ライアークエスト

かしわで

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第四章 ウソつき勇者と滅びた洋館

4-2 洋館への侵入

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 夜9時近くになった。僕は町の入り口に向かって歩いていると、ミランと会った。あの後、僕が依頼したあるものを準備するために、別れていたのだ。そしてミランと合流する。

「しかし、なんで今日にしたんだ?一日くらい作戦を立てても良かったのでは?」

「いや、今日が一番いいんです。月明かりが一番明るい今日が」

 僕はすでにこのクエストを知っている。クエスト名は【滅びた洋館のモンスターを倒せ】だ。【クエクエ1】のイベントだ。

「しかし、お前は不思議なやつだ。何か知っている素振りだし。ここのボスを倒すために、この爆弾を俺に用意させたんだろ?」

「いえそんなことはありません。たまたま爆弾が必要そうだと思ったんです」


 そんな話をしながら町の入り口に向かっていると、入り口に【アンナ】が立っていた。

「待っていたわよ。やっぱり、私を置いていくつもりだったのね」

 いかにも武闘家の格好をしている。この人マジだ。

「俺としたことが・・・・美女を待たせるなんて、すまねえな」

「言っておきますけど、あなたについては信用していませんから」

・・・・怖い。私のウソがばれませんように。


 このクエストの攻略は以下の通りだ。場所は町から20分ほど歩いた【滅びた洋館】だ。
①正面の大きな扉は、中から鍵が閉まっているので、開かない。東側の裏口から入る。
②トラップがあるので、うまく避ける。避けないとボス戦前にダメージを受けて不利になる。
③【動くろうそく】のボスバージョン、【マジックキャンドル】を倒す。
 という流れだ。

 この③のマジックキャンドルを倒すのにはコツがあり、通常攻撃でダメージを与えても、動くろうそくと合体して、体力が回復してしまうのだ。

 ここで、ミランに作ってもらった爆弾が役に立つ。爆弾を投げると、なぜかマジックキャンドルはそれに火をつけようとして、大爆発を起こす。その爆発で倒せるのだ。
 この方法は、知っていればマジックキャンドルが体力全快時でも倒せる。前回のキラーリザードのように、瀕死にする必要はないのだ。

 この情報はインターネット上でのみ拡散したため、インターネットをしていない人たちからの苦情が大変だったそうだ。

 その話は僕は誰にもしない。あくまで自然の流れで倒すようにする。こんな感じなので、アンナは特に不要だった。
 まあ、このクエストは、さっきの町長との会話で、「連れて行く」、「連れて行かない」どちらを選んでも女性武闘家が強制合流する設定なので、こうなるのかなとは思っていたが。

「ところで、アンナさんは、どのようなスキルをもっているのですか?」

「わたしですか?【足払い】と【爽快ステップ】です。なぜ聞くのですか?」

「そりゃぁアンナちゃん、リーダーが作戦を立てるのに、仲間のスキルは知っている必要あるだろう」

「た、確かにそうですね。私、仲間とクエストとか行ったことありませんので」

「ちなみに、俺は薬師だ。通常攻撃はナイフとロープだが、薬草とか毒草、爆弾とか作れるぜ。今日も作ってきた」

「爆弾?危ないので私に近寄らないでください」

「く~、つれないね~。でも、美女と魚は釣れないほどハマるがな」

「少し黙っていて下さい。もうそろそろレベルが上がって、新しいスキルが手に入っても良さそうなのですが・・・・まあ、そんな話はどうでもいいですけど」

【足払い】は、敵を転ばせて、次のターンは一回休み。【爽快ステップ】は自分の素早さを上げるスキルだ。


 会話を話しながら歩くこと20分、目的地の【滅びた洋館】に着いた。【クエクエ1】と同じ館だな。

「本当にここに入るんですか?オバケとかでないですよね??」

「お、アンナちゃん、怖いのか?俺は女の嫉妬のほうが怖いんだが」

「怖いわけありません!ただの確認です!!」

 足元が震えている。この人も普通の女性なんだなと思い、ちょっと安心した。

「では、正面の入り口は開きませんので、東側に向かいましょう」

「ケント、何で知っているんだ?」

「え?あ!そう思ったんですよ」

 ミランは正面の扉に行ってみた。

「確かに閉まっている。ケントの言ったとおりだ」

 その後、全員で東側の裏口の扉に向かった。扉があったので開けてみようとした。あれ?開かない。

「おいケント、ここの扉開かないぞ。どうしたってんだ?」

「おかしいですね。西側の裏口でしょうか?」

 全員で西側の裏口の扉に回った。扉があったので、取っ手を回すと開いた。

「お、こっちは開いたぞ、中に入ろうぜ!」

 おかしい、僕の記憶違いだろうか?

 中に入ると、壊れたキッチンのエリアだった。この光景は見たことある。やっぱりゲームの【滅びた洋館】だ。全員で奥に進むと、食堂だったであろう、広い部屋の扉の前に着いた。

「皆さん、この中には、モンスター【動くろうそく】が4体いますので、気を付けてください。【火の玉】を吐きますが、注意すれば避けられます。避けた後に攻撃すれば倒せます」

「ケ、ケントさん、なぜ知っているのですか?」

「まあそんなことは気にせず、行きましょう」

 僕は質問に答えられないので、足が震えているアンナを横目に、中に入った。想定通り、動くろうそくがいる。あれ、6体だ。

「ケントの言ったとおりだ。4体じゃなくて、6体だが、まあいい。倒すぞ!」

 僕たちは各々動くろうそくを倒した。全員ノーダメージだ。

「ケントさんの言ったとおり、よく見ることで簡単に倒せました。ありがとうございます」

「お、ちょっとはケントを見直したか?惚れるにはまだ早いぜ!」

「そ、そんなことはありません。まだ信用していません!」

 彼女の信頼は、いつ取り戻せるのやら・・・・。そもそも、僕は彼女に何もしていないけど。
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