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お母さんが柏木だったころ
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―39年前柏木家―
「まぁかわいらしい」
「修次さんにそっくりねぇ」
「鼻筋が通って、きっとキレイな顔になるよこりゃぁ」
柏木家に長男の樹が誕生した。
「梢ちゃん、弟ですよ~」
「まだわかりませんよ~」
「2才差なんでしたっけ?」
「はい。梢は今年で2才になります。」
温かい家庭。そんな幸せはいつまでも続かず、
僅か長男樹の誕生から四ヶ月で二人の親夫婦は離婚をした。
―20年後京花大学―
「もしもし?あ、お母さん?うんうんわかった。その日は空けとく。ん、はーいじゃーねー」
「何電話?」
「あっうん。お母さんからなんか来週空けとけってさ、実家の家売り払うっぽくて」
「ふーん」
「あっ、話途中だったよね。なんだったっけ?」
「あーそうそう、今日新しいメンバー来るっぽくて」
「失礼します」
「あっ今来た彼なんだけど下橋樹くん」
「よろしくお願いします」
「もっとゆるくいこーよ」
「はい」
今入っているサークルは人数の少ない天文学部で、仲良くやらせてもらっている。
つい一週間前に二股欠けられていた彼氏に捨てられて、今も少し気分はブルーだ。
「こーずえ、今日樹くんの歓迎会来るよね?」
「え?あ、うん。行く行く」
「ってゆーかさ」
親友の知美が声を潜めて囁く。
「樹くんかっこよくない?イケメンだよね?私リアルイケメン初めてなんだけど!?」
「リアルイケメンて・・・」
「だって何気あんたも去年の準ミスでしょ!?」
「いや、それとこれ関係ないし」
「いやいやいや、こんな空見上げてるだけの地味部に華二つてすごくない?」
「ゆっちゃったね(地味部って)」
「いや事実だし」
「でも駆け巡るロマンスをながめてるんだよ!?」
「はい。出た梢の星オタク」
「オタクて・・・」
「!ヤバい部長睨んでる!」
ワラワラとおしゃべりを続ける。
「じゃ、後でね~」
「はーい」
知美とわかれて講義室に向かう。
「あれ?梢?」
呼ばれて振り返ると元彼が浮気相手だった女の子を連れて数人で固まっていた。
「あ・・・、大翔久しぶり」
「なんか可愛くなった?」
「そ、そうかな?気のせいじゃない?じゃね」
早く立ち去りたくて目をそらす。
「待てって冷たいなぁ元彼にひどくない?」
「えっ!?何々大翔の元カノって準ミスの柏木さん!?」
「え、じゃあお前が振ったっていう彼女ってえ!?まじかよ」
「よりもどす予定ねーの?」
「バーカ大翔は今梨乃ちゃんにぞっこんだろーが」
「まーなー」
大翔が自慢気に笑う。
あぁそういうこと、元カノ自慢したいのね。そう気づくと、馬鹿らしくなってそれ以上に何だか悔しくなって
「もう行ってもいいかしら?あなたと話す事ほど私にとって無駄な時間はないから」
ってニッコリと笑って丁寧にお辞儀して立ち去る。ふんだ。あんたみたいな屑なんか一生こっちが願い下げだっつーの!
「まぁかわいらしい」
「修次さんにそっくりねぇ」
「鼻筋が通って、きっとキレイな顔になるよこりゃぁ」
柏木家に長男の樹が誕生した。
「梢ちゃん、弟ですよ~」
「まだわかりませんよ~」
「2才差なんでしたっけ?」
「はい。梢は今年で2才になります。」
温かい家庭。そんな幸せはいつまでも続かず、
僅か長男樹の誕生から四ヶ月で二人の親夫婦は離婚をした。
―20年後京花大学―
「もしもし?あ、お母さん?うんうんわかった。その日は空けとく。ん、はーいじゃーねー」
「何電話?」
「あっうん。お母さんからなんか来週空けとけってさ、実家の家売り払うっぽくて」
「ふーん」
「あっ、話途中だったよね。なんだったっけ?」
「あーそうそう、今日新しいメンバー来るっぽくて」
「失礼します」
「あっ今来た彼なんだけど下橋樹くん」
「よろしくお願いします」
「もっとゆるくいこーよ」
「はい」
今入っているサークルは人数の少ない天文学部で、仲良くやらせてもらっている。
つい一週間前に二股欠けられていた彼氏に捨てられて、今も少し気分はブルーだ。
「こーずえ、今日樹くんの歓迎会来るよね?」
「え?あ、うん。行く行く」
「ってゆーかさ」
親友の知美が声を潜めて囁く。
「樹くんかっこよくない?イケメンだよね?私リアルイケメン初めてなんだけど!?」
「リアルイケメンて・・・」
「だって何気あんたも去年の準ミスでしょ!?」
「いや、それとこれ関係ないし」
「いやいやいや、こんな空見上げてるだけの地味部に華二つてすごくない?」
「ゆっちゃったね(地味部って)」
「いや事実だし」
「でも駆け巡るロマンスをながめてるんだよ!?」
「はい。出た梢の星オタク」
「オタクて・・・」
「!ヤバい部長睨んでる!」
ワラワラとおしゃべりを続ける。
「じゃ、後でね~」
「はーい」
知美とわかれて講義室に向かう。
「あれ?梢?」
呼ばれて振り返ると元彼が浮気相手だった女の子を連れて数人で固まっていた。
「あ・・・、大翔久しぶり」
「なんか可愛くなった?」
「そ、そうかな?気のせいじゃない?じゃね」
早く立ち去りたくて目をそらす。
「待てって冷たいなぁ元彼にひどくない?」
「えっ!?何々大翔の元カノって準ミスの柏木さん!?」
「え、じゃあお前が振ったっていう彼女ってえ!?まじかよ」
「よりもどす予定ねーの?」
「バーカ大翔は今梨乃ちゃんにぞっこんだろーが」
「まーなー」
大翔が自慢気に笑う。
あぁそういうこと、元カノ自慢したいのね。そう気づくと、馬鹿らしくなってそれ以上に何だか悔しくなって
「もう行ってもいいかしら?あなたと話す事ほど私にとって無駄な時間はないから」
ってニッコリと笑って丁寧にお辞儀して立ち去る。ふんだ。あんたみたいな屑なんか一生こっちが願い下げだっつーの!
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