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夏の宵編
第28話
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七月三十一日。最終日の夏期講習を終えてクラスメイトたちが次々に下校する中、刹那達は机を繋ぎ合わせて応募シールの貼り付け作業に勤しんでいた。
机の上には今手に集めていたシール以外に、なんとか間に合わせようと強引に買い集めたパンやスナック菓子が山積みになっている。
手元のシールを全て貼り終わると、今度は全員で点数を確認し始める。
「ねぇこれで本当に足りる?」
「一、二、三……ねぇ怜史君、そっちのパン何点?」
「これ0.5だ」
「嘘見てなかった! 悠買い出し行ってきて~」
「いやもう向かいのコンビニもスーパーもねえよ。俺らが全部駆逐した」
「……あ、俺ん家にあるかも」
「刹那君本当!?」
「実家の方だけど。聞いどく」
早速スマートフォンを操作して茅雪に確認の連絡を入れる。とっくに夏休みを満喫しているであろう茅雪からの返事は早かった。
「あるってよ」
「よっし! それじゃあ最後は刹那君に託して、ポストに入れてもらおうか!」
「お、おう」
「頼むよ~~ポストに入れる時はとにかく念を送ってね……!」
花音は期待に膨らんだ目をして、それから刹那に向かって拝み始める。両手を擦り合わせて念でも送る勢いの花音に、美彩季がツッコミのチョップを入れる。
「こら、拝むのは怜史だけにしときなさい」
「はっ! そうじゃん!? 夏期講習終わっちゃったから怜史君の顔見れないじゃん~! いまのうちに、一ヶ月分拝ませていただきます!」
「えー……しょうがないなあ」
「怜史も甘やかすなって……」
「ま、そんなことはどうでもいいんで……刹那君よろしくね!」
「はいはい、承りましたよっと」
花音に勢いよく渡された応募用紙を刹那は仰々しく受け取る。用紙にはシールが几帳面に並べられ、貼った枚数分の重みが加わっている。
買い出しに行ったり、昼食を全員でパンにしたり、この日のように夏期講習の後に残って騒いだりと、美彩季の言った通りに楽しい記憶が残った。
この面子なら未来でも過去でも楽しい旅行になるに違いないと確信をする。だがそれで怜史が行きたい場所を不安に思う心が消えるわけではなかった。
***
「刹那、今日電車?」
「ああ。今日は向こう帰るから」
「じゃ一緒に帰ろう」
「おう。もちろん」
悠達と別れ、刹那は久しぶりに怜史と共に学校の最寄りへと向かって歩く。ジリジリと響く蝉の声と丁度てっぺんから降り注ぐ太陽が、刹那と怜史を包みこむ。到底快適とは言い難い環境の中で、怜史はいつの間にか鼻歌を歌っていた。
「……あっちいな」
「だね。プール行きたくなる」
「さっき言えよ。みんなで計画立てられたのに」
「今思いついたんだし」
機嫌の良さそうな怜史の顔を見て刹那はほっとする。茹だるほどの気温も肌を流れる汗もどうでもよくなる。それだけ怜史が好きなのだと実感する。
「……な、怜史。休みどっか行く予定ある?」
「家族とお盆に出かけるくらいだけど?」
「暇ってわけか」
「暇だよ。刹那達が遊びに誘ってくれない限り……あ、でも一個予定ある」
「そうなんだ」
「忘れたの? 俺刹那にこっちの夏祭り行こうって誘ったんだけど」
怜史は足を止めて、いつか見せてきた学校近くの夏祭りのホームページを刹那に見せてくる。
「……やべ。忘れてた。明日からじゃん」
「やっぱり。今でも行けそう?」
「行ける行ける……悠達も誘うか」
グループチャットに刹那がメッセージを送ろうとしたところで、怜史がスマートフォンを持つ手を握って止める。
「俺三人にもう聞いてる。花音はおじいちゃんの家に行くからいなくて、悠と美彩季は二人で行くんだって」
「まじかよ」
「そんなわけで二人でなんだけど良い?」
見上げる怜史の瞳に打たれて、刹那の心臓が煩く鳴り始める。
夏祭りのこともすっかり頭から抜けていた刹那にとって、それは青天の霹靂だった。流生のいた冬に怜史と刹那が外で遊ぶことはなかった。高校に上がってからはいつも悠達がいた。思えば刹那が怜史と学校のない日に会うのはこれまで一度もなかった。それを寂しいと思うのと同時に、その分の飛距離で舞い上がってしまう。
「あ……いや、良いけど」
「む。なんか不服そう」
「違っ! 全然!」
照れ隠しを真逆に受け取った怜史がむす、と口を曲げる。刹那が大声で反論すると、まるで揶揄ったかのように怜史は拗ねた表情をぱっと笑顔に戻した。コンクリートを照り返される日光と怜史のいたずらっぽい表情が刹那の視界を刺激する。
「なーに慌ててんのさ」
「……っ、遊んでんじゃねー」
顔が熱くて慌てて目を背ける。それでも得意げな怜史の顔が横目でも写る。刹那は思わずため息が出そうになって、なんとか堪える。
「……明日?」
「明日!」
「んじゃ、俺今日向こうさ泊まるから駅から一緒に行こ」
「おっけー楽しみだな」
「……ん」
無邪気に笑いながら再び歩き出す怜史を、やれやれというフリで見つめる。本当は怜史以上に飛び跳ねて回りたい気持ちを自分の胸の中に押さえ込む。先を行く怜史を慌てて追いかけて、すぐ隣を並んで歩いた。明日は少し、タイムマシンへの不安を忘れられるような気がした。
***
翌日、刹那は茅雪が用意してくれていた抽選用のシールを回収し応募用紙に貼り付けた。
集めたシールは計百枚。二口分の応募券が完成した。各家庭には消費しきれなかったパンが分配され、刹那も半分以上を実家に持って行った。
涙ぐましい胃と財布の努力により生まれた壮観とも言えるそのシールの連なりを刹那はじっと見つめる。
これが怜史を刹那の望まない場所に連れて行ってしまうチケットに変わる可能性がある。自分が投函しなければその願いは潰える、と悪い考えが一瞬頭をよぎる。悠達の顔を思い出してなんとかそれを振り切って、刹那はポストに向かおうと玄関へ向かった。
その時、刹那の母が現れてサンダルを履いている最中の刹那を引き止めた。
「せつ、出がげるの?」
「うん。ポスト行くだけ」
「そんじゃ、盛谷のばっちゃんのどごさ行ってきて。あんたに会いだがってらったよ」
頭にノイズがかかった先でその顔が浮かぶ。夏の蒸し暑い空気が一斉に鎮まり、冷たい空気が刹那の肌を粟立てた。
「……俺、このあと出かけるからあんまり時間ねぇんだげど」
「良いから行ってきなさい。盛谷さんにどれだけお世話になってると思ってるの」
「……分かった」
母の顔を見ずに、玄関の戸をそっと開く。外へ出て扉を閉めてから刹那はその場にしゃがみ込んでいた。その足元が震えていた。
***
刹那の自宅の斜向かいに盛谷の大豪邸がある。和風建築の平屋で、巨大な門と外壁が刹那を迎え入れる。足元に咲くアザミはそこを潜ろうとする人間をじっと監視しているように、紫の花びらを開かせていた。
「ごめんくださーい……」
ベルを鳴らして自分の声でも挨拶をする。そうしないとマナーがなっていないと何度も怒られてきた経験から自然と刹那をそうさせた。
インターホンのスピーカーからノイズがジリジリと響き始めた。刹那は慌てて背筋を伸ばす。
「はい」
「刹那です。蔦江さんにご挨拶に伺いました」
「はい。お待ちください」
応答したのは流生と出琉の母だった。門を開いて刹那の顔を見ると、仰々しく一礼をする。背が高く目は切れ長。表情こそ柔和だが、顔を合わせた人間に威圧感を感じさせる雰囲気がある。流生も出琉をよく知る刹那からすれば、彼らの顔はほとんど母の面影を感じさせなかった。
「刹那さんお久しぶり。どうぞ」
「……お邪魔します」
案内された刹那は門の奥に広がる砂利道へと足を踏み出す。刹那が進むと流生達の母は再び門を閉める。どん、と勢い付いたその音を聞いて、刹那の手のひらに汗が滲む。
会話がほとんどないままに、刹那は屋敷の最深部たる大広間に連れてこられた。敷かれた座布団に座るように促され、刹那は黙って腰を下ろす。すぐに流生達の母はその場を離れ、刹那は一人きりになる。
ささくれ一つない畳と花鳥風月を描いた荘厳な襖。ここまで格式張った家はこの町では盛谷の家しかない。
しばらくすると刹那から見て右手方向にある襖が静かに開かれた。白地の裾に黒百合が描かれた着物を着ている老婆が現れる。髪はすっかり白髪に染まっていて、足も少しおぼつかない部分が見られる。けれども背筋はまっすぐ天井を向くように伸びており、彼女の矜持が滲み出ている。
何より先ほど顔を合わせた流生達の母、蔦江の娘とは比べ物にならないような重圧を放っていた。
「……ご無沙汰しています。蔦江さん」
「なぁに大人ぶってんだか。孫達とおんなじように、ばあさまって呼んだら良いのさ」
しゃがれた声で蔦江が笑う。豪胆な、確かに『笑い声』だとわかる音。だが蔦江が微笑む兆しは一向になかった。まるで刹那を睨みつけるように、座った目をじっと向け続けている。
「そんで刹那。お前どういう了見で、私の前に顔を出しているんだ?」
刹那は息を呑む。気を抜けば全身が震え出しそうだった。
盛谷蔦江。この人は敬うべきで、とても恐ろしい人だと幼い頃から教え込まれて生きてきた。そんな蔦江からこれほど敵意を剥き出しにされるのは、刹那にとって生まれてこの方初めてのことだった。
机の上には今手に集めていたシール以外に、なんとか間に合わせようと強引に買い集めたパンやスナック菓子が山積みになっている。
手元のシールを全て貼り終わると、今度は全員で点数を確認し始める。
「ねぇこれで本当に足りる?」
「一、二、三……ねぇ怜史君、そっちのパン何点?」
「これ0.5だ」
「嘘見てなかった! 悠買い出し行ってきて~」
「いやもう向かいのコンビニもスーパーもねえよ。俺らが全部駆逐した」
「……あ、俺ん家にあるかも」
「刹那君本当!?」
「実家の方だけど。聞いどく」
早速スマートフォンを操作して茅雪に確認の連絡を入れる。とっくに夏休みを満喫しているであろう茅雪からの返事は早かった。
「あるってよ」
「よっし! それじゃあ最後は刹那君に託して、ポストに入れてもらおうか!」
「お、おう」
「頼むよ~~ポストに入れる時はとにかく念を送ってね……!」
花音は期待に膨らんだ目をして、それから刹那に向かって拝み始める。両手を擦り合わせて念でも送る勢いの花音に、美彩季がツッコミのチョップを入れる。
「こら、拝むのは怜史だけにしときなさい」
「はっ! そうじゃん!? 夏期講習終わっちゃったから怜史君の顔見れないじゃん~! いまのうちに、一ヶ月分拝ませていただきます!」
「えー……しょうがないなあ」
「怜史も甘やかすなって……」
「ま、そんなことはどうでもいいんで……刹那君よろしくね!」
「はいはい、承りましたよっと」
花音に勢いよく渡された応募用紙を刹那は仰々しく受け取る。用紙にはシールが几帳面に並べられ、貼った枚数分の重みが加わっている。
買い出しに行ったり、昼食を全員でパンにしたり、この日のように夏期講習の後に残って騒いだりと、美彩季の言った通りに楽しい記憶が残った。
この面子なら未来でも過去でも楽しい旅行になるに違いないと確信をする。だがそれで怜史が行きたい場所を不安に思う心が消えるわけではなかった。
***
「刹那、今日電車?」
「ああ。今日は向こう帰るから」
「じゃ一緒に帰ろう」
「おう。もちろん」
悠達と別れ、刹那は久しぶりに怜史と共に学校の最寄りへと向かって歩く。ジリジリと響く蝉の声と丁度てっぺんから降り注ぐ太陽が、刹那と怜史を包みこむ。到底快適とは言い難い環境の中で、怜史はいつの間にか鼻歌を歌っていた。
「……あっちいな」
「だね。プール行きたくなる」
「さっき言えよ。みんなで計画立てられたのに」
「今思いついたんだし」
機嫌の良さそうな怜史の顔を見て刹那はほっとする。茹だるほどの気温も肌を流れる汗もどうでもよくなる。それだけ怜史が好きなのだと実感する。
「……な、怜史。休みどっか行く予定ある?」
「家族とお盆に出かけるくらいだけど?」
「暇ってわけか」
「暇だよ。刹那達が遊びに誘ってくれない限り……あ、でも一個予定ある」
「そうなんだ」
「忘れたの? 俺刹那にこっちの夏祭り行こうって誘ったんだけど」
怜史は足を止めて、いつか見せてきた学校近くの夏祭りのホームページを刹那に見せてくる。
「……やべ。忘れてた。明日からじゃん」
「やっぱり。今でも行けそう?」
「行ける行ける……悠達も誘うか」
グループチャットに刹那がメッセージを送ろうとしたところで、怜史がスマートフォンを持つ手を握って止める。
「俺三人にもう聞いてる。花音はおじいちゃんの家に行くからいなくて、悠と美彩季は二人で行くんだって」
「まじかよ」
「そんなわけで二人でなんだけど良い?」
見上げる怜史の瞳に打たれて、刹那の心臓が煩く鳴り始める。
夏祭りのこともすっかり頭から抜けていた刹那にとって、それは青天の霹靂だった。流生のいた冬に怜史と刹那が外で遊ぶことはなかった。高校に上がってからはいつも悠達がいた。思えば刹那が怜史と学校のない日に会うのはこれまで一度もなかった。それを寂しいと思うのと同時に、その分の飛距離で舞い上がってしまう。
「あ……いや、良いけど」
「む。なんか不服そう」
「違っ! 全然!」
照れ隠しを真逆に受け取った怜史がむす、と口を曲げる。刹那が大声で反論すると、まるで揶揄ったかのように怜史は拗ねた表情をぱっと笑顔に戻した。コンクリートを照り返される日光と怜史のいたずらっぽい表情が刹那の視界を刺激する。
「なーに慌ててんのさ」
「……っ、遊んでんじゃねー」
顔が熱くて慌てて目を背ける。それでも得意げな怜史の顔が横目でも写る。刹那は思わずため息が出そうになって、なんとか堪える。
「……明日?」
「明日!」
「んじゃ、俺今日向こうさ泊まるから駅から一緒に行こ」
「おっけー楽しみだな」
「……ん」
無邪気に笑いながら再び歩き出す怜史を、やれやれというフリで見つめる。本当は怜史以上に飛び跳ねて回りたい気持ちを自分の胸の中に押さえ込む。先を行く怜史を慌てて追いかけて、すぐ隣を並んで歩いた。明日は少し、タイムマシンへの不安を忘れられるような気がした。
***
翌日、刹那は茅雪が用意してくれていた抽選用のシールを回収し応募用紙に貼り付けた。
集めたシールは計百枚。二口分の応募券が完成した。各家庭には消費しきれなかったパンが分配され、刹那も半分以上を実家に持って行った。
涙ぐましい胃と財布の努力により生まれた壮観とも言えるそのシールの連なりを刹那はじっと見つめる。
これが怜史を刹那の望まない場所に連れて行ってしまうチケットに変わる可能性がある。自分が投函しなければその願いは潰える、と悪い考えが一瞬頭をよぎる。悠達の顔を思い出してなんとかそれを振り切って、刹那はポストに向かおうと玄関へ向かった。
その時、刹那の母が現れてサンダルを履いている最中の刹那を引き止めた。
「せつ、出がげるの?」
「うん。ポスト行くだけ」
「そんじゃ、盛谷のばっちゃんのどごさ行ってきて。あんたに会いだがってらったよ」
頭にノイズがかかった先でその顔が浮かぶ。夏の蒸し暑い空気が一斉に鎮まり、冷たい空気が刹那の肌を粟立てた。
「……俺、このあと出かけるからあんまり時間ねぇんだげど」
「良いから行ってきなさい。盛谷さんにどれだけお世話になってると思ってるの」
「……分かった」
母の顔を見ずに、玄関の戸をそっと開く。外へ出て扉を閉めてから刹那はその場にしゃがみ込んでいた。その足元が震えていた。
***
刹那の自宅の斜向かいに盛谷の大豪邸がある。和風建築の平屋で、巨大な門と外壁が刹那を迎え入れる。足元に咲くアザミはそこを潜ろうとする人間をじっと監視しているように、紫の花びらを開かせていた。
「ごめんくださーい……」
ベルを鳴らして自分の声でも挨拶をする。そうしないとマナーがなっていないと何度も怒られてきた経験から自然と刹那をそうさせた。
インターホンのスピーカーからノイズがジリジリと響き始めた。刹那は慌てて背筋を伸ばす。
「はい」
「刹那です。蔦江さんにご挨拶に伺いました」
「はい。お待ちください」
応答したのは流生と出琉の母だった。門を開いて刹那の顔を見ると、仰々しく一礼をする。背が高く目は切れ長。表情こそ柔和だが、顔を合わせた人間に威圧感を感じさせる雰囲気がある。流生も出琉をよく知る刹那からすれば、彼らの顔はほとんど母の面影を感じさせなかった。
「刹那さんお久しぶり。どうぞ」
「……お邪魔します」
案内された刹那は門の奥に広がる砂利道へと足を踏み出す。刹那が進むと流生達の母は再び門を閉める。どん、と勢い付いたその音を聞いて、刹那の手のひらに汗が滲む。
会話がほとんどないままに、刹那は屋敷の最深部たる大広間に連れてこられた。敷かれた座布団に座るように促され、刹那は黙って腰を下ろす。すぐに流生達の母はその場を離れ、刹那は一人きりになる。
ささくれ一つない畳と花鳥風月を描いた荘厳な襖。ここまで格式張った家はこの町では盛谷の家しかない。
しばらくすると刹那から見て右手方向にある襖が静かに開かれた。白地の裾に黒百合が描かれた着物を着ている老婆が現れる。髪はすっかり白髪に染まっていて、足も少しおぼつかない部分が見られる。けれども背筋はまっすぐ天井を向くように伸びており、彼女の矜持が滲み出ている。
何より先ほど顔を合わせた流生達の母、蔦江の娘とは比べ物にならないような重圧を放っていた。
「……ご無沙汰しています。蔦江さん」
「なぁに大人ぶってんだか。孫達とおんなじように、ばあさまって呼んだら良いのさ」
しゃがれた声で蔦江が笑う。豪胆な、確かに『笑い声』だとわかる音。だが蔦江が微笑む兆しは一向になかった。まるで刹那を睨みつけるように、座った目をじっと向け続けている。
「そんで刹那。お前どういう了見で、私の前に顔を出しているんだ?」
刹那は息を呑む。気を抜けば全身が震え出しそうだった。
盛谷蔦江。この人は敬うべきで、とても恐ろしい人だと幼い頃から教え込まれて生きてきた。そんな蔦江からこれほど敵意を剥き出しにされるのは、刹那にとって生まれてこの方初めてのことだった。
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