でいねぇんだよ。外にいるのか? っくそ、少し情報収集した方がいいか。
ガレックは警備体制を知るため蚊をそのままにしてパソコンの電源を落としカードにしてホルダーにしまう。そして部屋を出て時間も時間だから近くの食堂に入り適当に料理を選び近くにいる男に尋ねる。
「なあ、伯爵一家って屋敷にいないのか?」
「何だいきなり」
「面白い商品が出来たから売ろうと思ったんだけどあいにく留守でな」
「面白い? どんな商品なんだ?」
「それは言えねぇよ。ただ機工魔術師が作った新しい道具だ」
「へぇ、どんな?」
「さすがにこれ以上は言えねぇよ」
「うぅん、気になるなぁ」
「それで伯爵一家はいないのか?」
「エドガー様は王都で仕事リディア様は学校だろう」
「学校!?」
「おいおい驚くことか? リディア様は貴族だぞ」
学校に通った事のないガレックは学校の事をすっかり忘れていた。
「そりゃそうだ。いやぁ、俺孤児だったからそこら辺忘れてた」
「お前孤児だったのか」
「ああ、だけど気を遣わなくてもいいぜ。親はいなくても子は育つって言うだろ。それに俺は運がいい。なんせ紅い翼が運営する孤児院で育ったからな」
紅い翼が運営する孤児院は子供好きの傭兵が退役後に就くことが多く一般常識は勿論生きるための知恵や専門的な武術や魔術も教えてもらえる。ある意味英才教育を受けられるため孤児院としては遥かにいい環境である。
ちなみにガレックは孤児だったが紅い翼の孤児院で育ってはいない。
「マジかっ! あそこの孤児院は試験も何もないから本当に運任せって聞いたが・・・」
「ああ」
周囲の人が紅い翼の孤児院にいたと聞き少し聞き耳を立てる中、男が聞きにくそうに尋ねる。
「気を悪くしたら悪いが、どうやって入ったんだ?」
「ああ、やっぱ気になるか。いやぁ、今思い出したらかなり無謀なことをやって恥ずかしいんだが、実は俺、元スリ泥棒なんだ」
「スリ!?」
「と言っても殆ど成功したことないし、成功したって言ってもありゃきっと見逃して貰ってたんだな。で、ある時すろうとした相手が悪すぎた。同い年くらいの相手だからいけると思ったんだ。相手は女の子だしな」
「女の子で紅い翼っていったら」
「そう、紅い翼の社長令嬢トトリ・ホーキンスさんの財布をすったんだ」
「マジかっ!?」
「ああ、けどなぁ、すった所までは良かったんだけどすった後逃げようと思ってその場を離れたら物陰からいきなりホーキンス夫婦が現れてな」
「ザックスとロジーナか!?」
ロジーナとは今は亡きザックスの妻でトトリの母親である。トトリと同じストレートの黒い髪で胸のサイズは同じく小さかったが背が高くスレンダーな体型をしていた。そしてその職業はトトリと同じ錬金術師だった。トトリは母親の影響を多大に受けて育った。
「ああ、娘の初めてのお使いを尾行していた。おかげでザックスさんに殴られロジーナさんに蹴られ、盗んだ財布を落とした財布を拾ったと言ってトトリさんに返しに行ったんだ。それでその後性根を叩き直してやるってザックスさんに言われ紅い翼の孤児院に入ったって訳だ。ちなみにトトリさんには数年前実はスリだったって謝罪しに言ったら笑って許してくれたよ」
「そうか。しかし本当に運が良かったな」
「・・・だろう」
料理が運ばれてきた事で話は終わり食べ終えるとガレックは宿の部屋へと戻った。ちなみに今の話しは本当にあった事だがガレックがやったのではなく実はケビンがやった事である。
部屋に戻ったガレックはさっきと同じようにノートパソコンと蚊を使わねぇって屋敷を監視する。
暫くして学校帰ってきたリディアを玄関口で見付ける。
ああ、やっぱガキだな。あと四、五年ってとこか。
見付けてからはリディアの監視と屋敷全体の監視(可愛い使用人のパンツとか着替えとか入浴とか)をしてガレックは時が来るのを待つ。
そして時は流れ翌日の午前二時頃、警備がだいぶ少なくなったこの時間にガレックは行動を開始する。
手薄の場所から屋敷に潜入しようとしたが屋敷の周りには姿の見えない者達が警備をしていた。
おいおいキャンベルにゃ諜報員がいるのかよ。屋敷の警備は囮か、通りで雑なはずだ。しかし甘いな。
ガレックは足音をたてずに隠れて監視している者に近づき一気に首を絞め落とす。こうして監視の目を消した。
さて余り時間はない。さっさと終わらすか。
ガレックは屋敷に入ると一直線にリディアの部屋へと向かいホテルで書いた手紙を机に置きカードを抜くと起こさないように抱き上げ自分のアトリエへと転移する。
アトリエに着くとリディアをソファーに寝かせ自身は椅子に座り作業机に身体を預けて眠りについた。
動けない。これが金縛りか、初めて経験するなぁ。金縛りって息苦しいんだぁ。
目覚めたばかりでまぶたが重く寝ぼけていたが、だんだん覚醒していき自分以外の寝息に気付き寝息のする方へと顔を向ける。
ガレックが寝ていた。
なんでいるの!?
トトリは完全に目を覚まし起き上がろうとしたが抱きつかれて動けない。
うぅぅ・・・そういえば寝顔見るの久し振りだなぁ。な、なんかドキドキしてきた。
顔を赤らめてガレックの顔を見る。
寝、寝れない。
結局トトリはこの後一睡も出来なかった。
六時になりガレックが目を覚ます。目を覚ましたガレックはトトリが起きてる事に少し驚いて言う。
「おはよう。珍しく早いな。ご褒美にお目覚めにチュウをしてやろう」
トトリが冗談だと思ったらガレックは本当にキスをした。
「・・・なんでいるのよ?」
「お願い事があって」
「お願い?」
「ああ、カトリーヌ大公の娘、レオナを保護してるんだが息子ジャックの捜索も頼まれてな。さすがに手が足りんから手伝ってくれ」
「ジャック君いなくなったの!?」
「知り合い?」
「うん。お父さん達が友達だからレオナとは幼馴染みなんだ。ジャック君の事は赤ちゃんの頃から知ってるし」
「そうか。じゃあレオナの護衛を頼む」
そう言ってガレックは起き上がった。
「うん。任せて」
「それじゃあトトリ、俺はすぐ出掛けるから、護衛よろしく」
「えっ、ご飯食べていかないの?」
「ああ、ちょっと遠出するから適当にパンでも買って食うさ」
そう言って部屋を出るガレックにトトリは付いて行き外に出た。
ガレックは駐車していた大型魔法自動二輪車に跨った。
「じゃあレオナを頼んだ」
「うん。気を付けてね」
ガレックはキャンベルへ向かった。
ガレックを見送ったトトリはキッチンに向かいアップルパイを作り始めた。
甘い匂いに誘われてシャーリーは目を覚ました。
「おはようれす。マスター」
「おはよう。シャーリー」
「珍しく早いれすねぇ」
「ちょっとね。ああ、そうだ。今日から暫くガレックの所に住むから準備なさい」
「旦那の所れすか」
「うん」
トトリの様子はいつもと変わらないが少しだけ機嫌がいい。
進展した様子は無いれすけど、何かいい事があったみたいれすね。
朝食を食べ準備を終えた二人は、車に乗りガレックの家に向かった。
アリスは二階の掃除をしていた。
玄関の呼び鈴が鳴ったがマリアとレオナは呼び鈴に気付かなかった。もう一度呼び鈴が鳴り、アリスは廊下に取り付けられたモニターから外の様子を確認する。そこにはトトリが映っていた。
アリスは急いで玄関に向かいドアを開ける。
「おはよう。アリスちゃん」
「おはようれす」
「おはようございます。あいつまだ帰ってませんよ」
「うん。今日はガッ君に頼まれてレオナの護衛に来たの」
「あいつ何処に行ったんですか?」
あっ! 聞くの忘れた。
「さあ?」
アリスは小さく溜息を吐き、トトリ達の荷物を見た。
「運ぶの手伝います」
「ありがとう」
「何処に運びます?」
「アトリエに運んで」
「分かりました」
三人は荷物をアトリエに運び始めた。
アトリエに向かう途中トトリはレオナを見付ける。レオナは身体がなまらないよう庭で剣を抜き素振りをしていた。
集中して素振りをするレオナはトトリに気付いてなかったためトトリは自分から声を掛ける。
「相変わらずね。レオナ」
レオナが振り返り少し驚く。
「トトリ。どうしてここに?」
「ガッ君、ガレックに頼まれて君の護衛をしに、事情はちゃんと聞いてるから」
「そう」
親しそうな二人を見てアリスが尋ねる。
「二人は友達なんですか?」
「幼馴染みよ。お父さん同士が友達だから、私達も仲が良いの」
そうなんだっと、アリスは頷いた。
「そういえば、ガレックさんは?」
「さあ? 私に護衛を任せて何処か行っちゃった」
レオナは少し残念そうな顔をし、それを見たトトリはある不安から一筋の汗をかく。
「ねぇ、レオナはガレックの事どう思ってるの? ほら、マリアちゃん達と一緒とはいえ男と一緒に住んでるんだから」
「そうですね。まだよく分からないけど頼りになる人です」
レオナは信頼しきった顔をした。
「へ、へぇぇぇぇ」
あの鬼畜悪魔! 絶対レオナに手出したな!
「じゃあ頑張ってね」
レオナは頷いて訓練を再開し、トトリ達は奥にあるアトリエに入った。
アトリエではマリアが掃除をしていた。
マリアはトトリ達を見て挨拶をした。
「いらっしゃいませ、おはようございます」
「おはよう」
「おはようれす」
「もう少しで掃除終わりますから」
そう言ってマリアは少し速く掃除をする。
「あっ、ゆっくりでいいよ」
マリアは「ありがとうございます」っと言って普通の速さに戻した。
荷物運びが終えるとトトリはガレックのアトリエで持って来た仕事を始め、シャーリーはその手伝いを始める。アリスは二階に行き中断していた掃除を再開した。
姉妹は掃除を終えると暇だからアトリエに来た。
「どうしたの?」
「やる事が無くて、お仕事の見学に、ダメですか?」
「別にいいけど、そうだ。二人は魔法使いなんだよね?」
姉妹は頷いた。
「じゃあ二階にガッ君が集めた魔導書が沢山あるから暇だったらそれを読んだら」
「二階の奥の部屋ですか?」
「そう」
二階の奥の部屋はいつも鍵が掛かっていた。
「私達、あの部屋の鍵を渡されてません」
それを聞いてトトリは、ある事を思い出し立ち上がった。
「じゃあ、私は鍵持ってるから一緒に行こうか」
「邪魔をしちゃ悪いから自分達で行きます」
そう言って鍵を受け取るため手を出したマリアにトトリは言う。
「そうもいかないんだよねぇ。あの部屋、何冊か禁書が置いてあるから、間違ってそれを手に取ったら最悪死んじゃうかも」
姉妹は顔を青くし、アリスが尋ねる。
「何でそんな物置いてるんですか?」
「前にガッ君が依頼の報酬として受け取ったのよ」
報酬で禁書が貰える事に姉妹は驚いた。
「じゃあ、行きましょうか」
姉妹はトトリと一緒に魔導書を何冊か選んでアトリエで読む事にした。
その後、訓練を終えたレオナがやってきて、三人が選んだ魔導書から興味を持った一冊を選び読み始めた。
キャンベルに着いたガレックは伯爵の屋敷を探し出し、身分を偽って屋敷近くの宿を借りた。
部屋に入るとカードを二枚抜き、一枚目をテーブルの上に置き元のノートパソコンに戻し二枚目を手で持ちながら元の小さなケースへと戻しケースの蓋を開ける。開けたケースをそのままテーブルに置き窓を開け椅子に座りパソコンの電源を入れる。パソコンが起ち上がるとスパイというファイルのモスキートというフォルダを開き指示を入力する。こうしてケースに入っていたかが指示通りキャンベル伯の屋敷を偵察し始める。
本当なら三日出来たら一月みっちり調べて行動を起こすんだが、そんなに待ってられんな。黒騎士がいない今が攻め時だ。さて、妹ちゃんは何処にいるかなぁ?
自動で動く蚊をタッチパッドで簡単な操作をする。しかし、どの部屋を探してもエドガーの妹リディアはいなかった。
おいおい何でいねぇんだよ。外にいるのか? っくそ、少し情報収集した方がいいか。
ガレックは警備体制を知るため蚊をそのままにしてパソコンの電源を落としカードにしてホルダーにしまう。そして部屋を出て時間も時間だから近くの食堂に入り適当に料理を選び近くにいる男に尋ねる。
「なあ、伯爵一家って屋敷にいないのか?」
「何だいきなり」
「面白い商品が出来たから売ろうと思ったんだけどあいにく留守でな」
「面白い? どんな商品なんだ?」
「それは言えねぇよ。ただ機工魔術師が作った新しい道具だ」
「へぇ、どんな?」
「さすがにこれ以上は言えねぇよ」
「うぅん、気になるなぁ」
「それで伯爵一家はいないのか?」
「エドガー様は王都で仕事リディア様は学校だろう」
「学校!?」
「おいおい驚くことか? リディア様は貴族だぞ」
学校に通った事のないガレックは学校の事をすっかり忘れていた。
「そりゃそうだ。いやぁ、俺孤児だったからそこら辺忘れてた」
「お前孤児だったのか」
「ああ、だけど気を遣わなくてもいいぜ。親はいなくても子は育つって言うだろ。それに俺は運がいい。なんせ紅い翼が運営する孤児院で育ったからな」
紅い翼が運営する孤児院は子供好きの傭兵が退役後に就くことが多く一般常識は勿論生きるための知恵や専門的な武術や魔術も教えてもらえる。ある意味英才教育を受けられるため孤児院としては遥かにいい環境である。
ちなみにガレックは孤児だったが紅い翼の孤児院で育ってはいない。
「マジかっ! あそこの孤児院は試験も何もないから本当に運任せって聞いたが・・・」
「ああ」
周囲の人が紅い翼の孤児院にいたと聞き少し聞き耳を立てる中、男が聞きにくそうに尋ねる。
「気を悪くしたら悪いが、どうやって入ったんだ?」
「ああ、やっぱ気になるか。いやぁ、今思い出したらかなり無謀なことをやって恥ずかしいんだが、実は俺、元スリ泥棒なんだ」
「スリ!?」
「と言っても殆ど成功したことないし、成功したって言ってもありゃきっと見逃して貰ってたんだな。で、ある時すろうとした相手が悪すぎた。同い年くらいの相手だからいけると思ったんだ。相手は女の子だしな」
「女の子で紅い翼っていったら」
「そう、紅い翼の社長令嬢トトリ・ホーキンスさんの財布をすったんだ」
「マジかっ!?」
「ああ、けどなぁ、すった所までは良かったんだけどすった後逃げようと思ってその場を離れたら物陰からいきなりホーキンス夫婦が現れてな」
「ザックスとロジーナか!?」
ロジーナとは今は亡きザックスの妻でトトリの母親である。トトリと同じストレートの黒い髪で胸のサイズは同じく小さかったが背が高くスレンダーな体型をしていた。そしてその職業はトトリと同じ錬金術師だった。トトリは母親の影響を多大に受けて育った。
「ああ、娘の初めてのお使いを尾行していた。おかげでザックスさんに殴られロジーナさんに蹴られ、盗んだ財布を落とした財布を拾ったと言ってトトリさんに返しに行ったんだ。それでその後性根を叩き直してやるってザックスさんに言われ紅い翼の孤児院に入ったって訳だ。ちなみにトトリさんには数年前実はスリだったって謝罪しに言ったら笑って許してくれたよ」
「そうか。しかし本当に運が良かったな」
「・・・だろう」
料理が運ばれてきた事で話は終わり食べ終えるとガレックは宿の部屋へと戻った。ちなみに今の話しは本当にあった事だがガレックがやったのではなく実はケビンがやった事である。
部屋に戻ったガレックはさっきと同じようにノートパソコンと蚊を使わねぇって屋敷を監視する。
暫くして学校帰ってきたリディアを玄関口で見付ける。
ああ、やっぱガキだな。あと四、五年ってとこか。
見付けてからはリディアの監視と屋敷全体の監視(可愛い使用人のパンツとか着替えとか入浴とか)をしてガレックは時が来るのを待つ。
そして時は流れ翌日の午前二時頃、警備がだいぶ少なくなったこの時間にガレックは行動を開始する。
手薄の場所から屋敷に潜入しようとしたが屋敷の周りには姿の見えない者達が警備をしていた。
おいおいキャンベルにゃ諜報員がいるのかよ。屋敷の警備は囮か、通りで雑なはずだ。しかし甘いな。
ガレックは足音をたてずに隠れて監視している者に近づき一気に首を絞め落とす。こうして監視の目を消した。
さて余り時間はない。さっさと終わらすか。
ガレックは屋敷に入ると一直線にリディアの部屋へと向かいホテルで書いた手紙を机に置きカードを抜くと起こさないように抱き上げ自分のアトリエへと転移する。
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王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
世の中は意外と魔術で何とかなる
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新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
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辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
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