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第二章 ウソつきケントの初めてのクエスト
2-3 能力:ライアー・チェンジ
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モグリン達を倒して、喜んでいるレイアと話をしていると、ゴーとうねり音がしてきた。まずい、確かこの後洞窟は崩壊するはずだ!
「レイア、急いで出よう。この洞窟は崩れます」
「そうなんですか?分かりました。行きましょう」
僕とレイアは走って洞窟の出口に戻った。勿論道は知っているので、迷うこともない。
無事に外に出ることが出来た。すると、後ろで洞窟が崩壊して、穴が完全に防がれた。
「ふ~。何とか間に合いましたね。僕たちが死んだらせっかく討伐したのにバカみたいですものね」
「良かったです。間に合って・・・・ドサッ」
僕は音がした後ろを振り返った。レイアが地面に倒れている。
「ど、どうしたんですか?レイア!」
「うう、足が・・・・」
レ イアの足を見た。足首のあたりに切り傷があった。そして、青く変色し始めている。
「これは・・・・毒矢のトラップだ!」
僕はハッとした。確かこの洞窟の崩壊から逃げ出す際に、主人公は毒矢のトラップを受けてしまうイベントがあった。
【クエクエ2】では、この洞窟のクエストは独りで攻略するため、毒矢を受けるのは僕だが、今はレイアと2人でクエストの対応したため、毒矢のトラップイベントがレイアに発生してしまったのだ!
「そうだ、このイベントは、毒消し草の使い方をプレイヤーに覚えさせるイベントだった。毒消し草を使えば解決できる・・・・無い!」
そう、毒消し草は、この洞窟の宝箱に、剣と鎧と回復草と一緒に入っているはずだったのだ。だが、今回はそれが無かったので、毒消し草も無い!
「嘘だろ・・・・こんなのって有りかよ・・・・」
「うう・・・・苦しい・・・・」
レイアがどんどん弱っているのが分かる。でも、毒は毒消し草が無ければ絶対に回復できない。
「ケントさん、ごめんなさい・・・・」
ごめんなさいの言葉が、レイナがあの時言った言葉と重なった。また僕は大切な人を失うのか?
「大丈夫!助かるから僕を信じて!・・・・毒消し草、持ってくるから!」
僕はレイナの手を握りながら、毒消し草が無いため助かる見込みがないのにウソをついた。僕は、この世界では嘘はつかないと決めたのに、その場しのぎの嘘をたくさんついた。
だから、また罰を受けてしまうのか?でも、今願っているウソは、ホントに起きてほしい心から思っている嘘だ。
だから願った。
なぜか無意識に首から下げた虹色の宝石を反対側の手で握りしめいた。すると、握りしめていた宝石が光り出した。手の隙間から光が漏れる。そして消えた。何が起こったんだ?相変わらずレイアは苦しんでいる。
突然、洞窟があった岩山の隣の森の中から、テンガロンハットを被った男が現れた。
「いや~突然大きな音がしたから来てみれば、洞窟が崩壊しているじゃないか。」
「あ、あなたは誰ですか?」
「俺は隣町の薬売りのミランだ。スーザンの村で、モンスター退治の補佐を探していたみたいだから、村に向かっていたのだが、そしたら大きな音がしたので来てみた・・・・そこの美人のねーちゃん、どうした?」
「実は、レイアが・・・・この女性が毒矢に・・・・」
「それはまずいな。でも心配ない、俺は薬屋だ。毒消し草を大量に持っているぞ。何せ美女と病人が俺の相手だからな」
レイアの傷口に、毒消し草を塗り込んだ。そして、毒消し草を溶かした水をレイアに飲ませた。見る見るうちに回復した。
「ああ、助かりました。本当にありがとうございます」
「本当に良かったぜ。俺もたまたま欲しい薬草があったから、村に行く途中、薬草探しでこのあたりに寄り道したんだ。たぶん美女のあんたが俺を呼んだんだな」
安心していた僕は、その言葉を聞いてハッとした。転生前のリーネの言葉を思い出した。
【その世界で、1日1回だけ【ウソ】が【ホント】になる能力よ】
そして、入手した宝石が先ほど光った。そうか、これが僕がリーネから貰った特殊スキルの効果なんだ。
「僕が発したウソがホントになる、つまりついたウソがホントに変わる能力:【ライアー・チェンジ】だ」
また、別の設定を思い出した。ゲームを始める時に選んだ職業によって、宝箱の中身は変わるんだった。だから、僕の場合はこの宝石だったのだ。
握っていた虹色の宝石は、透明になっていた。1日1回の能力を使ったようだ。僕はこの宝石を【ライアー・ストーン】と呼ぶことにした。
僕とレイアと薬師は、スーザン村に戻った。村ではモンスター討伐完了の話を聞き、喜びで溢れている。僕は村人から感謝の言葉をたくさん貰った。
「まあ、仕事ですから」
とか言って返答をしていたが、実際僕はなにもしていない。モグリン達を倒したのはレイアの魔法のお陰だし、レイナを助けたのは薬師だし。
「ケントさん、本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。うまく行って良かったです」
「こちらが、クエスト完了の書類です」
僕は完了の書類を受け取った。これをギルドに提出すれば完了の報酬が貰える。
「では僕はこれで」
「あの、ケントさん」
「どうされましたか?」
「ずっと思っていたのですが、どこかでお会いしたことは有りませんか?」
僕は一瞬ドキッとした。「有ります」と言おうとしたが、落ち着いて話した。
「いえ、初めてですよ。僕はあなたのようなきれいな人は忘れませんので。間違いなく初めてです」
「まあ、お上手。でも、そうですよね、初めてですよね。夢だったのかしら?まあいいわ、また何かあったらお願いします」
「分かりました。その時は、ケントをご指名で」
僕は薬師と一緒に村を出た。ギルドは薬師か住んでいる町に有るからだ。
村を出て、町に向かって歩きながら、僕は思い出していた。レイナが言った【初めてですよね】という言葉を。
それは僕にとっては、「ウソ」なのか?「ホント」なのか?
---第二章 完---
「レイア、急いで出よう。この洞窟は崩れます」
「そうなんですか?分かりました。行きましょう」
僕とレイアは走って洞窟の出口に戻った。勿論道は知っているので、迷うこともない。
無事に外に出ることが出来た。すると、後ろで洞窟が崩壊して、穴が完全に防がれた。
「ふ~。何とか間に合いましたね。僕たちが死んだらせっかく討伐したのにバカみたいですものね」
「良かったです。間に合って・・・・ドサッ」
僕は音がした後ろを振り返った。レイアが地面に倒れている。
「ど、どうしたんですか?レイア!」
「うう、足が・・・・」
レ イアの足を見た。足首のあたりに切り傷があった。そして、青く変色し始めている。
「これは・・・・毒矢のトラップだ!」
僕はハッとした。確かこの洞窟の崩壊から逃げ出す際に、主人公は毒矢のトラップを受けてしまうイベントがあった。
【クエクエ2】では、この洞窟のクエストは独りで攻略するため、毒矢を受けるのは僕だが、今はレイアと2人でクエストの対応したため、毒矢のトラップイベントがレイアに発生してしまったのだ!
「そうだ、このイベントは、毒消し草の使い方をプレイヤーに覚えさせるイベントだった。毒消し草を使えば解決できる・・・・無い!」
そう、毒消し草は、この洞窟の宝箱に、剣と鎧と回復草と一緒に入っているはずだったのだ。だが、今回はそれが無かったので、毒消し草も無い!
「嘘だろ・・・・こんなのって有りかよ・・・・」
「うう・・・・苦しい・・・・」
レイアがどんどん弱っているのが分かる。でも、毒は毒消し草が無ければ絶対に回復できない。
「ケントさん、ごめんなさい・・・・」
ごめんなさいの言葉が、レイナがあの時言った言葉と重なった。また僕は大切な人を失うのか?
「大丈夫!助かるから僕を信じて!・・・・毒消し草、持ってくるから!」
僕はレイナの手を握りながら、毒消し草が無いため助かる見込みがないのにウソをついた。僕は、この世界では嘘はつかないと決めたのに、その場しのぎの嘘をたくさんついた。
だから、また罰を受けてしまうのか?でも、今願っているウソは、ホントに起きてほしい心から思っている嘘だ。
だから願った。
なぜか無意識に首から下げた虹色の宝石を反対側の手で握りしめいた。すると、握りしめていた宝石が光り出した。手の隙間から光が漏れる。そして消えた。何が起こったんだ?相変わらずレイアは苦しんでいる。
突然、洞窟があった岩山の隣の森の中から、テンガロンハットを被った男が現れた。
「いや~突然大きな音がしたから来てみれば、洞窟が崩壊しているじゃないか。」
「あ、あなたは誰ですか?」
「俺は隣町の薬売りのミランだ。スーザンの村で、モンスター退治の補佐を探していたみたいだから、村に向かっていたのだが、そしたら大きな音がしたので来てみた・・・・そこの美人のねーちゃん、どうした?」
「実は、レイアが・・・・この女性が毒矢に・・・・」
「それはまずいな。でも心配ない、俺は薬屋だ。毒消し草を大量に持っているぞ。何せ美女と病人が俺の相手だからな」
レイアの傷口に、毒消し草を塗り込んだ。そして、毒消し草を溶かした水をレイアに飲ませた。見る見るうちに回復した。
「ああ、助かりました。本当にありがとうございます」
「本当に良かったぜ。俺もたまたま欲しい薬草があったから、村に行く途中、薬草探しでこのあたりに寄り道したんだ。たぶん美女のあんたが俺を呼んだんだな」
安心していた僕は、その言葉を聞いてハッとした。転生前のリーネの言葉を思い出した。
【その世界で、1日1回だけ【ウソ】が【ホント】になる能力よ】
そして、入手した宝石が先ほど光った。そうか、これが僕がリーネから貰った特殊スキルの効果なんだ。
「僕が発したウソがホントになる、つまりついたウソがホントに変わる能力:【ライアー・チェンジ】だ」
また、別の設定を思い出した。ゲームを始める時に選んだ職業によって、宝箱の中身は変わるんだった。だから、僕の場合はこの宝石だったのだ。
握っていた虹色の宝石は、透明になっていた。1日1回の能力を使ったようだ。僕はこの宝石を【ライアー・ストーン】と呼ぶことにした。
僕とレイアと薬師は、スーザン村に戻った。村ではモンスター討伐完了の話を聞き、喜びで溢れている。僕は村人から感謝の言葉をたくさん貰った。
「まあ、仕事ですから」
とか言って返答をしていたが、実際僕はなにもしていない。モグリン達を倒したのはレイアの魔法のお陰だし、レイナを助けたのは薬師だし。
「ケントさん、本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。うまく行って良かったです」
「こちらが、クエスト完了の書類です」
僕は完了の書類を受け取った。これをギルドに提出すれば完了の報酬が貰える。
「では僕はこれで」
「あの、ケントさん」
「どうされましたか?」
「ずっと思っていたのですが、どこかでお会いしたことは有りませんか?」
僕は一瞬ドキッとした。「有ります」と言おうとしたが、落ち着いて話した。
「いえ、初めてですよ。僕はあなたのようなきれいな人は忘れませんので。間違いなく初めてです」
「まあ、お上手。でも、そうですよね、初めてですよね。夢だったのかしら?まあいいわ、また何かあったらお願いします」
「分かりました。その時は、ケントをご指名で」
僕は薬師と一緒に村を出た。ギルドは薬師か住んでいる町に有るからだ。
村を出て、町に向かって歩きながら、僕は思い出していた。レイナが言った【初めてですよね】という言葉を。
それは僕にとっては、「ウソ」なのか?「ホント」なのか?
---第二章 完---
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